シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(7)ちょっとした日本デイズ

2011/05/22

 映画祭が終盤に入った18日に河瀬直美監督の『朱花の月』、翌19日に三池崇史監督の『一命』の公式上映がありました。17日の夜には、ある視点部門で、シンガポールのエリック・クー監督が日本の劇画家辰巳ヨシヒロの作品をアニメ化した『TATSUMI』の上映があり、18日の夜には、監督週間で園子温監督の『恋の罪』の上映もあったので、この3日間は、ちょっとした日本デイズとなりました。

 『朱花の月』は、万葉集で歌われた愛の三角関係(畝傍山の愛を香具山と耳成山が争ったという巻一の十三の歌)をモチーフに、古代から現代へと続いてきた果たせない人間の思いを、河瀬らしい感性で綴った作品で、日本では9月3日から公開されます。

110522-1CIMG1068[1].jpg 前日17日の午後には、エストニア・パビリオンで「零年における60秒の孤独」プロジェクトの発表が行われ、河瀬監督が会見に招かれました。これは、ヨーロッパ文化首都に選ばれたタリン市が、世界中の映画人に60秒の映像の絵葉書を撮ってもらい、それをコラージュした作品を1度だけ上映してタリンの海に沈めるというプロジェクトで、カウリスマキ、クローネンバーグ、ジャームッシュら、そうそうたる世界の映画監督と共に河瀬監督の参加が決まったもの。
 この会見に引き続き、今度は河瀬監督から、"3.11 A Sense of Home"フィルム・プロジェクトの発表がありました。これは河瀬監督が発起人となって、3月11日の東日本大震災にちなんで世界の20人の映画作家に3分11秒の短編を撮ってもらい、1本の作品にして9月11日に奈良の寺院で上映し、その後、被災地で巡回上映するというプロジェクトです。写真は、2012年に映画誕生百年を迎えるエストニア映画を記念するポスターの前に立つ河瀬直美監督です。

110522-2CIMG1259[1].jpg 19日の午後、コンペ部門では2本目となる三池崇史監督の『一命』の上映がありました。三池監督は、前作の『十三人の刺客』が昨年ヴェネチア映画祭のコンペ部門に選ばれており、今、世界が注目する最も熱い日本人の映画監督と言ってもいいでしょう。製作は前作と同じジェレミー・トーマスで、コンペ部門初の3D作品ということも大きな話題になりました。写真は記者会見の模様で、三池監督(左)と瑛太さん(右)。カンヌに現れなかった主演の市川海老蔵さんに代わって、瑛太さんが役に込めた思いを語ってくれました。

110522-3CIMG1259[1].jpg110522-4CIMG1259[1].jpg 写真上は、『恋の罪』の上映前に観客に挨拶する園子温監督と主演の神楽坂恵さん。左は監督週間のディレクター、フレデリック・ボワイエ氏。

 写真下は、『TATSUMI』の上映後、観客からの拍手に応える辰巳ヨシヒロさん(左)とエリック・クー監督です。

(齋藤敦子)