シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(5・完)最優秀作品賞にグルジアの「花咲くころ」/タレント・キャンパス成果続々

2013/12/01

2013filmex_p_05_03.jpg 11月30日の午後、有楽町・朝日ホールで受賞結果の発表と記者会見がありました。

 本賞に先だって、今年のタレント・キャンパス・トーキョー・アワードの発表があり、フィリピンのジャヌス・ヴィクトリアさんの『孤独死―夏への逃亡』、次点のスペシャル・メンションには中国のヴィンセント・ハイ・ドゥさんの『中国の音楽の夢』が選ばれました。

2013filmex_p_05_02.jpg ヴィクトリアさんの企画は、長年勤めた会社をクビになった日本人男性が母親の孤独死を知り、自分も同じ運命をたどるのではないかと悟って東京からマニラに逃亡し、そこでエンジェルという名の救世主に出会う、というもの。ハイ・ドゥさんの企画は、ドイツの音楽大学へ留学することを夢見てドラムを学ぶ16歳の少年を追ったドキュメンタリーで、すでに撮影を始めている進行中のプロジェクトです。

2013filmex_p_05_01.jpg 28日の昼に映画関係者やプレスを交え、一人の持ち時間10分で企画を説明するオープン・プレゼンテーションが行われましたが、多数の応募の中から選ばれただけあって、どれも面白く拝聴しました。26日には、2010年のタレント・キャンパス(当時はネクスト・マスターズ)参加者で、今年のカンヌ映画祭でカメラ・ドールを獲得した他、先の台湾・金馬奨で4冠を達成した『ILOILO』のアンソニー・チェン監督と、昨年のタレント・キャンパス参加者で、今年『トランジット』を監督して戻ってきたハンナ・エスピア監督の"ハッピー・リターン"トークショーも行われました。

 市山プロデューサーはたった3年でアンソニー・チェン監督のような成果が出たことを驚いていましたが、選りすぐった企画をさらにブラッシュアップし、資金集めの方法や共同製作者、配給会社の見つけ方を教えるタレント・キャンパスは、いわば即戦力を育てる場。これからも参加者の中から、続々と成果が誕生していくことでしょう。

 今年の最優秀作品賞に選ばれたグルジアの『花咲くころ』は、90年代前半、ソ連崩壊後、内戦で混乱したトビリシで成長する14歳の少女を描いた作品で、ベルリン映画祭フォーラム部門で上映された作品。審査員特別賞は学校でいじめにあう13歳の少年を描いたカザフスタンの『ハーモニー・レッスン』で、これは今年のベルリン映画祭のコンペティション部門に出品され、芸術貢献賞を受賞しています。

 スペシャル・メンションの『カラオケ・ガール』はカラオケ・ガールと呼ばれるナイトクラブのホステスの日常生活をドキュメンタリーとフィクションを交えて描いた作品。『トーキョービッチ、アイラブユー』は、近松門左衛門の<曽根崎心中>を現代の東京に翻案した舞台劇の映画化という面白い作品でした。

 アンソニー・チェン監督の『ILO ILO』は観客賞、ハンナ・エスピア監督の『トランジット』は学生審査員賞と、まんべんなく行き渡った感のある受賞結果でした。

写真上は今年のタレント・キャンパス・トーキョー参加者の記念写真。
写真中は"ハッピー・リターン"トークショーの模様。
写真下は、受賞者を交えた今年の審査員との記念写真です。

(齋藤敦子)