お産SOS 河北新報社

岐路に立つ現場

[ 2007/12/19 ]

(4)自覚/命の重み 次世代に説く

 仙台市立病院(若林区)の産婦人科に9月上旬、出血した30代の妊婦が駆け込んできた。
 「何カ所か回ったけれど、診てもらえなかった」。健診を一度も受けたことがない「飛び込み」だった。通常の診療はストップ。スタッフは対応に追われた。
 切迫早産の疑いがあった。胎児は2000グラムあるかどうかだが、週数がはっきりしない。出産しても未熟児の可能性が高かった。
 女性はすぐに新生児用の設備が整う別の病院に搬送され、出産した。胎盤早期剥離(はくり)の兆候があり、母子ともに危険な状態になる恐れがあったという。
 「母子がどんな経過をたどったか、母親に感染症はないのか。情報が全くない。赤ちゃんに異常が見つかっても、治療が遅れる」。飛び込み出産の危険性をこう指摘する市立病院産婦人科部長の渡辺孝紀さん(50)は、慌てふためく妊婦に触れる度、強く思う。
 「せめて初診さえちゃんと受けてくれれば、注意を促せるのだが。生まれてくる命をもっと大切にしてほしい」

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岐路に立つ現場

[ 2007/12/18 ]

(3)人材活用/妊娠期ケア 熱い使命感

20071218_sos.jpg 仙台市青葉区の東北大医学部の一室。今月12日朝、宮城県内の助産師が集まってきた。「助産師外来」の人材養成を目的に、県が企画した研修が始まった。
 助産師外来は妊婦健診や相談業務を担う。産婦人科医不足のあおりで産科が休診となった地域の拠点病院に、県は開設を目指す。座学から実習まで。40日間に及ぶ研修は、その足掛かりだ。
 初日の参加者は16人。「これまでの経験を整理して新しい知識を身に付け、地域のニーズに応えてほしい」。研修プログラムを作った医学部保健学科の佐藤喜根子教授(55)は開講式で、エールを送った。
 登米市立佐沼病院の助産師伊藤真理さん(46)は、受講者の1人。「与えられたチャンスを生かし、前進するしかない」と気を引き締める。

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岐路に立つ現場

[ 2007/12/17 ]

(2)過渡期/医師の支援 期待つなぐ

20071217.jpg 仙台市泉区の「とも子助産院」の院長伊藤朋子さん(41)はこの秋、来春以降の分娩(ぶんべん)予約を受けるかどうか、思案していた。
 「過渡期で、どうなるか分からない」。悩んだ末、予定日が来年3月後半から4月前半までの妊婦は、予約を断った。
 今年4月施行の改正医療法は、分娩を扱う助産所に対し、産婦人科の嘱託医と、産婦人科、小児科がある嘱託病院の確保を義務づけた。経過措置期間は1年。3月31日がリミットだ。
 法改正を受け、伊藤さんは「森のおひさま助産院」(青葉区)院長の小野由起子さん(44)と一緒に市内の病院を回った。嘱託の引き受け手は見つからなかった。

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岐路に立つ現場

[ 2007/12/16 ]

(1)常勤医不在/地域の分娩 守る助産師

 東北のお産事情が一段と悪化している。分娩(ぶんべん)施設の減少に歯止めはかからない。産婦人科医の確保もままならない。限られた医療者で、安全・安心な出産をいかに守っていくか。難題に直面する地域社会で、手探りながらも前を向く現場を追った。
(「お産SOS」取材班)=4回続き

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20071216.jpg 11月半ば。岩手県立釜石病院(釜石市)の産婦人科病棟で、助産師の松内真実さん(23)は退院を控えた女性に生活指導をしていた。
 「落ち込んだり、涙もろくなったりするのは誰にでもあること。気軽に相談してくださいね」
 声を掛けられた大槌町の高橋絹江さん(30)は大きくうなずいた。4日前、ここで長男を産んだ。

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