シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(4)プサン国際映画祭を守れ/ポツダム広場で支援集会

2016/02/20

2016berlin_p_04_01_02.jpg 2月14日の10時から、ポツダム広場の一角でプサン国際映画祭を支援する集会が開かれました。ことの発端は、2014年に、セウォル号沈没事件を題材にしたドキュメンタリー『ダイビング・ベル』が政治的中立性に欠けることを理由に、プサン市長から上映を中止するよう要求されたことでした。

 映画祭側は、これを表現の自由への政治的圧力として拒否。すると、市長はイ・ヨングァン執行委員長の辞任を要求。これも映画祭側が拒否すると、映画祭への助成金カットなどの実力行使に及び、2015年には実際に縮小された予算で映画祭が開催される事態になりました。

 これに対して昨年暮れからツイッター(#ISUPPORTBIFF)上にプサン映画祭サポートの声が挙がり始め、韓国国内はもとより、プサンにゆかりのある各国の映画人がサポートを表明。日本からも是枝裕和監督や黒沢清監督が参加し、連帯の輪が世界中に広がっていきました。今回の集会は、韓国国内のチョンジュ国際映画祭、ソウル国際女性映画祭、プチョン国際ファンタスティック映画祭など5つの映画祭が共同でプサンを支援する声明を出すとともに、ベルリンにいる世界の映画関係者と連帯する目的で開かれたものです。

2016berlin_p_04_02_02.jpg 映画祭の予算をたてに圧力をかける行政側と表現の自由を守りたい映画祭側の攻防が今後どのような決着を迎えるかはまったく予測できませんし、海外からいくら支持の声が高まったとしても、それを行政側が素直に受け入れるかどうかは不明です。今月18日にはプサン市長が映画祭の組織委員長を辞任するなどの動きもあり、事態は予断を許さない状況にあります。

 さて、ひるがえって今度は同じようなことが東京国際映画祭に起こったとしたらどうなるかを考えてみましょう。日本国内の映画祭が手を組んで東京国際映画祭に連帯し、表現の自由を求めて政府に立ち向かうなどということは、まずありえない気がします。そもそも東京国際映画祭が政府の意向に背く作品を選んで上映するということが考えられない。その前に自主規制してしまうでしょう。こう考えると、プサンも大変ですが、一見平穏な東京の方が、より重い問題を抱えているように私には思えるのです。

写真(上)は「会場の入り口に貼られたプサン国際映画祭を支援するポスター」

写真(下)は、「思い思いに支援の言葉を記していく来場者」

(齋藤敦子)