シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(6完)「無人地帯」の福島に住む人々にスペシャル・メンション

2011/11/30

 最終日の11月27日に授賞式があり、ペマツェテン監督の『オールド・ドッグ』に最優秀作品賞が、パク・ジョンボム監督の『ムサン日記~白い犬』に審査員特別賞が贈られ、9日間の会期が閉幕しました。

 『オールド・ドッグ』については前のレポートで触れましたが、『ムサン日記』は、よりよい生活を求めて韓国にやってきた脱北者たちが厳しい現実に翻弄される姿を描いたもの。ポスター貼りで細々と暮らしながら、教会のコーラスで歌う娘に心を寄せる主人公の実直な青年スンチョルは、パク監督の学生時代の友人がモデルで、医療事故で不慮の死をとげた彼を追悼し、生き方をたどるために監督自身が演じています。2本とも、それぞれの監督の個性が光る、シンプルで深い映画で、アミール・ナデリを始めとする映画好きな審査員の好みがよく出た結果だと想いました。

 また、ハン・ジェ監督の『ミスター・ツリー』で、主人公の樹先生を演じたワン・パオチャンと、藤原敏史監督の『無人地帯』に映し出された福島に住む人々へ、スペシャル・メンションが与えられました。

 『無人地帯』が大きな賞を逸したのは、扱っている問題の大きさと深さを、見てすぐに消化することが難しいことに加えて、福島の人々の苦しみを他の映画と同列で裁くことに対する審査員のためらいもあったように思います。賞の結果とは関係なく、広く人々に見られるべき作品であり、いい形で日本公開が決まるよう祈っています。

 また、前日の26日にはタレント・キャンパス・トーキョーの最優秀企画賞が発表になり、中国のシャン・ゾーロン君の紡績工場を営むご両親を撮ったドキュメンタリー「桑の木の歌」(Song of The Mulberries)に最優秀企画賞が、イスラム教の神学校に入れられた自身の体験を基にしたマレーシアのアフィク・ディーン君の「白い少年」(The Boy in White)にスペシャル・メンションが与えられました。

20111130_06_1.jpg20111130_06_2.jpg写真上は受賞者と審査員で、左からフィリップ・アズーリ氏、チョン・スワンさん、審査員長のアミール・ナデリ氏、ペマツェテン監督、パク・ジョンボム監督、スーザン・レイさん、篠崎誠氏です。

写真下は、タレント・キャンパス・トーキョーの講師と参加者全員の記念写真で、後列で賞状を広げているのがアフィク・ディーン君(左)とシャン・ゾーロン君(右)です。

【受賞結果】
最優秀作品賞:『オールド・ドッグ』監督ペマツェテン(中国)
審査員特別賞:『ムサン日記~白い犬』監督パク・ジョンボム(韓国)
スペシャル・メンション:『ミスター・ツリー』の主演ワン・パオチャン
               『無人地帯』に映し出された福島に住む人々

【観客賞】:『アリラン』監督キム・ギドク(韓国)

【学生審査員賞】:『東京プレイボーイクラブ』監督奥田庸介

【タレント・キャンパス・トーキョー2011】
最優秀企画賞:『Song of The Mulberries』シャン・ゾーロン(中国)
スペシャル・メンション:『The Boy in White』アフィク・ディーン(マレーシア)

(齋藤敦子)