シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(1)娯楽の時代が再来?

2009/05/14

090514-01.jpg 第62回カンヌ国際映画祭が13日に開幕しました。

 日本では厳重に警戒されている新型インフルエンザも、フランスではニュースに取り上げられることもなく、どこか別の世界の話といった感。とはいえ、映画祭にとって大きな打撃になったのは、昨年来続いている世界的な大不況で、お金をかけた派手な宣伝は控え目になり、参加者も例年に比べて少なくなるなど、静かな映画祭になりそうな予感です。

 ルモンド紙の映画祭特集によれば、80年前の世界恐慌のときと同様、手ごろな娯楽として映画が再び人気になり、映画館は大盛況、フランス映画は昨年240本という製作本数の記録を出したのだそうです。ただし、観客は娯楽映画に集中していて、作家性の強い映画に銀行が資金を出し渋っており、興行の活況とは裏腹に、作品的な質が落ちていくのではないかという警告の記事でした。

090514-02.jpg 今年のカンヌは、戦争映画(クエンティン・タランティーノ『イングローリアス・バスターズ』)、ホラー映画(パク・チャヌク『コウモリ』)、フィルム・ノワール(ジョニー・トー『復讐』)、ファンタジー映画(テリー・ギリアム『パルナッサス博士の想像力』)というようにジャンル映画が多く目につきます。それは、作家の映画の時代が終わり、再び娯楽映画に回帰しているという最近の傾向を反映したものなのかどうか、世界中から集められた最新の収穫を1本1本確かめながら、じっくり考えていきたいと思います。

 今年のオープニング作品は、カンヌ映画祭史上初のアニメ作品(しかも3D)、ピート・ドクターの『カールじいさんの空飛ぶ家』。朝10時にプレス用の上映が行われ、3Dメガネをかけて、"ピクサー作品で最高に笑える"カールじいさんとラッセル少年の大冒険旅行を楽しんできました。

 写真上は、記者会見の模様で、左から共同監督のボブ・ピーターソン、監督のピート・ドクター、プロデューサーのジョナス・リヴェラ、エグゼクティブ・プロデューサーのジョン・ラセターです。ピクサーとディズニーの両アニメ部門の責任者であるラセターは、ピクサー創設者のスティーヴ・ジョブズが言った「パソコンは5年したら廃れてしまうが、真にすばらしいアニメは永遠に残る」という言葉をひき、「ピクサーの10本目の作品が、アニメ作品として史上初のオープニングに選ばれて、これほど名誉なことはない」と語っていました。

 写真下は、引き続き開かれた審査員の記者会見の模様で、左からアシア・アルジェント、シャルミラ・タゴール、ロビン・ライト・ペン、審査員長のイザベル・ユペール、ハニフ・クレイシ、ジェームズ・グレイ(奥)、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、スー・チー。ここに韓国のイ・チャンドンを加えた9人で審査を行います。

(齋藤敦子)