(2)成長戦略/産業雇用の創出描く

20090525.JPG パプアニューギニア北部のマダン。沿岸部は表情に富んだ海底地形を持ち、多様な水生生物が生息する。ダイビングスポットとしても知られる港町は今、国を挙げた水産加工プロジェクトに沸いている。
 海岸地区に860ヘクタールを所有するフィリピンの多国籍企業「RD社」が用地を提供。世界各国から水産加工業を誘致し、集積する構想だ。
 既にRD社と台湾の漁業会社フェアウェル社が、沿岸で捕れるキハダマグロやカツオを原料にしたツナ缶の製造工場を建設することが決まっている。
 国家漁業総局(NFA)は当面の予算として約4000万円を確保、誘致活動を本格化させている。国は別に予算を組み、工場の建設費なども助成する方向で検討を進めているという。


 積極姿勢の背景には、健康志向の高まりや牛海綿状脳症(BSE)問題の影響で、ツナ缶や刺し身マグロの需要が世界的に拡大している実態がある。
 世界のツナ缶生産量は2006年、約166万7000トンに達し、1970年代の50万トン前後から3倍超に急増した。刺し身マグロは近年、日本以外の消費量が伸び、米国で5万トン、韓国で2万トン規模の市場が形成されている。
 集積を目指す業種には日本や米国、オーストラリアの刺し身市場を視野に、輸出しやすいように魚の身を4つ割りにするブロック加工も含んでいる。
 日本のマグロはえ縄船の入漁を拒む一方で、加工分野では「刺し身でもかつお節でも構わない。日本企業の進出、投資を期待している」(NFA)。

20090525_02.JPG 鉱物資源が豊富なパプアニューギニアは石油や天然ガス、金、銅、ニッケルなどの好調な輸出に支えられ、プラス成長を続ける。
 この数年は投機マネーの流入で鉱物資源の国際市場が混乱、先進各国の企業は産出国との直接取引に乗り出した。2013年にも始まる予定の液化天然ガスの大規模開発プロジェクトも見越し、外国人向け高級ホテルの宿泊料は2倍に高騰した。
 「資源」の価値は、市民レベルでも実感として浸透しつつある。
 首都・ポートモレスビーでマグロはえ縄漁業会社を経営するブレース・パルさん(51)は「鉱物資源は掘り尽くせばなくなってしまうが、水産資源は利用の仕方次第で利益を生み続ける。継続的な経済成長のために、うまく活用しない手はない」と指摘する。
 総人口約619万人のうち約85%は農業を中心に自給自足の生活を送っている。
 入漁料を受け取って遠洋漁業国に魚を捕らせるだけの国から、水産資源を産業・雇用の創出につなげる国へ。大きくかじを切るパプアニューギニアの戦略に、マグロ資源は欠かせない存在になっている。


写真:マグロ資源を生かした水産加工業の集積を目指すプロジェクト予定地=4月27日、パプアニューギニア・マダン

 

(2009/05/25)