シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(4)『ブライト・スター』『預言者』が高評価

2009/05/19

 雨の金曜日の後で快晴の週末を迎え、映画祭の前半が終了しました。ここまでで高い評価を受けているコンペ作品は、ジェーン・カンピオンの『ブライト・スター』、ジャック・オーディアールの『預言者』の2本です。

 『ブライト・スター』は、1821年に25歳の若さで亡くなった英国の詩人ジョン・キーツと、隣家の娘ファニー・ブローンとの恋愛を描いたもの。前作『イン・ザ・カット』以来6年ぶりの新作で、カンヌでは93年に『ピアノ・レッスン』でパルム・ドールを受賞して以来、16年ぶりのコンペ再登場です。

 カンピオンの映画はいつもそうですが、ファニーというファッションが大好きで好奇心いっぱいの生き生きとした女性の視点から、夭折した詩人の最後の日々を丁寧に描いていて、キーツへの深い尊敬と愛情が感じられる繊細な作品になっていました。

 一方、日本でも『真夜中のピアニスト』などが公開されているジャック・オーディアールの『預言者』は、がらりと変わって現代の刑務所が舞台。6年の刑で入牢してきた19歳のアラブ人青年が、刑務所内を牛耳っているコルシカ・マフィアの親分に奴隷のように使われながら、次第に読み書きや"ビジネス"のやり方を身につけ、出所するときには自分のファミリーを作り上げているというもの。

 コルシカ・マフィアの親分を演じたニル・アレストリュプ以外は、ほとんど無名の俳優を使い、本物そっくりの刑務所のセットを作って撮影されていて臨場感いっぱい。脚本家出身のオーディアールの話のうまさは定評のあるところですが、撮影テクニックもすばらしく、最後に主人公が単身コルシカ・マフィアの車を襲撃するところなどは鳥肌が立つほど。いつもは自国の映画に辛口なフランスのプレスにも高評価で、ルモンド紙など"今ここで映画祭が終わったら、オーディアールのパルムは間違いない"とまで書いていました。
  20090519.jpg さて、写真はカンヌの街角で見つけた『おくりびと』のフランス版ポスターです。1カ所、間違っているところがあるのですが、どこかわかりますか?

(齋藤敦子)