シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(5)魅力ある作品の収集を

2009/12/04

 映画祭の本領はどんな作品を集めるか、それをどうプログラムして見せるかだ。

 コンペ部門、コンペ外招待作以外に、「ゴッドファーザー・オブ・ジャパニーズ・ホラー」と海外でも評価の高い黒沢清監督を目玉に、中央アジアの戦前の無声映画を3人の民俗音楽演奏家の伴奏で見せたり、アフリカの先端作品を長・短編やシナリオ朗読で探ったり、子どもを含めたヤング向けにアニメ、スリラー、ロードムービーなどを幅広く集めるなど6つを特集、76作品が紹介された。写真とのコラボも例年通り行われた。

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コンペ作への投票は真剣そのもの=カトロザ2

 今年はコンペ作品を上映会場、一番収容人数が多いカトロザ2が満席になることはなかった。4、5年前までは立ち見が出ることも珍しくなかった。映画への関心が薄れたのだろうか。そうではあるまい。コンペ作品への観客投票は真剣だし、土砂降りが交じる雨の日でも傘を差して並ぶ人たちの長い列ができた。ただ、中高年のコアなファンがほとんどで、例年より若い人は少なかったように感じた。これまでは金曜、土曜日に高校の映画クラブを中心に若い人がまとまって観賞に来ていたのだが、その方面への働き掛けは行われたのだろうか。

 映画祭事務局のまとめでは、今回の入場者数は2万8,000人。2002年の4万人をピークに減少傾向になり、03~04年は3万8,000人台、07年は3万7,000人だった。昨年も3万人の大台は確保していたはずだから、今年を寂しく感じたのは事実だったのだ。

 作品の選択は十分だったのだろうか。例えばコンペ部門、12作品の地域的な内訳はアジア10本、中南米、アフリカ各1本と大きくアジアに偏っていた。面積的に広いアジアが多くなるのは仕方ないが、昨年だとアジア6本、中南米4本、アフリカ2本とバランスが取れていた。最近は中南米、メキシコ、アルゼンチンなどが元気なはずなのだが...。今回は、どうして選ばれたのか疑問に感じる作品もあった。受賞作が集中する一方で、主演男優、主演女優、審査員特別賞などは該当作がなかった。厳しく言えばコンペ作にふさわしい作品が少なかったとも言えるのではないか。

(桂 直之)