シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(3)デジタル化と映画文化のミライ

2011/11/26

3-1.JPG 今年のフィルメックスは、いろいろ考えさせられる企画が多いのですが、特に24日に開かれた"デジタル化による日本における映画文化のミライについて"というシンポジウムは画期的なものでした。これは市山ディレクターとのインタビューの中にも出てきますが、先月10月24日に渋谷の映画美学校で行われた第1回に次ぐものです。

 映画のデジタル化は製作の現場だけでなく、興行界でも急速に進んでいます。今、新たに作られているシネコン(シネマコンプレックス、いわゆる複合映画館)は、すでにフィルム方式ではなく、すべてデジタルによる映写方式に変わっており、大手のシネコンでは遅くとも2013年6月までにはデジタル化が完了することになっています。この設備の改変には相応の設備投資が必要になり、これが既存の映画館には大きな負担になってきます。この負担をデジタル化の受益者である映画館と配給会社で分担するシステムが考えられているのですが、今のシステムだと大手の映画会社、興行会社は確かにデジタル化の恩恵は受けても、いわゆる地方の小さな映画館や、独立系の配給会社には大きな負担を強いることになるのです。

 今回は、地方の映画館代表として、大分シネマ5の田井肇さんが日本における現状報告を、先頃ヨーロッパから帰国した元東京テアトルの工藤雅子さんがヨーロッパの事例報告をし、日本大学映画学部の古賀太教授の司会で、田井肇さん、瀬々敬久監督、俳優の村上淳さんを交えたトークセッションが行われました。

 今、着々と進行している映画界のデジタル化は、日本の映画環境をどう変えていくのか。35ミリフィルムは本当になくなってしまうのか。多くの問題をはらみながら、日本映画は待ったなしの状況にいる、ということを痛切に感じました。今回のシンボジウムの模様はUstream(http://www.ustream.tv/channel/cinerevo-digital-cinema-future-part2)でも配信されています。また、さらに多くの情報を知りたい方は、映画ファンのための応援ネットワーク、シネレボ!(http://d.hatena.ne.jp/cinerevo/)をご覧ください。

写真は、シンポジウムの模様で、左から古賀太教授、瀬々敬久監督、大分シネマ5の田井肇さん、俳優の村上淳さんです。会場には立錐の余地がないほど映画関係者が詰めかけ、熱気のある討論になりました。

(齋藤敦子)