シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(4)親との子の絆に共感/是枝監督の「そして父になる」

2013/05/20

cannes_13p_04.jpg 映画祭4日目、18日の夜に、最初の日本映画、是枝裕和監督の『そして父になる』の公式上映がありました。この日は朝から雨が降り続き、レッドカーペットもあいにくの雨でしたが、2001年に『DISTANCE/ディスタンス』、04年に『誰も知らない』をコンペに、09年に『空気人形』をある視点に出品し、カンヌのみならず、国際的にも知名度の高い是枝監督の新作だけに、多くの観客が詰めかけました。前日の夜に行われたプレス上映でも反応は抜群で、これまでのコンペ作品の中で一番大きな拍手を受けたとのことです(私は東京の試写で拝見したので、監督週間にマルセル・オフュルス監督の『ある旅人』を見に行きました)。

 『そして父になる』は、6歳になる自分の息子が出生時に病院で取り違えられていたことがわかった男が、改めて息子との関係を築き直しながら、自分も父親として成長していくという物語。親子の絆という普遍的なテーマのうえに、一方が高層マンションに住むエリート・サラリーマン夫婦(福山雅治、尾野真千子)、他方が地方都市の電気屋夫婦(リリー・フランキー、真木よう子)、一方は厳しく子育てし、他方は放任主義と、シンプルな色分けがなされていて、たとえ言葉の壁があってもわかりやすいし、子役二人(二宮慶多、黄升炫)の自然な演技が微笑ましいので、海外にも十分受け入れられる作品になっていると思います。

 写真は18日の昼に行われた記者会見の模様で、左から黄升炫くんと是枝監督、二宮慶多くんと福山雅治さん、尾野真千子さん、真木よう子さん、リリー・フランキーさんです。再び家族を映画のテーマに選んだ理由を聞かれた是枝監督は、父親を亡くされたり、ご自身が父親になったりして、家族に対する考え方、立ち位置が変わってきたことを挙げていました。

(齋藤敦子)