データで見る(下)訴訟/医師1000人で最多の12.4件
若手医師が産婦人科を敬遠する理由の一つに、訴訟リスクの高さが挙げられる。お産をめぐる訴訟の多さは経験豊富な医師にも心理的な重荷となり、「産科離れ」を加速させている。
最高裁のまとめによると、医療訴訟の新規受理件数は2005年は999件と前年より1割程度減ったが、1996年以降は増加が続いていた。
産婦人科に関係する訴訟も同じ傾向をたどり、99年に100件を突破。04年には151件に達し、96年(90件)の1.7倍となった。
産婦人科の訴訟が全体に占める割合はここ10年、10%台で推移する。04年は13.6%で、内科(25.2%)外科(22.8%)整形・形成外科(13.7%)に次ぎ、4番目だった。
厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査に基づき、医師1000人当たりの件数を診療科別に割り出すと、この順番は変わる。
04年の場合、産婦人科が12.4件と最も多くなり、外科(10.9件)整形・形成外科(7.4件)と続く。最も少ない歯科(0.9件)と比べると、産婦人科は14倍近くに上り、訴えられる可能性の高いことが分かる。
産婦人科の訴訟増は、周産期死亡率と妊産婦死亡率が大幅に改善されるなど、患者や家族が「不測の事態」を想定しにくくなったことが背景にある。母親と赤ちゃんの命を同時に預かる医療は、リスクが他診療科より大きいという指摘もある。
窮状にあえぐ産科医療の現場では訴訟とは別に、トラブルの解決に当たる仕組みを求める声が強まっている。
(2007/06/04)



