シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(5)マルコ・ミュラー氏に独占インタビュー

2009/09/10

CA0RKZ6Z.jpg   いよいよ始まった新宮殿の建設、新しい上映会場、新しいイタリア映画専門の部門の創設と、今年の映画祭には様々な"チェンジ"があります。昨年に引き続き、ディレクターのマルコ・ミュラー氏に今年の映画祭について、うかがってみました。

 ミュラー「チェンジというより合理化といいたいですね。これまで、あちこち違った方向へ発展してきたものを最適化しているんです。幸い、オリゾンティ部門が、ベルリンのパノラマやカンヌのある視点部門のように成功裡に発展してきたこともあります。前々から各部門が固有のシアターをと望んできたのですが、今年はそれが叶って新上映会場のペルラ2が出来、監督週間と批評家週間を移せたので、サラ・グランデの空いた時間に、イタリア映画の新しい部門を入れることが出来たんです。この<コントロカンポ・イタリアーノ>はイタリアの新人を紹介する部門で、5本の作品を3人の審査員で審査します。ほとんどが低予算のインディペンデント映画なので、賞品はコダックのフィルム・ストックなんですよ」

―今年はアメリカ映画が多いですね。その選択も非常にラディカルですが。

 ミュラー「なるべくしてなった選択ですね。アメリカに行って実際に何が起こっているのかを見てきたんですが、アメリカ映画は引き続き世界の映画に君臨していると思いました。そのいい例がマイケル・ムーアでしょう。カンヌでパルムを受賞した彼の『華氏911』は、非常に早い段階からフォックスが関係していましたし、今度の作品はパラマウントがバックアップしているんです。彼らメジャーは、マイケル・ムーアのようなラディカルな映画作家を取り込むだけでなく、トッド・ソロンズや、今年のヘルツォークやアレックス・コックスの作品をプロデュースしたデヴィッド・リンチにも予算を出して補助するという興味深いスペースを持っているんです」

―塚本晋也監督の『TETSUO』がコンペに入ったことは日本の映画ファンには驚きでした。

 ミュラー「あの作品の驚くべきヴィジョンに一目で恋に落ちました。一度見たら忘れられないイメージが沢山あります。もちろん他の日本映画も沢山見ていますよ。映画祭に送られてくる日本映画が少ないので、私自身で東京へ行って40本くらい見ました。もっと日本のインディーズ作品に時間が割けたらよかったんですが、コンペに入れるべき作品を見逃したとは思っていません。今年、ジャンル映画として、塚本監督とりんたろう監督の『よなよなペンギン』を上映できるのはとても幸せです。りんたろう監督は世界で最も革新的な3Dアニメ作家ですから」

 写真は、映画祭のオフィスに飾られた宮崎駿監督に名誉金獅子賞を渡している写真の前のマルコ・ミュラー氏。なお、インタビューの全文はキネマ旬報に掲載予定です。

(齋藤敦子)