河北新報社

河北新報社・3分野11項目の提言

 東日本大震災からの本格的な復興と東北の新たな発展を目指し、河北新報社は同社が設置した東北再生委員会(委員長・一力雅彦社長)の議論を基に3分野 11項目からなる提言をまとめた。6県による自立的な復興をリードする広域行政組織「東北再生共同体」の創設を呼び掛けているほか、被災地での独自のまち づくりや創造的な産業興しなどの分野で、具体的プロジェクトを掲げた。東北一体の再生という視点を重視し、被災地の報道機関として自治体などの復興計画を より推進させるため、大胆な発想で「災後」の東北像を示した。

(2012/01/01)


1.jpg 「戦後」に替わって「災後」という時代が幕を開けようとしている。
 私たちは今、歴史の峠に立っている。東日本大震災からの復興を誓い、新しい東北の創造に挑もうとするとき、このことを強く心に刻みたい。
 2011年3月11日、東北には名残の雪が降っていた。身を寄せ合った避難所には、底知れぬ寒さと恐れと悲しみが渦巻いていた。あの暗闇の中で、がれきのまちで、そして今も、私たちは犠牲となった人々に報いるすべを考え続けている。

(2012/01/01)


 被災地での新しいまちづくりは、地域のアイデンティティーやコミュニティーの一体性に十分配慮しつつ、「減災」の考え方に基づいた土地利用・建築規制や避難教育の徹底などソフト分野を重視しなければならない。地域医療の再生に向けては、先進的医療・福祉体制の確立を急ぐとともに、医療人材の安定供給システムを築いていくことが求められる。スピーディーな復興を果たすため、国内外からの多様な支援の輪を広げ、被災地の人々と結び付けて、新たな絆を生み出す仕掛けも工夫したい。

(2012/01/01)


 復興は単に震災前に戻す復旧であってはならない。被災地は、3・11の以前から少子高齢化や産業衰退などの課題を突き付けられていたからだ。次世代自動車やエレクトロニクスなどの産業集積に加え、再生可能エネルギー時代をにらんだ創造的産業や地域資源を最大限活用した産業興しが欠かせない。さらに企業が立地しやすい環境、事業しやすい環境を整備することも重要だ。「復興特区」制度を活用し思い切った規制緩和、立地優遇措置を講じるとともに、インフラ整備や安定的エネルギー確保にも知恵を絞っていかねばならない。

(2012/01/01)


 自立的な復興を遂げるためには、東北域内で政治・経済が完結できる地域主権型の構造を追求することが大切になってくる。震災で日本海側のインフラが、太平洋側のバックアップに回り「東北は一つ」の機運が高まっているいまこそ、原発事故で危機に立たされている福島の復興を支え、東北全体の発展を見据えた大きな構想を描く覚悟が求められる。交通・物流インフラは被災地のみなら
ず、日本海側との連携を見据えた東北全体のネットワークを構築し、戦略的に代替性を確保していかなくてはならない。

(2012/01/01)