シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(2)女性の性の遍歴描く/ラース・フォン・トリアーの「ニンフォマニアック」

2014/02/12

 ベルリンの出品作の多さについては去年のレポートでお伝えしましたが、今年はコンペの本数がさらに増え、ウェス・アンダーソンのオープニング作品を含めて21本もあります。その内訳は、既報の山田洋次監督『小さいおうち』を始め、今年92歳の名匠アラン・レネ監督の『ライフ・オブ・ライリー』、ジョージ・クルーニー監督の『ミケランジェロ・プロジェクト』、リチャード・リンクレイター監督『少年時代』など。国別では、主催国のドイツが4本で最多ですが、中国がロウ・イエ監督の『推拿』を含めて3本をエントリーして続いています。

 どの映画祭も最初の週末に一番の目玉を上映することになっていますが、ベルリンでも8日と9日に今年最大の話題作が2本登場しました。1本はジョージ・クルーニーの監督作『ミケランジェロ・プロジェクト』、そしてもう1本がラース・フォン・トリアー監督『ニンフォマニアック』です。

 『ミケランジェロ・プロジェクト』(原題は『モニュメンツ・メン』)は、第二次大戦末期、ナチスが略奪した美術品を戦争の破壊から救うために結成された"モニュメンツ・メン"と呼ばれる特殊部隊の活躍を描いた作品で、ロバート・M・エドゼルのベストセラー<ナチ略奪美術品を救え>の映画化。リーダー役にクルーニー自身が扮し、仲間に加わる美術の専門家をマット・デイモン、ビル・マーレー、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダンら豪華キャストが演じ、映画祭の期待通り、クルーニーを始め、マット・デイモン、ビル・マーレーらがレッドカーペットに登場し、集まったファンを喜ばせてくれました。

 ラース・フォン・トリアーの『ニンフォマニアック』は、ある女性の性の遍歴を描いた作品で、『アンチクライスト』、『メランコリア』に次ぐ"不安の3部作"の最終章。1部2部合わせて5時間を超える大作で、すでにヨーロッパで公開済なのでコンペにエントリーせず、第1部のディレクターズ・カット版(2時間25分)が特別上映されました。

 セックスに取り憑かれた娘という内容もスキャンダラスですが、トリアーがカンヌの棕櫚のマークの下に"ペルソナ・ノングラータ"と書いたTシャツを着てフォトコールに現れたのにもびっくりでした。2011年のカンヌで、『メランコリア』の記者会見での発言(ヒトラーに親近感を感じる)をめぐって騒動になり、カンヌ映画祭が彼を"ペルソナ・ノングラータ"として処分した経緯については、この欄でも紹介しました。いまだに本気でカンヌを恨んでいるのか、スキャンダルを提供してベルリン映画祭を盛り上げてやろうというサービス精神なのかは判断に苦しむところですが、これ以上の舌禍事件を予防するためか、トリアー本人は記者会見に現れませんでした。

ベルリン国際映画祭公式サイト

(齋藤敦子)