シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(3)創造性、冒険性に課題

2011/10/31

 開幕翌日の22日、六本木ヒルズのムービーカフェで審査員の記者会見が開かれました。今年の審査員は、審査員長が『ウォール街』などで知られるアメリカのプロデューサー、エドワード・G・プレスマン氏、ピーター・グリーナウェイ作品のプロデューサーでオランダ人のキース・カサンダー氏、昨年『ブッダ・マウンテン』で最優秀女優賞を受賞した中国の女優ファン・ビンビンさん、フランスで活躍する特殊メイクアップ・アーティストのレイコ・クルックさん、日本から、最新作の『ぎりぎりの女たち』がARIGATOプロジェクト"震災を越えて"で上映される小林政弘監督です。

 矢田部ディレクターとのインタビューにもあったように、今年のコンペ作品は15本、イギリス、アイルランド、フランス、イタリア、スウェーデンといったヨーロッパ映画が優勢。中南米はメキシコが1本だけ、アジアは中国映画2本、タイ、トルコ、日本が各1という内訳で、印象としては西高東低です。内容的には、名のある監督の作品はとりあえず揃ったが、必ずしも創造性にはつながっておらず、冒険している作品は少ない感じがします。有名監督、スターの出ている"普通"の作品か、無名監督、ノースターでも先鋭的な作品か。ここ数年、TIFFのコンペは"大粒化"を目指しているわけですが、それが必ずしも内容的な充実に一致しないし、一致させるのは容易ではないことが明らかになった年ではないかと私は思います。
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CIMG4118.JPG写真上は、10月23日に六本木ヒルズのムービーカフェで行われた審査員記者会見の模様。左からレイコ・クルック、キース・カサンダー、エドワード・G・プレスマン、ファン・ビンビン、小林政弘の各氏です。

写真下は、今年はARIGATOプロジェクトの一環として会場のあちこちで募金活動が行われたのですが、矢田部ディレクターの姿を見かけたので、写真を撮らせてもらったもの。募金に協力しているのは、ワールドシネマ部門に『黒澤、その道』を出品したカトリーヌ・カドゥー監督です。『黒澤、その道』は評判の高さにもかかわらず、黒澤作品の映像使用許可の問題があり、劇場公開できるかどうかは未定とのことです。

(齋藤敦子)