河北新報社

東北再生へ 新産業を創生

 東日本大震災からの本格的な復興と東北の新たな発展を目指し、河北新報社は同社が設置した東北再生委員会(委員長・一力雅彦社長)の議論を基に3分野 11項目からなる提言をまとめた。6県による自立的な復興をリードする広域行政組織「東北再生共同体」の創設を呼び掛けているほか、被災地での独自のまち づくりや創造的な産業興しなどの分野で、具体的プロジェクトを掲げた。東北一体の再生という視点を重視し、被災地の報道機関として自治体などの復興計画を より推進させるため、大胆な発想で「災後」の東北像を示した。

 提言は、全体の考え方や基本理念をまとめた序文と「安全安心のまちづくり」「新しい産業システムの創生」「東北の連帯」の各分野に集約される11項目で構成される。

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 序文では「おこす」「むすぶ」「ひらく」の三つの基本理念を提示。各提言を貫く考え方として、創造的な発想、人や地域の絆、グローバルな視野の大切さを強調した。
  「復興と創造の道しるべ」として「東北の、東北による、世界のための復興」を宣言。「何十年かかろうと、私たちは必ずやり遂げなければならない」との決意で締めくくっている。

  「安全安心のまちづくり」では、特別法や復興特区などによって被災土地に法定の定期賃借権を設定し、低地から高台への移住を促進・定着させるアイデアを示した。
 医師不足が深刻な地域の医療を担う人材育成を図るため、仙台に二つ目の大学医学部を設置するよう提案。持続可能な復興支援の仕組みをつくる取り組みとして、自治体相互支援(ペアリング)の制度化も盛り込んだ。

20120101-02.jpg 「新しい産業システムの創生」は、甚大な被害を受けた三陸地方の水産業に、国際的な市場展開も視野に入れた多様な協業化を本格導入するよう提唱。東北農業の今後のモデルとして、仙台平野で都市近郊型の地域営農を促進することを打ち出した。
  東京電力福島第1原発の事故を受け、風力や太陽光、地熱など東北に優位性のある再生可能エネルギー開発の推進を強調。リサーチパーク(研究開発拠点)の整備によってあらゆる自然災害に備える「減災産業」の集積を促し、まちづくりにスマートグリッド(次世代送電網)を導入するよう提案した。
  観光活性化と交流人口拡大を図る取り組みとしては、被災地への地域再生ビジターズ産業の創出を掲げている。

  「東北の連帯」には東北再生共同体のほか、東北共同復興債発行や東北再生機構設立による資金調達を提案。東北全体の交通・物流ネットワーク強化にも触れ、太平洋側と日本海側が一体となったインフラ構築の必要性を訴えた。
 河北新報社は昨年6月、東北再生委員会を設置。提言は、委員・専門委員らの意見や被災地調査などを基に取りまとめた。

(2012/01/01)