シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(9・完)パルム・ドールにオディアールの「ディーパン」/注目の「サウルの息子」はグランプリ

2015/05/25

 24日の夕方、主会場のリュミエール・ホールでコンペ部門の授賞式が行われました。

 写真は上からパルム・ドールのジャック・オディアール、グランプリのネメシュ・ラズロ、監督賞の侯孝賢、男優賞のヴァンサン・ランドン、審査員賞のヨルゴス・ランティモス、女優賞のルーニー・マーラに代わって賞を受けたトッド・ヘインズ、女優賞のエマニュエル・ベルコ、短編パルム・ドールのエリ・ダゲール、カメラ・ドールのセサール・アウグスト・アセヴェド、脚本賞のミシェル・フランコ。

2015cannus_p_09_01.jpg  大方の予想を裏切ってパルム・ドールに輝いたのはジャック・オディアールの『ディーパン』。スリランカの内戦で反政府側の兵士として闘ったディーパンという男が、偽の家族を連れ、身分を偽ってフランスに逃亡し、ギャングが支配する郊外の団地で管理人として働き始め、ギャングの抗争に巻き込まれるという物語。背景になっている移民の問題が評価を上げたように思います。4度目の挑戦で念願のパルムを手にしたオディアールは満面に笑みを浮かべていました。

2015cannus_p_09_02.jpg グランプリの『サウルの息子』は今年最大の発見とも言うべき作品で、受賞は確実視されていました。初監督作でのグランプリは立派で、次回作が楽しみな新人の登場です。

 『黒衣の刺客』は、批評家の星取り表で最も得点が高かった作品で、リベラシオン紙が1面で"我らのパルム"と書いたりしたので、中国のプレスはパルム・ドールを期待していたようですが、受賞後の記者会見で侯孝賢は"映画祭はゲームの規則のようなもの。参加できただけで満足で賞は気にしていない"とサバサバしていました。

2015cannus_p_09_03.jpg 評価の高かったナンニ・モレッティの『私の母』やパオロ・ソレンティーノの『若さ』が無冠に終わってイタリア映画は受賞ゼロ、逆に評価の低かったフランス映画が3賞と、ちょっと釈然としない結果になりました。最も残念だったのは、トッド・ヘインズの『キャロル』がルーニー・マーラの女優賞だけだったこと。ヘインズは"ワールドプレミアだったカンヌで多くの人に作品が受け入れられたことで十分"と語っていましたが、2年前にカンヌでは無視されたソレンティーノの『グレート・ビューティー/追憶のローマ』がアカデミー賞外国語映画賞を受賞したように、きっと『キャロル』も今後の賞レースで多くの賞を獲得していくでしょう。      

2015cannus_p_09_04.jpg【受賞結果】

●コンペ部門

パルム・ドール:『ディーパン』監督ジャック・オディアール
グランプリ:『サウルの息子』監督ネメシュ・ラズロ
監督賞:侯孝賢『黒衣の刺客』
男優賞:ヴァンサン・ランドン『マーケットの法則』監督ステファヌ・ブリゼ
審査員賞:『ロブスター』監督ヨルゴス・ランティモス
女優賞:ルーニー・マーラ『キャロル』監督トッド・ヘインズ
    エマニュエル・ベルコ『私の王様』監督マイウェン
脚本賞:ミシェル・フランコ『クロニック』監督ミシェル・フランコ

2015cannus_p_09_05.jpg●短編コンペ部門

パルム・ドール:『ウェーヴ '98』監督エリ・ダゲール
カメラ・ドール:『大地と影』監督セサール・アウグスト・アセヴェド

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(齋藤敦子)