シネマに包まれて-映画祭報告

presented by 河北新報

(7)クルド部隊の対テロ戦争ルポ/追加上映された「ペシュメルガ」

2016/05/21

2016_07_01cannes_photo.jpg 最終日の2日前、20日の午後3時に、映画祭開催後に追加で特別上映されることが発表になったベルナール=アンリ・レヴィの「ペシュメルガ」の公式上映がパレ内のサル・バザン(映画批評家アンドレ・バザンの名を冠した、リュミエール、ドビュッシーに次ぐ500席程度の上映会場)で行われました。この日は朝の上映前のリュミエールを警察が探索したり、制服姿の警察官がいつもより目立つなど、ピリピリとした雰囲気が漂っていましたが、それはこの上映のためだったことが行ってみてわかりました。

 ペシュメルガとはクルド自治政府に属する戦闘部隊のこと。映画はダーイシュ(イスラム国)と戦うペシュメルガの最前線を南から北へたどるルポルタージュで、実際の戦闘や、ダーイシュの占領地域をドローンで撮った映像などが出てきます。会場にはペシュメルガの将校やクルド自治政府の要人が登場。壇上で世界最悪のテロ組織と戦うクルド人の悲願である独立に支持を求める声明が読み上げられました。

 カンヌ映画祭はこの映画を公式上映作品に選んだことで、テロ組織に対して宣戦布告をしたのも同然。もちろんテロとの闘いを表明しているフランス政府の指示もあって、余計な緊張を高めないよう、この映画の上映を会期が始まるまで待って発表したのでしょう。パレの入口とバザンの入口で2度のボディチェックを受けるものものしさでした。

 写真は上映前の挨拶の模様で、中央で手を挙げているのがベルナール=アンリ・レヴィ、すぐ右の小柄な男性が彼に付き添ったカメラマン、その右が(私の理解が正しければ)声明を読み上げたペシュメルガのプレジデントです。

(齋藤敦子)