シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(3)世界中からの声援に"ありがとうナイト"

2011/05/14

 5月11日の夕方、マドリッドから350Km離れた地方でM5.1の地震があり、震源地に近いロルカという町で建物が崩れ、8人が死亡、250人以上の負傷者が出ました。死者の出た地震はスペインでは1956年以来だそうです。思えば去年は、アイスランドの火山噴火でヨーロッパの空港が閉鎖されたり、南仏の海岸が高波に襲われたりと、自然災害の影響で揺れたカンヌでした。今、改めて、この1年を振り返ると、地球的な規模で何かが変わりつつある、そんな気分になってきます。
CIMG0719.JPG 映画祭3日目の5月13日夜、東京国際映画祭(TIFF)主催の"ありがとうナイト"が開催されました。このパーティは、東日本大震災の後、世界の映画人から寄せられた励ましの言葉や支援に感謝すると同時に、日本の現状を正しく伝え、"日本の力"を世界に発信していく決意を報告する目的だそうで、くだいて言えばTIFFは今年もちゃんと開催することをアピールするために開かれたものです。私も香港のケーブルテレビから取材を受けてみて、地震、津波、原発と、次々に起こった大災害の映像があまりに強烈だったため、日本全体が壊滅的な被害を受けたという印象を持った人達が非常に多いことに気がつきました。世界地図で見ると、日本はユーラシア大陸の端っこにある小さな島国なので、香港はもとより、地球の反対側に住む人達から、そんな印象を持たれてしまうことは仕方がないのかもしれません。が、どっこい日本は沈没していないし、今、復興のために力を合わせて頑張っているのだ、世界中からの声援・支援をありがたく思い、感謝しているのだ、と大きな声でアピールすることの重要性を感じました。
 写真上は、マーケットの日本のブースに設けられた募金箱で、TIFFの広報の筆坂健太さんと征矢あづささん。募金してくれた方には無料で緑の"ありがとう"リストバンドを差し上げるのだそうです。写真中は"ありがとうナイト"の模様で、リストバンドを見せる"頑張れ 日本!"キャンペーンのダニエル・マルケさんとTIFFの依田巽チェアマン。
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 同じ13日の午後、カンヌ・クラシック部門で、ベルナルド・ベルトルッチ、マーティン・スコセッシ、テオ・アンゲロプロス、クリント・イーストウッド、ジュリー・テイモア、アッバス・キアロスタミ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ポン・ジュノ、塚本晋也、宮崎駿という、11人のそうそうたる映画監督が黒澤明の影響について語る『クロサワの道』が上映されました。この映画を監督したのは、日本の映画監督の通訳として、あるいは日本映画の字幕翻訳者として、日本映画界に多大な貢献のあるカトリーヌ・カドゥさんです。カトリーヌ(友人なので、以下敬称略)はフランスとの合作である『乱』から、通訳として現場で黒澤を支え、『夢』では、洗濯女の役で出演もしています。去年、東京で会ったときに、この映画の構想を聞いていたのですが、出来上がった作品は、長年、名匠の傍で培ってきた豊富な映画的経験が活かされた、愛に溢れた黒澤賛歌になっていました。
 写真下は、上映前に観客に挨拶するカトリーヌ・カドゥ監督と吉武美知子プロデューサーです。
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(齋藤敦子)