お産SOS 河北新報社

第4部/迷える女性医師

[ 2007/03/14 ]

(5完)パートタイム/戦力維持へ 働き方配慮

20070314osan.JPG 「今は、このペースがちょうどいい」。仙台徳洲会病院(仙台市泉区)の加藤瑞穂さん(33)は週3日、産婦人科の外来を担当する。分娩(ぶんべん)はやらない。
 2003年、山形大医学部から赴任した。常勤は女性がもう1人。お産も受け付けていた。自分のおなかが大きくなるまで、自宅待機の宅直も1日おきにこなした。
 約1年の育児休暇を終えた昨年3月、職場に戻った。「週3日勤務」が条件。入れ替わりに、常勤医は辞めることが決まっていた。

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第4部/迷える女性医師

[ 2007/03/13 ]

(4)開業の訳/育児と両立 窮余の選択

 受話器を置くと、幼い長女が寂しそうに話しかけてきた。「ママ、病院行くの? 電話だけで終わり?」
 山形市で「さとこ女性クリニック」を開業する産婦人科医の井上聡子さん(39)。2002年4月から山形県白鷹町立病院に勤務したときのことを思い出す。

 山形大医学部から派遣が決まった当時、長女は5歳、二女は生後10カ月。育児のことが頭をよぎった。転居はできない。近くに実母が住む山形市内から車で通うことにした。
 自宅から町立病院までは片道35キロ。峠越えで、冬場は往復3時間かかった。吹雪で帰宅できない夜もあった。

 産婦人科は常勤医1人体制だった。人口約1万7000の町で、分娩(ぶんべん)施設は1カ所だけ。扱うお産は年70件程度とそれほど多くはなかったが、緊急の帝王切開手術は山形大に応援を頼む。医師が来るまで、胸は高鳴り続けた。

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第4部/迷える女性医師

[ 2007/03/12 ]

(3)気兼ね/周囲の理解で 勤務に道

 東北大大学院医学系研究科の院生でもある産婦人科医の宮下恭子さん(31)=仙台市青葉区=は昨年9月、大学病院の仕事に復帰した。
 長女の倫佳(ともか)ちゃんは5月に生まれた。学位論文と細胞診専門医の認定試験が迫り、「取り残されるような焦りがあった」。育児休暇に期限はないが、4カ月弱で切り上げた。
 病院では旧姓の「太田」を使う。産科も担当するが、専門は婦人科。当直や週末の当番は外してもらっている。
 保育所に空きがなく、倫佳ちゃんは泉区の実家の母(57)に預ける。自宅を出るのは午前7時ごろ。手術が立て込むと、迎えは午後8時を回る。
 「早く帰っていいよ」。同僚が気遣ってくれる。妊娠前は朝から晩まで病院で過ごした。先輩の女性医師は子どもを育てながら当直も当番もこなした、と聞かされた。
 「もっと頑張れるのかもしれない。でも、子どもを産みっぱなしにしたくない。仕事も子育ても中途半端になっているのではないか」。もどかしさを感じていた。

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第4部/迷える女性医師

[ 2007/03/11 ]

(2)激務の支え/疲れ癒やす 小さな笑顔

 18歳を頭に14歳、12歳、10歳。国立病院機構弘前病院(弘前市)の産婦人科医長、真鍋麻美さん(47)は4人の子どもがいる。夫は脳神経外科医。北海道函館市に単身赴任しているが、家庭はにぎやかだ。
 1月のある日曜の朝。食卓には前夜の残りが並んだ。当直明けの寝不足を押して、3時間煮込んだビーフカレー。平日の食事は同居している実母(74)が支度する。週末はできるだけ、真鍋さんが腕を振るう。

 「お母さんが仕事に出ている方がうるさくなくていい」。憎まれ口をたたく長女の中学2年芽生(めい)さん(14)はおいしそうに食べた。2食続けて同じメニュー。でも、母の手料理はうれしい。
 弘前病院は青森県津軽地方の基幹病院。高リスクの妊婦を含め、常勤医3人で年約450件のお産を扱う。ここ1年、分娩(ぶんべん)や手術が増えた。弘前周辺でも出産を受け入れる施設が減ったためだ。睡眠時間は3、4時間。子育て真っ盛りのころと同じだ。

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第4部/迷える女性医師

[ 2007/03/10 ]

(1)未来の母/いつか自分も 揺れる心

 「頭が出てきましたよ。見えますか」
 2月初め、岩手県立二戸病院(二戸市)。産婦人科医の川原寿緒さん(31)が助産師と一緒に、分娩(ぶんべん)用ベッドの藤村由香さん(31)に声をかけた。
 「もう、いきまないで」。一瞬、室内の皆の呼吸が止まる。「おぎゃー」。男の子が元気な産声を上げた。
 川原さんが手際よく気道から羊水を取り除く。体をきれいにふいてもらった赤ちゃんは母親の胸元へ。ピタッと泣きやみ、片目を開けた。藤村さんは生気を取り戻し、まぶしそうに見つめた。
 川原さんにも、いつもの優しい笑顔が戻った。「お産は最初から最後まで緊張しっぱなし。1秒で状況が変わることもあるから。でも大変な分、うまくいったときの喜びは大きい。毎回、感動する」

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