シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(3)原発の矛盾、さらに深刻に/舩橋監督の「フタバから遠く離れて 第二部」

2015/02/13

2015berlin_p_03_01.jpg  映画祭の中日にあたる10日は、フォーラム部門で高橋泉監督の『ダリー・マルサン』のプレス上映、午後は動物公園駅に近いデルフィという古い映画館で舩橋淳監督の『フタバから遠く離れて 第二部』の上映とQ&A、夜はキュリナリー・シネマ部門で森淳一監督の『リトル・フォレスト』の上映と映画にちなんだ夕食会があり、ちょっとした日本映画デーになりました。

 『フタバから遠く離れて 第二部』は、原発事故で町が全面立入禁止の警戒区域になり、埼玉県の高校に避難した双葉町町民を追ったドキュメンタリーで、第一部の後から現在にいたるまでの3年間を追ったもの。第一部で原発推進派から原発反対派に変わっていった井戸川町長は、第二部では町議会と対立して辞任に追い込まれ、ささいな補償金の違いで、高校に避難した町民と仮設住宅に入居した町民との間で激しい対立が起こるなど、原発行政の矛盾と補償政策の矛盾に翻弄され、問題がさらに大きく、深刻になっていく様子が克明に描かれています。上映後のQ&Aでは、今の福島の現状や今の避難所生活から抜け出せない町民がいることに質問や疑問が出て、監督が熱心に答えていました。

2015berlin_p_03_02.jpg キュリナリー・シネマとは料理をテーマにした映画の部門で、上映後に映画からインスパイアされたディナーが楽しめる人気のイベントです。『リトル・フォレスト』は五十嵐大介の漫画の映画化で、東北にある架空の村"小森"を舞台に、都会から村に戻って自給自足の生活をしながら人生を立て直していく主人公いち子の春夏秋冬を、そのときどきの食べ物と共に描いた作品。後半の『冬/春』編が2月14日から公開されていますが、ベルリンでは夏と冬の2編が上映されました。撮影は岩手県奥州市で1年かけて行われ、東北の美しい自然と伝統的な和食がドイツの観客の目と胃を大いに刺激したことでしょう。 

 写真上は『フタバから遠く離れて 第二部』の上映前に挨拶する舩橋淳監督。

 写真下は『リトル・フォレスト』の上映前にドイツ語で用意した挨拶を読み上げる橋下愛さんと森淳一監督です。

(齋藤敦子)