第164話について

『第164話 天泣 』gaku-164-02.jpg


「天泣」、てんきゅう。
空が曇っていないのに雨が降る現象、天気雨。最後のコマでは本当に豪雨になっていますのでちょっとずれるのですが、勝っていながら心中号泣の思いの政宗たちを思ってこのタイトルにしています。
落城はいつもつらいですが、今回も救いがないです。

吹き出しを抜いた絵でご覧ください。
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宮崎城は大軍に攻められて一日は猛反撃したけれど、最初から長期の籠城ができる体制ではなかったように見えます。
城主は逃げ落ち、家老が城に火を放ちました。
笠原家中は同族の家老と城主が折り合わず、降伏しそびれているうちに籠城に入ってしまい、華々しく戦ったのち自落した、という流れでしょうか。

「笠原文書」に何回か出てくる「大将は撃たぬものぞ」、身分のある武将には鉄砲を向けないものだとあるのですが、私はほかではまだ読んだことがありません。
一方で伊達軍では大物クラスが撃たれて死んでいます。
侍道の理想と追い詰められた現実には、いろいろ齟齬があったのでしょう。

亡骸が流れ着いた米泉は、一揆の発端となった事件が起きた村です。
軍記もので「敵も味方もなく供養した」とありますが、敵も味方も判別できない状況というのもありそうです。

これは時々考えてしまうことなのですが...。
強い敵をひと時でも凌ぎ、最後にほろんだ城の地元では、滅んだ側を称賛し、攻めて来た側への「恨みを忘れるな」になることがあります。
でも、私たちは、生き延びた人たちの子孫です。
生き延びた人たちは、勝った側と折り合い、溶け込んで子孫を残し、私たちがいます。
葛西大崎の城主たちは政宗につき、政宗は秀吉に従って生き延びました。
名のある武将が多く死んだことが評価されました。

秀吉政権の監視下で、滅んだ側も、滅ぼした側も、どちらも奥州勢でした。
葛西大崎一揆に勝者はいないように思います。


政宗たちはこの後すぐ佐沼城に向かいますが、マンガは一話、「政宗と氏郷」を挟みます。