俳句(1/19掲載)

【石母田星人 選】

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山眠る発電風車置きざりに  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】風のエネルギーにより風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて発電するのが風力発電。石油やガスなどの燃料を使わず、再生可能エネルギーとして注目されている。課題もある。不安定な発電量、風車設備の大型化などだ。この句は、沿岸部の山中で稼働中の風車を見上げた光景。枯れた山中に巨大な羽根が音を立てていた。「山眠る」という擬人化した季語を巧みに使った構成。穏やかな表現の中に風刺がある。

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九年を迎ふる浜や初日の出  (東松島市矢本・雫石昭一)

【評】顔を出した初日に手を合わせるとこの9年の出来事が浮かんできたという一句。先日の河北新報の報道で復興の遅い浜の存在を知った。初日はどの浜も分け隔てなく、神々しく照らしてくれるというのに。

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次の世も男に生れ餅を搗く  (石巻市小船越・芳賀正利)

【評】ぐっと腰を入れて軽快にぺったんぺったん。家庭用の餅つき機が主流になっても臼と杵にこだわる作者。その願望にはあふれんばかりの若さを感じる。

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日を入れてまるごと暮るる大枯野  (石巻市相野谷・山崎正子)

【評】闇が横たわる大枯野。闇の深部は見えない。だが作者には細部まで見ることができる。枯野全てを知り尽くしているという土着の思いがそうさせる。

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暗き世を明るく照らす冬花火  (東松島市矢本・奥田和衛)

正月は子らが主役のわが一座  (石巻市蛇田・石の森市朗)

龍飛ぶは枯野の夢でありぬべし  (東松島市矢本・紺野透光)

連獅子の天地打ちたる毛振りかな  (東松島市新東名・板垣美樹)

きざはしを連なり進む大旦  (仙台市青葉区・狩野好子)

極月や直方体の鯨肉  (石巻市中里・川下光子)

六本の飛行機雲の七日かな  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

海へ出るインターチェンジ冬至来る  (石巻市桃生町・西條弘子)

残り物携え集う女正月  (石巻市南中里・中山文)

黄昏に残る柿の実ひとつあり  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

ペンと辞書しまわぬままの掃納  (石巻市開北・星ゆき)

田の神も心おきなく冬やすみ  (東松島市矢本・菅原れい子)

初日の出二拍の響き木霊して  (石巻市門脇・佐々木一夫)

暖冬や季節はずれのふきのとう  (石巻市のぞみ野・阿部佐代子)

一面の訃報広告虎落笛  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

除夜の鐘ついて息災神宿る  (石巻市桃生町・高橋冠)