シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(1)現代的感覚の「ロビン・フッド」で開幕

2010/05/13

20100513_01jpg.jpg  第63回カンヌ国際映画祭が5月12日より始まりました。

 去年は新型インフルエンザ騒動でしたが、開催の暗雲はアイスランドの火山灰。一時沈静化していた火山が映画祭数日前から再び噴火を始め、イギリスやスペインの空港の一部が閉鎖され、フランスにも影響が出ました。また、開催1週間ほど前に南仏を嵐が襲い、高波で映画祭の会場の一部に被害が出たり、世界的な天候不順の影響か、今年は例年よりちょっと肌寒いカンヌとなっています。

   今年のオープニングを飾った作品は、リドリー・スコット監督の新作『ロビン・フッド』。ヒット作『グラディエーター』で主演を務めたラッセル・クロウと再び組んで、獅子王リチャードの十字軍遠征に従った弓の名手ロビンが、運命的な出会いを経て、義賊ロビン・フッドになるまでを描いた作品で、『グラディエーター』より、ぐっと娯楽の色合いが濃いように感じました。特に、ロビンが十字軍の遠征で異教徒を虐殺したことを後悔したり、ロビンの恋人、レディ・マリアン(ケイト・ブランシェット)が戦闘にも参加する男まさりであったり、とても中世の話とは思えない、現代的な感覚のロビン・フッド伝説になっていました。

  夕方の開会式を前にした12日の午後、審査員の記者会見が開かれました。今年の審査員長は『アリス・イン・ワンダーランド』が世界的に大ヒットしているティム・バートン。他に、映画監督のビクトル・エリセ、シェカール・カプール、俳優のベニシオ・デル・トロ、女優のケイト・ベッキンセール、ジョヴァンナ・メッゾジョルノ、作家で脚本家のエマニュエル・カレール、作曲家のアレクサンドル・デプラ、トリノの映画博物館館長のアルベルト・バルベラの計9名です。

 実は、映画祭が最初に発表した審査員の中には、イランの映画監督ジャファール・パナヒが入っていました。イラン政府に睨まれ、自由を奪われているパナヒを救うため、審査員という口実を作って、彼が国外に出られるよう配慮したのですが、イラン政府を動かすことは出来ず、結局、パナヒの代役をアレクサンドル・デプラが務めることになったという経緯があります。

20100513_02jpg.jpg   映画ファンとしては、寡作で知られるビクトル・エリセの顔があるのが嬉しい驚きです。これは、審査員のベニシオ・デル・トロにとっても同じだったようで、「ずっと前からエリセのファンで、スペインに行く度にエリセの名前を出して、彼から(オファーの)電話が来ないかと期待していたんだ。今回、審査員を引き受けた理由の一つは、彼の名前が審査員のリストにあったことだ」と記者会見で語っていました。

 写真上は会場入口で、上の壁に、今年のポスター(ライトの光で63の文字を描くジュリエット・ビノシュ)が張られています。

 写真下は審査員記者会見の模様で、左からケイト・ベッキンセール、ビクトル・エリセ、審査員長のティム・バートン、アレクサンドル・デプラです。

(齋藤敦子)