シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(2)1920年代のパリにタイムスリップ「ミッドナイト・イン・パリ」

2011/05/13

 今年のオープニング作品はウッディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』。婚約者(レイチェル・マクアダムス)と一緒にパリに観光に来た小説家志望のハリウッドの脚本家(オーウェン・ウィルソン)が、真夜中に1920年代のパリにタイムスリップし、フィッツジェラルドやヘミングウェイ、ガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)らロスト・ジェネレーションの作家達やアーティストに出会い、ピカソの愛人(マリオン・コティヤール)と恋に落ちる...、というストーリー。
 フランスではサルコジ大統領夫人のカルラ・ブルーニがカメオ出演しているのが話題になっています。カルラの姉は仏伊両国で活躍する女優のヴァレリア・ブルーニ=テデスキですから、もともと素養はある人。ファースト・レディの仕事より向いているかもしれません。

20110513_01.jpg 11日の午後、『ミッドナイト・イン・パリ』、名誉賞を受賞するベルナルド・ベルトルッチ、今年の審査員の記者会見が連続して行われました。ベルトルッチは数年前から車椅子生活になっていると聞いて心配していましたが、壇上に現れたベルトルッチは、頭脳明晰、好奇心旺盛で、ユーモアに溢れているところは、まったく変わらず。

 今年はカンヌ・クラシック部門で修復された『暗殺の森』がニュープリントで上映されるのですが、"出来ることなら自分の体を修復してもらいたい"と言ったり、どこにでも車椅子で出かけるようになって"世界がすべて移動撮影に見える"と言ったり。『アバター』を見てから3D映画に興味を持っているのだそうで、全編移動撮影の3D映画の新作を、ぜひ撮って欲しいと思いました。

 今年の審査員長はロバート・デ・ニーロ。もちろん、押しも押されもしないアメリカを代表する名優ですが、トライベッカ映画祭を主催したり、映画を育成する側での活躍も知られていますし、マーティン・スコセッシの『タクシー・ドライバー』(1976年)とローランド・ジョフィの『ミッション』(1986年)という2本のパルム・ドール作品の主演者でもあり、カンヌとも浅からぬ関係があります。

 審査員の顔ぶれは、俳優のユマ・サーマン、ジュード・ロー、女優でプロデューサーのマルチナ・グスマン、作家のリン・ウルマン、プロデューサーの施南生(シ・ナンスン)、映画監督のオリヴィエ・アサヤス、マハマット・サレ=ハルン、ジョニー・トーです。イングマル・ベルイマンとリヴ・ウルマンを両親に持つリン・ウルマンは、"ノルウェーでは普通、父親が子供にスキーを教えるものだけど、私の父はスキーが出来ないので、夏休みに毎日2本ずつ映画を見せられた。それが父の教育だった"と語っていました。

20110513_02.jpg 今年はコンペ部門に河瀬直美の『朱花(はねづ)の月』と三池崇史の『一命』という2本の日本映画がエントリーしていますが、映画祭の常連、中国映画、韓国映画からは1本も入っていません。その代わりに、といっていいのか、審査員に中国人を2人入れて、アジア的なバランスをとったように思われます。

 写真上はベルナルド・ベルトルッチの記者会見。ベルトルッチの左にいるのは、記者会見の名物司会者アンリ・ベアール。映画評論家で英仏のバイリンガル。彼の卓越した采配がなければ、3つの記者会見を時間通りに終わらせることは不可能です。

 写真下は、審査員記者会見の模様で、左からジョニー・トー、ユマ・サーマン、オリヴィエ・アサヤス、リン・ウルマン、ロバート・デ・ニーロ、シ・ナンスン、ジュード・ローです。

(齋藤敦子)