シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(3)『鉄男』3作目 電脳都市・東京舞台に

2009/09/07

Venezia09-Day5 017.jpg 映画祭が折り返し地点を迎えた週末5日の深夜、日本を代表するコンペ作品『TETSUO THE BULLETMAN』の上映が、主会場のサラ・グランデで行われました。写真は、それに先だって開かれた記者会見の模様で、右から塚本晋也監督、主演のエリック・ボシックさんです。

  『TETSUO THE BULLETMAN』は、塚本晋也の原点である『鉄男』、『鉄男Ⅱ』に続くシリーズ3作目で、今回は主人公の"TETSUO"を東京に住む平凡なアメリカ人のサラリーマンとし、全編英語で撮られたインターナショナル・バージョンです。塚本晋也の名前を世界に知らしめるきっかけとなったのが、20年前の1989年に『鉄男』がローマ・ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞したこと。というわけで、塚本監督はイタリアには根強い人気があり、前日のプレス上映でも、エンドクレジットが終わるまで席を立たずに拍手をする熱心なファンの姿が見られましたし、これまでの『鉄男』シリーズを紹介する番組が前夜、テレビで放送されていました。

red2.jpg  『TETSUO』を英語で撮るきっかけとなったのは、アメリカから『鉄男』をアメリカでリメイクするという  オファーを受けたことでした。けれども、アメリカ側と交渉を進めるうちに、自分の求める作品がアメリカでは作れそうもないということがわかってきて、改めて英語バージョンの『鉄男』を、世界で最も進んだ電脳都市ともいえる東京を舞台にして、構想も新たに練り直したということです。監督・脚本・撮影・美術・照明のすべてを塚本監督一人が兼ねるという、ハリウッド・メジャーとは真逆の手作り映画ですが、だからこそ、塚本監督が目指したイメージそのままが映像化された、百パーセント塚本テイストの映画に仕上がっていました。イタリアの多くの塚本ファンも、きっと満足するのではないかと思います。

(齋藤敦子)