シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(1)オープニングはクルーニー作の「3月の15日」

2011/09/01

20110901_01.jpg 第68回ヴェネチア国際映画祭が8月31日から始まりました。今年のオープニング作品は、イタリアで絶大な人気を誇るジョージ・クルーニーの監督作『3月の15日』。開会式が開かれる会場前には、クルーニー目当ての大勢のファンが集まりました。

 今年のコンペ作品は、クルーニーの他、デヴィッド・クローネンバーグ、ウィリアム・フリードキン、ロマン・ポランスキーといったベテラン勢が顔を揃えているのが話題。アジア映画は、今年も韓国映画はなく、中国映画は3本で、香港のベテラン、アン・ホイ、ジョニー・トー、台湾から『海角七号』の魏徳聖がエントリーしていますが、大陸からの参加がなく、主催者の記者会見で中国通のディレクター、マルコ・ミュラーに中国のプレスから質問が飛んでいました。

 日本映画は、コンペ部門に園子温の『ヒミズ』、オリゾンティ部門に塚本晋也の『KOTOKO』がエントリー。他に清水崇の『ラビット・ホラー3D』が特別上映されます。 また、オリゾンティ部門のオープニング作品に選ばれたアミール・ナデリの『CUT』には常磐貴子、西島秀俊が出演。前述の魏徳聖のコンペ作品『虹の戦士』は、1930年に起きた霧社事件の映画化で、日本から河原さぶ、安藤正信らが出演しています。

 今年のコンペ作品は22本と発表されていましたが、現地に来たところで、昨年の王兵の『溝』のように、サプライズ作品がもう1本増えて、23本であることがわかりました。23本は去年に比べれば少ないですが、カンヌよりはぐっと多く、内容的にも充実していて、今年で任期の切れるマルコ・ミュラーの意気込みが感じられます。

 今年の審査員長は、『レスラー』で金獅子賞を受賞、昨年も『ブラック・スワン』を出品したダレン・アロノフスキー。他に監督のトッド・ヘインズ、アンドレ・テシネ、マリオ・マルトーネ、ミュージシャンのガブリエル・バーン、女優のアルバ・ロルヴァシェル、映像アーティストのエイヤ=リーザ・アティラの7人です。

20110901_02.jpg 去年、カジノ前の敷地が掘り返されたところで、土中からアスベストが発見されて中断された新宮殿の建築は、今年は飛散を防ぐためか、白いカバーが敷地全体にかけられていましたが、建築は中断されたままで、当初2012年に予定されていた完成は大幅に遅れるでしょう。また、マルコ・ミュラーに代わって来年から誰が映画祭の舵取りをするのかもまだ発表になっておらず、ある意味、先行きが見えない中で開かれる今年のヴェネチアです。

 写真上は、開会式直前の映画宮殿前の模様で、ジョージ・クルーニーを一目見ようとファンが詰めかけました。

 写真下は、審査員記者会見後にサインに応じるダレン・アロノフスキー。昨年のコンペ作品『ブラック・スワン』は興行的にも大ヒットし、主演のナタリー・ポートマンがアカデミー主演女優賞を受賞するなど、ヴェネチアと、とても相性のいい監督です。

(齋藤敦子)