河北新報社

(2)空港サバイバル/ 競争力向上へ 民営化の方針

20121223a.jpg<半年後に復旧>
 東日本大震災からの全面復旧の歩みを「不死鳥」と称賛された仙台空港が、いままた力強く羽ばたこうとしている。
 国内8都市、海外7都市と結ぶ東北の玄関口は大震災のあの日、高さ5メートルの巨大津波に襲われ、滑走路とターミナルビル1階が泥水に没した。機能不全に陥ったビル内には、乗客ら約1700人が孤立した。
 米軍の「トモダチ作戦」などにより、がれきは1カ月で取り除かれる。昨年4月に国内臨時便、7月には定期便が復活。9月に国際定期便も再開され、わずか半年で全面復旧を成し遂げた。
 

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 震災前と比べ本年度の旅客数は国内線98%、国際線69%まで回復した。「2013年には震災前の水準に完全に戻る」(仙台空港ビル)という。
 復興と発展の鍵を握るのは、宮城県が打ち出した空港の民営化方針だ。村井嘉浩知事は「仙台空港は宮城、東北を代表する顔。国内外の訪問客が最初に降り立つ場所に活気があれば、それだけで復興の息吹を感じてもらえる」と語る。
 基本方針では14年度に滑走路やターミナルビルなどの運営を一本化して民間に委託し、経営効率化や国際競争力の向上を図る。30年後にはピーク時(07年)の2倍の年間利用者600万人、取扱貨物量5万トンを目指す。


<24ヵ所が赤字>
 政府は昨年3月、国管理の空港を民間委託できるよう閣議決定した。国が管理する仙台空港の民営化にお墨付きが与えられた。
 国が民営化を後押しする背景には、10年度の国管理26空港のうち、税金投入がなければ仙台を含む24空港が赤字経営という事情がある。
 08年の航空自由化(オープンスカイ)幕開けで、空港は淘汰(とうた)の時代に入った。09年9月に北海道・弟子屈飛行場が廃止され、ことし11月には広島市の広島西飛行場が定期路線のあった空港では初めて廃港となった。地方空港にサバイバルの波が押し寄せる。
 東北地方整備局が設置した「仙台空港復旧・復興あり方検討委員会」の委員長を務めた東北大災害科学国際研究所の奥村誠教授(交通計画)は「東北全体の利便性を考えると、各空港の役割分担の整理が必要だ。バックアップ機能を各空港に持たせつつ、仙台空港に就航を集中させるなど選択と集中を検討すべき時期が来ている」と指摘した。
 魅力的で競争力のある空港を整備すれば、大規模な民間投資も誘発できる。臨空地域での「医療産業都市」創出を復興の柱に掲げる岩沼市の井口経明市長は「空港の機能強化によって市復興計画の推進に弾みがつく」と歓迎する。


<防災面リード>
 河北新報社の提言は「3000メートル滑走路を備える仙台空港は国際定期便のさらなる就航を働き掛けて真の国際化を目指すべきだ」と、国際競争に対応する空港の機能強化を訴えた。
 同時に津波被害を受けた全国唯一の空港として「全国にある沿岸部の空港の津波・防災対策をリードしていくことが期待される」と、災害に強い施設整備を強調する。
 仙台空港では、ビルの電源設備を2階以上に移設したほか、3年かけて滑走路をかさ上げする。
 仙台空港ビルの伊藤克彦社長は「羽田や関西など全国17の空港に津波被害のリスクがある。電源確保や周辺住民の保護など、仙台空港の経験を伝えることが支援への恩返しになる」と話す。
 津波被害から復活を遂げた不死鳥の挑戦は、防災・減災はもとより赤字にあえぐ全国の地方空港を再生する上での試金石にもなる。

写真:宮城県が民営化の方針を打ち出した仙台空港。地方空港サバイバル時代を生き抜く知恵が試される=11月30日

 

(2012/12/23)