河北新報社

(6)多様な中間支援/社協と連携、担い手束ねる

0330_01.jpg<「石巻モデル」>
 災害ボランティアセンターのように、ボランティアと被災地をつなぐ拠点は「中間支援組織」と呼ばれる。河北新報社は提言に、中間支援組織によるコーディネートの重要性を盛り込んだ。
 4万2000世帯が浸水した東日本大震災最大の被災地・石巻市では、センターと連携しながらもう一つの中間支援組織「石巻災害復興支援協議会」が大きな役割を果たした。

 センターとの役割分担が全国のボランティア関係者に注目され「石巻モデル」と称されるまでになった。協議会専務理事の大丸英則さん(29)は「ここには『新しい公共』の形がある」と語る。
 震災直後、石巻市には経験豊富で専門性の高い非政府組織(NGO)やNPO、個人のボランティアらが続々集結。石巻専修大がキャンパスを開放すると、社会福祉協議会が開設したセンターはすぐに手いっぱいになった。
 そこで社協とNGO有志が協力し昨年3月20日、石巻専修大キャンパスに「NPO・NGO支援連絡会」を設置。その後、社団法人の協議会へ発展させた。協議会がNGOなど団体ボランティアの登録や支援先とのマッチングを担当、社協は個人の対応に専念するモデルが誕生した。
 これまでに登録を受け付けた団体は約330、受け入れたボランティアは社協の11万人を上回る約15万人に達した。

<10分科会設置>
 現在、協議会には「仮設サロン支援」「心のケア」「浜支援」「キッズ」など10分科会が設置されている。登録団体は活動内容に応じて各分科会に所属する。
 分科会はそれぞれ、登録団体の連絡会を定期的に開催。団体同士が情報を共有することで、活動場所が重なるのを避けるなど円滑で効率的な支援を可能にしている。
 「協議会は、団体を緩やかにつなぐプラットホームの存在でいい」と大丸さん。「話し合いから支援のアイデアが浮かんだり、新たに支援チームがつくられたりすることもある」と話す。
 せんだい・みやぎNPOセンター(仙台市)の紅邑晶子代表理事は「災害ボランティアセンターを開設する都道府県との協定があるためか、社協は全てを背負い込んで自己完結しようとする傾向が強い」と分析する。
 「石巻で役割分担したように、例えば事務作業やボランティア移送など、可能な範囲からどんどん外部に任せるといい。そうすれば余力が生まれ、地域密着という社協の強みを発揮して新たな支援ニーズも開拓できる」とアドバイスしている。

0330_02.jpg<内陸でも援軍>
 直接の被害を受けなかった内陸部でも、中間支援組織が被災地の強力な援軍となった。遠野市ではNPO法人「遠野まごころネット」が全国からボランティアを受け入れ、沿岸部へと送り出す「関所」の役割を担う。
 人や物資の供給路が寸断された被災地から「ボランティアの受け入れに手が回らない」とSOSを受けたのがきっかけだった。
 市民有志で関係機関に連携を呼び掛け、地元社協をはじめ62団体の協力を取り付けた。スタッフが被災自治体を回ってニーズを把握、マッチングしたボランティアは延べ6万人に及ぶ。
 「NPOはもちろん自治会や文化団体に至るまで、災害時にはあらゆる市民が支援の担い手になる覚悟が必要だ」と呼び掛け人で理事長の多田一彦さん(53)。「いざという時にすぐ始動できるよう、平時からネットワークを構築して備えておきたい」と言う。

写真:仮設サロン支援連絡会でボランティアと行政の関係を話し合う各団体の代表ら。情報共有が石巻復興支援協議会の活動の原点だ=8日、石巻専修大

(2012/03/30)