<ハサップ導入>
「世界に誇る三陸の水産業振興」は、漁業を再生しただけでは実現しない。漁港の背後に広がる水産の街の再建が重要となる。それには、国際化を視野に入れた産地市場の高度化と、水産加工場群の整備が不可欠だ。

「世界に誇る三陸の水産業振興」は、漁業を再生しただけでは実現しない。漁港の背後に広がる水産の街の再建が重要となる。それには、国際化を視野に入れた産地市場の高度化と、水産加工場群の整備が不可欠だ。
富山湾の幸が連日水揚げされる富山県魚津市の魚津魚市場は、全国に先駆けて国際的食品衛生管理方式HACCP(ハサップ)に対応した。
「新鮮だからといって安全安心ではない」。魚津漁協参事の浜住博之さん(55)がこう繰り返しながら、機械工場のような密閉構造の施設を案内してくれた。魚市場に付き物の臭いもなければ、磨き上げられた床には小魚一つ落ちていない。
最新鋭の魚市場完成は2004年。市場開設者で運営も手掛ける漁協が、魚津漁港の拡張に伴い古い施設を建て替えた。
ハサップは、病原菌などに汚染する危険性を事前に分析し、管理すべき項目を決めて常時監視する。漁協幹部は聞き慣れない衛生管理方式への対応に渋ったが、浜住さんが「これが(衛生基準に厳格な)世界の標準だ」と説き伏せた。
富山湾の資源量自体は減少傾向で水揚げ量は減っているが、平均魚価は魚市場建て替え後に上向き始め、今もその傾向を維持している。
三陸では10年、八戸市営魚市場がハサップ対応の荷さばき施設の新築工事に着手。使用開始の直前に被災したものの、ことし10月までに復旧工事を終える予定だ。
「少子化で国内マーケットの縮小は避けられない。これからの水産業は、輸出産業としての展開抜きに発展はあり得ない」と、東北再生委員会専門委員でもある石巻魚市場の須能邦雄社長は語る。巨大津波で倒壊した同魚市場もハサップ対応をにらんだ再建を目指す。
<加工など集結>
背後地の水産加工業や流通業の機能回復は沿岸漁業と同様、協業化や共同化が鍵になる。
気仙沼市では震災を機に、水産業者らが事業協同組合を設立し、新たに水産加工団地を整備する構想が進む。
組合設立に向けた1月19日の説明会には同市の加工会社の6割に当たる63社が出席し、宮城県内初となる試みへの関心の高さをうかがわせた。
水産加工会社社長で発起人代表の大島忠俊さん(63)はあいさつで「水産加工団地を復興のシンボルとしたい」と連携を呼び掛けた。
構想は、魚市場の背後地に当たる南気仙沼地区の62ヘクタールに、これまで点在していた加工会社や冷凍、製氷、運輸など水産関連会社を集約する。
魚を加工した残りかすや排水の処理施設を共有化し、同組合が運営することで各社の投資を最小限に抑える。市、商工会議所、大手商社などが後押ししている。気仙沼商工会議所の臼井賢志会頭は「加工業界が一致団結すれば、建設業、観光業など他産業に大きな波及効果を及ぼす」とみる。
来年のカツオとサンマの漁期に70%の加工能力を回復、中長期的には気仙沼ブランドの確立と安定雇用の確保を目指す。
<再出発 自覚を>
水産卸の仙台水産(仙台市)によると、仙台市中央卸売市場が扱う水産物は震災前、36%が三陸産だった。震災直後こそ品薄だったが、三陸産がなくても他産地からの集荷により半年後には穴が埋まったのが現実だ。
仙台水産の島貫文好会長は「これをこじ開けるのは容易ではない。マイナスからの再出発を自覚し、商品開発や販路開拓まで努力した者だけが伸びる」と語り、水産加工業者の奮起に期待した。
(東北再生取材班)=第2部は2月下旬に掲載
【写真】全国に先駆けてハサップ対応型の荷さばき場を導入した魚津魚市場。シャッターやシートで外部から遮断され、病原菌を運ぶ鳥や虫の侵入を許さない=2011年12月
「新鮮だからといって安全安心ではない」。魚津漁協参事の浜住博之さん(55)がこう繰り返しながら、機械工場のような密閉構造の施設を案内してくれた。魚市場に付き物の臭いもなければ、磨き上げられた床には小魚一つ落ちていない。
最新鋭の魚市場完成は2004年。市場開設者で運営も手掛ける漁協が、魚津漁港の拡張に伴い古い施設を建て替えた。
ハサップは、病原菌などに汚染する危険性を事前に分析し、管理すべき項目を決めて常時監視する。漁協幹部は聞き慣れない衛生管理方式への対応に渋ったが、浜住さんが「これが(衛生基準に厳格な)世界の標準だ」と説き伏せた。
富山湾の資源量自体は減少傾向で水揚げ量は減っているが、平均魚価は魚市場建て替え後に上向き始め、今もその傾向を維持している。
三陸では10年、八戸市営魚市場がハサップ対応の荷さばき施設の新築工事に着手。使用開始の直前に被災したものの、ことし10月までに復旧工事を終える予定だ。
「少子化で国内マーケットの縮小は避けられない。これからの水産業は、輸出産業としての展開抜きに発展はあり得ない」と、東北再生委員会専門委員でもある石巻魚市場の須能邦雄社長は語る。巨大津波で倒壊した同魚市場もハサップ対応をにらんだ再建を目指す。
<加工など集結>

背後地の水産加工業や流通業の機能回復は沿岸漁業と同様、協業化や共同化が鍵になる。
気仙沼市では震災を機に、水産業者らが事業協同組合を設立し、新たに水産加工団地を整備する構想が進む。
組合設立に向けた1月19日の説明会には同市の加工会社の6割に当たる63社が出席し、宮城県内初となる試みへの関心の高さをうかがわせた。
水産加工会社社長で発起人代表の大島忠俊さん(63)はあいさつで「水産加工団地を復興のシンボルとしたい」と連携を呼び掛けた。
構想は、魚市場の背後地に当たる南気仙沼地区の62ヘクタールに、これまで点在していた加工会社や冷凍、製氷、運輸など水産関連会社を集約する。
魚を加工した残りかすや排水の処理施設を共有化し、同組合が運営することで各社の投資を最小限に抑える。市、商工会議所、大手商社などが後押ししている。気仙沼商工会議所の臼井賢志会頭は「加工業界が一致団結すれば、建設業、観光業など他産業に大きな波及効果を及ぼす」とみる。
来年のカツオとサンマの漁期に70%の加工能力を回復、中長期的には気仙沼ブランドの確立と安定雇用の確保を目指す。
<再出発 自覚を>
水産卸の仙台水産(仙台市)によると、仙台市中央卸売市場が扱う水産物は震災前、36%が三陸産だった。震災直後こそ品薄だったが、三陸産がなくても他産地からの集荷により半年後には穴が埋まったのが現実だ。
仙台水産の島貫文好会長は「これをこじ開けるのは容易ではない。マイナスからの再出発を自覚し、商品開発や販路開拓まで努力した者だけが伸びる」と語り、水産加工業者の奮起に期待した。
(東北再生取材班)=第2部は2月下旬に掲載
【写真】全国に先駆けてハサップ対応型の荷さばき場を導入した魚津魚市場。シャッターやシートで外部から遮断され、病原菌を運ぶ鳥や虫の侵入を許さない=2011年12月
