ゴー、ウェント、ゴーン

 前回の最後で、「 " When the cat's away, the mice will play."(猫がいないうちにネズミたちは遊ぶ)に似ている日本語の諺(ことわざ)は?」という質問をしましたが、答えは「鬼の居ぬ間に洗濯」です。だいぶ発想は異なりますが。

 さて、ご周知のとおり昨年の年の瀬、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が不法に出国し、レバノンに逃亡したとのニュースが速報( breaking news )で流れました。その後、日本を出るまでの足取りが関係者への取材で分かり、年頭から連日メディアをにぎわしています。その逃亡劇たるや「ミッション・インポッシブル」( Mission Impossible )顔負けの仕掛けで驚かされます。

 ブラジル出身のゴーン被告の名前は、Carlos Ghosn と綴りますが、「ゴーン」と聞くと私などは英語の gone を思い浮かべてしまいます。中学の授業で必死で覚えた動詞の不規則変化の一つ。go < went < gone ( ゴー・行く < ウェント・行った < ゴーン・行ってしまった )。この gone は、アメリカの映画や文学のファンであればすぐ思い浮かべるでしょう。そうです。「風と共に去りぬ」の原題は" Gone With the Wind"。

 駄洒落(だじゃれ)が趣味の私などは「除夜の鐘のゴーンとともにゴーンはゴーン」などと一句、あるいは「ゴーンさん、お箱入り、べつルートへカネと共に去りぬ」などというオヤジギャグが浮かんでしまいます。

 もっとも gone だけでは「去りぬ=去った」とはなりません。高校の授業で習いましたね。たとえば「彼はロシアに行ってしまった(今は日本にいない)」は、He has gone to Russia. と「現在完了形」にする必要があります。

 古希を過ぎても英語教師根性がスルーしない私です。お許しあれ。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)