シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(2)デジタル修復作そろう/クラシック部門

2014/05/17

cannes_p2014_02_01.jpg 今年の日本映画はコンペ部門に河瀨直美監督の『2つ目の窓』が出品され、マイク・リー、ダルデンヌ兄弟といった蒼々たる名監督たちとパルム・ドールを競う他、短編コンペ部門に東京芸術大学大学院の佐藤雅彦教授監修で4人の学生が監督した『八芳園』、映画学校の学生を対象にしたシネフォンダシオン部門に、ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・アート シンガポール校の平柳敦子監督『オー!ルーシー』、ENBUゼミナールの早川千絵監督『ナイアガラ』がエントリーしています。

 本格的な上映が始まった15日の午後、カンヌ・クラシック部門の上映が、昨年亡くなられた大島渚監督の『青春残酷物語』から始まりました。写真は上映前に挨拶する『戦場のメリークリスマス』などのプロデューサー、ジェレミー・トーマスさんと映画学生時代に大島監督の作品に影響を受けたと語る今年の審査員のひとり、ジャ・ジャンクー監督です。

 今年のカンヌ・クラシック部門で上映されるのはすべてデジタル修復された作品で、ジャン・ルノワール監督の『牝犬』、セルゲイ・パラジャノフ監督の『ざくろの色』など誰もが認めるクラシック作品がほとんどですが、加えて、私が同時代に見てきたフランソワ・トリュフォー監督の『終電車』、クシシュトフ・キエシロフスキ監督の『偶然』、ヴィム・ヴェンダース監督の『パリ、テキサス』などが入っていることに隔世の感がありました。これはフィルムからデジタルへという技術革新により、フィルムをデジタル化しなければ上映できなくなっている現状に対応する動きが背景にあります。

 松竹のデジタルリマスター版シリーズは、昨年のカンヌでお披露目された『秋刀魚の味』を始めとする4本の小津安二郎作品に続くものですが、今回はスキャン、修復、DCP制作の3段階をすべて4K解像度で行い、大島監督の盟友で『青春残酷物語』の撮影監督でもある川又昂氏が画像を監修する、という万全の体制で行われたということです。特に今年米寿を迎える川又昂氏の驚異的な記憶力に非常に助けられたという話を関係者からうかがうと、修復のタイミングのリミットが迫っていることを強く感じます。もっと多くの作品をもっと早く修復するために、松竹という一映画会社の努力だけでなく、映像文化の修復・保存への理解と援助を広く求めたいところです。

(齋藤敦子)