シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(5)三池ファンの期待集まる「藁の楯」

2013/05/21

canne_13p_05.jpg 映画祭が折り返した19日の日曜には、ぐずついていた天気も回復し、会場前はコーエン兄弟のコンペ出品作『インサイド・ルウィン・デイヴィス』に出演した歌手で俳優のジャスティン・ティンバーレイクを一目見ようと多くの若い女性ファンが集まっていました。

19日から20日かけては、フランスで活躍するイタリア出身の女優ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ(サルコジ元大統領夫人カルラ・ブルーニの姉)が監督したコンペ作『イタリアの城』や、人気俳優ギヨーム・カネが70年代のフランス映画をアメリカでリメイクしたフィルム・ノワール『ブラッド・タイズ』、『スパイダーマン』や『オズはじまりの戦い』で知られるハリウッド・スターのジェームズ・フランコの監督作『私が横たわって死ぬように』の上映があり、彼らと出演スターたちの登場で映画祭が華やかに盛り上がりました。

 その盛り上がりが最高潮の20日の夜に2本目の日本映画『藁の楯』の公式上映があり、会場に詰めかけた大勢の三池ファンから、監督、主演の大沢たかおさん、松嶋菜々子さんに大きな拍手が贈られました。

 『藁の楯』は既に日本で封切られているので、ご存知の方も多いと思いますが、10億円という賞金が掛けられた殺人犯を福岡から東京まで護送することになった警視庁のSPの活躍を描いたもの。10億円という法外な賞金のために、日本人全体が敵になり、身内さえも信用できないという異常な状況の中、どこまで正義が貫けるのかがテーマになっています。

 実は、カンヌ映画祭のコンペ部門の作品は、ワールドプレミア(自国を含め、どの国でも未公開)が条件なのですが、日本で公開されている『藁の楯』はインターナショナルプレミア(自国以外の国で未公開)となり、それでもコンペに選ばれたということは、それだけ三池監督に対するカンヌの期待が高いことを表しています。

 写真は記者会見に登場した三池崇史監督、松嶋菜々子さん、大沢たかおさんです。この映画は、規制が厳しい日本では撮影許可が下りないため、新幹線などのアクション場面のほとんどは台湾で撮影されているのですが、そのことについて聞かれた三池監督は、「低予算映画を撮っていた頃に台湾の人たちに助けてもらった。今度も快く引き受けてくれて、また台湾に助けられた、感謝している」と話していました。

(齋藤敦子)