第154話について

『第154話 黒と金』

政宗の運命を決定的に変えた秀吉って、どんな人だったんだろうと考えてみました。
秀吉政権のことは今どんどん研究が進んでいますね。
今回はそういう研究成果からでなく、そばで見たらどんな人物だったのかなという想像です。


小田原の総構より大きい京のお土居。
内裏より大きい聚楽第。
信長が大陸に子息を送り出す計画があれば、(次回書きますが)秀吉は唐から天竺までの外征を語ります。
誰かよりも大きく、強いこと。
乗り越えて乗り越えて今に至った人は、乗り越える対象を探します。


聚楽第はこの文字で「じゅらくてい」と読むのが最近の研究成果です。
このマンガでもその読み方で行きます。

聚楽第の絵があんまり残っていなくて往生しました。
三井記念美術館にある『聚楽第図屏風』だと、壁が白いのですね。
それから屋根が緑です。
悩んだのですが、秀吉の城は壁が黒いという通説から、壁を黒くしてみました。
根拠が弱いですね。
屋根については銅板葺が時間がたって緑青で落ち着いたと考えてみました。


屏風絵を見るときには、屋根が何種類か書き分けてあるのを見ると楽しいです。
ひとつの城の中に銅葺、檜皮葺(ひわだぶき)、板葺、瓦葺が混在します。
どんな用途の建物だったのか、考える手がかりです。


篠田正弘監督の『梟の城』という映画がありました。司馬遼太郎原作です。
聚楽第が大事なシーンで、とにかく屋根が大きい!という表現が素敵でした。
それで今回は屋根を描きたくて、三井記念美術館の『聚楽第図屏風』から、聚楽第を見下ろすという構図を描いてみました。
下から見た絵で上から見た絵を想像するのはなかなか大変。
スケールがなあ。あってるのかなあ。もっと人間は小さいかなあ。
でもこれ以上小さくすると仕草が見えません。
上から見た屋根、それから大広間の天井、今回これでかなりの時間を使っています。gaku-154.jpg
これまでの米沢城時代には天井板を張らない表現にしています。



マンガの中では、秀吉と政宗が「金色が好きだ」という話をします。
同じ色を好きだと言いつつ、決定的にすれ違っています。
秀吉は飢えて凍えて、他人の家の赤や金を見つめていたのかもしれません。
一方政宗は、長くて暗い米沢の冬でも自分の城の中です。信頼できる父母や家臣たちとともに、必ず来る春を語らいあいながら待つ花の黄色、杯の赤です。


政宗が出会った時、秀吉は頂点を極めようとしていました。
これから政宗は秀吉の凋落の中で翻弄されてゆきます。


最後のコマは、素敵な桜でしょう。
今回は屋根に時間を使い過ぎて、この時代のこの地域の桜を特定できなかったのです。
吉野白桜がよかったのではないかと今頃思います。
この絵の桜は、ちょうど榴ヶ岡の野球場にパトレイバーが来るというので見に行って、起動できゃっきゃ大喜びし、次の起動までの間にそこにあった桜をスケッチしたのです。
つまりイングラム桜ですね。