河北新報社

11提言 現状と課題/一歩ずつ将来像実現を(下)東北の連帯

◎提言9/自立的復興へ東北再生共同体を創設/6県広域連携、温度差否めず

<提言要旨>自立的な復興を実現するために広域行政組織「東北再生共同体」を創設する。復興庁は地域に根差した組織に。

 連携を主導する立場にあるのは東北6県の知事たちだが、広域行政組織に対する温度差は否めない。復興や防災を目的とした広域連携の強化と、国出先機関の受け皿となる広域連合の設置を混同した議論もあり、話し合いは進んでいない。

 東北大公共政策大学院の学生グループは昨年1月、北海道と新潟県を含む北海道東北知事会に「東北広域連合」の創設を提言。ドクターヘリの共同運航、遠隔医療ネットワークの構築など7項目の広域施策を訴えた。
 こうした動きもあって北海道東北知事会は、震災で一時中断していた実務者による「広域連携等に関する検討会議」を再開した。関西広域連合を参考に、構成道県に担当被災地を割り当てる「カウンターパート方式」による広域防災体制の検討に着手した。
 しかし、話し合いは「行政機関や権限が宮城に集中するのではないか」といった警戒感が先行し、報告書の作成自体も見送りとなった。
 広域防災体制については、引き続き担当セクション間で連携策を探ることを確認した。


◎提言10/東北共同復興債による資金調達/企業再建へ 機構設立急務

<提言要旨>東北6県による共同復興債を発行し、復興財源を確保。資金調達、分配のため「東北再生機構」を新設する。

 復興予算は10年間で23兆円を見込む。本来なら震災で損壊した道路や港湾の復旧、住宅の集団移転などに使われるべき予算が、被災地復興と懸け離れた事業に使われていたことが判明した。
 政府は2011、12年度予算のうち、中央官庁の防災機能強化(49億円)、民間企業への自家発電設備導入促進(22億円)、農業用水施設の耐震化(15億円)など35事業168億円を「便乗」と判断。凍結することを決めた。
 震災で弱体化した財務基盤を強化し、再建企業への資金供給力を高めるため、東北の金融機関は、改正金融機能強化法の震災特例に基づき、相次いで公的資金による資本注入を受けている。
 ただ、今回の資本注入は経営責任が問われず、収益目標の設定も求められていないにもかかわらず、各地で貸し渋りを指摘する声もある。
 これまで以上にリスクを背負った金融支援に対応するため、東北6県による共同復興債の発行と、再生の資金とノウハウを提供する機構の設立が急務だが、検討は遅々として進んでいない。


◎提言11/交通・物流ネットワークの強化/異例の速さで三陸道事業化

<提言要旨>東北全体でインフラの一体的整備を進める。高速道のネットワーク化を急ぎ、地域間バックアップ機能を確保する。

20130103_04.jpg 東北地方整備局は三陸道(三陸縦貫、三陸北縦貫、八戸久慈)を「復興道路」と位置付け、異例の速さで事業化した。総延長359キロのうち未整備区間230キロを約10年で完成させる方針だ。
 一方、被災地の鉄道は9区間、計304キロで不通が続く。昨年12月にJR気仙沼線でバス高速輸送システム(BRT)が正式運行を始めた。被災地は鉄路の完全復旧を要望しているが、JRは費用がかさむことを理由に二の足を踏んでいる。
 JR仙石線と東北線は一部区間で相互乗り入れが決まった。仙石線が全線復旧する2015年度の開始を目指す。これにより仙台-石巻間は震災前より10分短縮される。
 津波で水没した仙台空港は11年9月、震災から半年で全面復旧し、旅客数は震災前の水準に戻った。宮城県は14年度に滑走路やターミナルビルの運営を一本化し民間に委託して、経営効率化や国際競争力の向上を図ろうとしている。
 港湾は仙台塩釜港、石巻港、松島港の統合が昨年10月に閣議決定され、一体的な整備計画が進められている。

写真:逃げ場を失った住民の「命の道」となった仙台東部道路。盛り土構造が津波の勢いを減じる役目も果たした=名取市の名取インターチェンジ付近


 

(2013/01/04)