シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(2)ネット社会。ある日突然、有名に・・。

2012/09/01

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 映画のネット化が進み、チケットがオンラインで購入できるようになったことは昨年のレポートでもお伝えしましたが、今年はさらに進化し、昨年までプレスルーム周辺に限られていたネット環境が大幅に拡大、会場のどこからでも自由にアクセスできるようになりました。

 また、映画祭の上映作品をオンラインでも鑑賞できるようにしようという試みも始まりました。このオンライン映画祭は、オリゾンティ部門の10本の長編と13本の短編をネット上でストリーミングできるというもので、事前に予約が必要ですが、世界中の映画ファンが自宅で映画祭に参加できるようになったというのは、大きな変化だと思います。興味のある方は映画祭のHP(www.labiennale.org)にアクセスしてみてください。チケットは1席につき4ユーロ20セント。これで長編1本または短編2本が、その作品の正式上映日の午後9時(イタリア時間)から24時間の間に鑑賞できるそうです。

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 そんなネット化時代を反映したような映画を見ました。グザヴィエ・ジャノリの『スーパースター』という作品です。廃棄物処理場に務める、何の変哲もない男が、ある日突然、何の理由もなく有名になり、人々からサインを求められたり、写真に撮られたりする"スーパースター"になってしまう。テレビ局が彼に目を付け、生放送のインタビュー番組に引っ張り出すると、騒ぎはさらに拡大し、ついには彼の人生を一変させてしまうが...、というストーリーです。

 YouTubeにアップした画像がきっかけで、無名の人間が一夜にして有名になる、というのは最近よく耳にする話ですが、誰でもネットに繋がって一瞬にして情報が共有される今という時代に、自分の意志に反して有名になってしまうことの恐ろしさをシンプルかつ的確に描いていました。自分にはありえない話だと誰も否定できないところが、また怖いところです。

 写真(上)は記者会見場の模様です。今年は上にスクリーンが取り付けられ、会見のない時間帯にはペルラ2という上映会場に変身することになりました。内装が紺色になり、全体的に暗くなっているのは、そのためです。写真(下)は「スーパースター」の1シーン。
(齋藤敦子)