河北新報社

第2部=提言・高台移住の促進・定着

saise0222_01.jpg<100メートルずれれば>
 市道をなぞった1本の紫色の線を何度、見詰めたことだろう。「かさ上げされる市道が内陸にもう100メートルずれていたら集団移転できたのに...」。仙台市の住民説明会で渡された地図を手に、宮城野区南蒲生地区の農業遠藤林治さん(60)がため息をつく。
 海岸から1キロ離れた自宅は高さ約3メートルの津波に襲われ、基礎部分だけが残った。長男夫婦が5年前、敷地内に建てた家も全壊した。

(2012/02/22)


<体力が続くか>
saisei0223_01.jpg 被災地からの移住を促す現行の枠組みでは、防災集団移転促進事業と並ぶ大きな柱の一つに土地区画整理事業がある。
 「事業の完了まで体力が続く仲間がどれだけいるか」。陸前高田市商工会長で、高田地区の建設業阿部勝也さん(70)が、市が進める区画整理の行方に気をもむ。

(2012/02/23)


saisei0224.jpg<分断の危機に>
 陸前高田市の広田半島の付け根に、同市広田町長洞地区の19家族が生活する仮設住宅「長洞元気村」がある。
 長洞地区は60世帯のうち、津波によって28世帯が全壊した。被災を免れた住宅に身を寄せ一時、共同生活を送った住民たちは、自ら地権者と交渉して地区内に用地を確保。市や岩手県に要望し、いち早く仮設住宅を建ててもらった。
 その強固なコミュニティーが今、分断の危機に立たされている。

(2012/02/24)


saisei0225.jpg<所有権を侵害>
 高台、内陸への移住をめぐり「土地所有権の壁」が指摘される。土地の集約や権利調整の難しさが、スピード感のある復興を阻んでいる。
 その対策として河北新報社が提言で打ち出した「被災土地に定期賃借権を設定」の考え方は、政府が設置した東日本大震災復興構想会議の検討部会でも取り上げられた経緯がある。

(2012/02/25)


20120226-01.jpg<高松で成功例>
 高松市の商店街再開発と被災地・石巻市の復興-。800キロ離れた二つの土地を「定期賃借権」というアイデアが結ぶ。
 定期賃借権の設定は、高台移住を促すための有効なツールであるだけにとどまらない。高松市の高松丸亀町商店街の再開発に携わった都市計画家の西郷真理子氏は「被災した商店街の再生にも必ず役立つ」と話す。

(2012/02/26)


12