シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(4)黒澤監督へ敬意 シンポジウム開催

2009/09/07

v_1.jpg    映画祭が折り返しを迎えた6日の日曜日、来年3月に生誕百年を迎える黒澤明のシンポジウムが開かれました。
 実は9月6日は黒澤の命日でもあり、私は黒澤の訃報を11年前にここで聞きました。百歳になるのは来年なのに、今年祝ってしまうというのは早すぎるのでは、という問いに、ディレクターのマルコ・ミュラー氏は、1951年に『羅生門』に金獅子賞を授与し、世界に黒澤の名を知らしめたのはヴェネチアであるから、他の映画祭に先駆けて、黒澤の重要性を強調する役目がある、とのことでした。

v_2.jpg   午後3時から行われたパネル・ディスカッションでは、司会を英国のピーター・カウイーが務め、米国のリチャード・コーリス、ドナルド・リチー、イタリアのアルド・タッソーネ、フランスのミッシェル・シマンと、名だたる映画の論客がそれぞれの黒澤論を展開した他、『羅生門』から黒澤組に参加し、長年、黒澤を支え続けたプロダクション・マネージャーの野上照代さん(黒澤組での体験を著した<天気待ち>や、映画『母べえ』の原作者でもあります)が、『羅生門』製作秘話や黒澤のエピソードを紹介。最後には、『TETSUO』の塚本晋也監督も飛び入りで黒澤体験を語るなど、黒澤監督への敬意にあふれた、熱く、温かい会になりました。

  6日は日曜日ということもあって、会場は親子連れで大にぎわい。この日はジョン・ラセターとピクサー・チームの名誉金獅子賞の授賞式と『トイ・ストーリー2 3D』の記念上映があり、子供たちのお目当ては、ディズニーが会場前に作った1日だけの"遊園地"。新作『カールじいさんの空飛ぶ家』に合わせて子供たちに風船を配ったり、着ぐるみのキャラクターたちが登場したりして、映画祭を盛り上げました。

 

 写真上:パネル・ディスカッションの模様。左から日本在住の映画史家ドナルド・リチー氏、野上照代さん、司会のピーター・カウイー氏、フランス・ポジティフ誌のミッシェル・シマン氏、イタリアの映画研究家で日本映画に詳しいアルド・タッソーネ氏、アメリカ・タイム誌の映画担当で映画批評家のリチャード・コーリス氏

 写真下:英語版<天気待ち>を手にした塚本晋也監督と野上照代さん



(齋藤敦子)