ウィッグ

 友達がふと疑問に思った「ウィッグ」という言葉。何かと奥さんに尋ねたら「知らないの? カツラのことよ」と、いくぶん冷ややかな答えが返ってきたとのこと。それもそのはず、女性向けのCMに登場するこの言葉、私たち男性にはあまりご縁がないものです。もっとも、「男性用のウィッグ」も出回っているようですが。

 このカタカナ語は英語の wig に由来するのはご存知でしょう。

 調べてみると、17~18世紀の英国で男子による着用が流行し、以来、裁判官らに法廷での白いカツラ着用を義務づけていました。法廷の威厳を保つためのようですが、2008年から一部地方で民事裁判に限って廃止されました。

 さて、日本語で「かつら」は「かぶる」と言いますが、英語では wear a wig と表します。「かつらを着る」? ちょっと違和感がありますね。実はこれが日本語と英語の大きな違いの一つなのです。

 日本語ではスーツは「着る」、帽子は「かぶる」、眼鏡は「かける」、靴は「はく」、メイクは「する」と言いますが、英語はそれぞれ wear suits / wear a hat / wear glasses / wear shoes / wear make-up と、全て動詞の wear で間に合います。日本語の方が多種多様で、学習する外国人が戸惑う点の一つです。

 かつて英語の本で出逢った文章で驚いた表現があります。

 She was wearing a smile.

 直訳すると「彼女は微笑みを身につけていた」...?! 「微笑みを浮かべていた」というのが自然な日本語ですが。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)