河北新報社

第4部=提言・地域の医療を担う人材育成

0425_01.jpg<混み合う仮設>
 看護師が擦れ違うのがやっとの狭い廊下のベンチで、お年寄り約20人が静かに診察の順番を待っていた。平日の午前10時すぎ、岩手県立大槌病院の仮設診療所が、外来患者で最も混み合う時間帯を迎えた。
 1年を経て、落ち着きを取り戻した大槌病院だが、「3.11」のあの日、津波が押し寄せた大槌川河口に近い建物は3階建ての2階までが浸水した。
 いったん屋上に避難し、3階で一夜を明かした入院患者53人は翌日、高台の大槌高に設けられた救護所に一時避難。「町外の安全な病院に振り分けるのに、さらに3日間かかった」と岩田千尋院長(65)は振り返る。

(2012/04/25)


0426_01.jpg<構想委を設置>
 東日本大震災によって沿岸部の医療機関は壊滅的な被害を受けた。地域医療の最前線を担う自治体病院の多くが機能不全に陥り、勤務医の離職が相次いだ病院もある。
 河北新報社の提言「地域の医療を担う人材育成」は、仙台に臨床重視の医学部を新設し、慢性的に不足している病院勤務医の養成を図り、医師の地域偏在や診療科偏在の解消を訴えている。

(2012/04/26)


0428.jpg<琉球大が最後>
 大学医学部は30年以上新設されてこなかった。文部科学省が認可しない姿勢を堅持してきたためだが、民主党政権になって潮目が変わった。
 民主党は、政権交代を果たした2009年衆院選で、マニフェスト(政権公約)に「医師養成数を1.5倍に増やす」と明記。文科省は有識者による検討会を10年12月に設置し、入学定員増や新設の是非をめぐる議論が解禁された。
 文科省が医学部新設を認めた場合、1979年の琉球大(沖縄県)以来となる。検討会ではしかし、全国に16万6000人の会員を持つ日本医師会(日医)が強硬に新設に反対した。

(2012/04/28)


0429.jpg<不認可を要望>
 医学部の新設に対しては、日本医師会とともにこれまで医学教育に当たってきた全国の大学が反対の論陣を張る。
 東日本大震災の被災3県にある岩手医大、東北大医学部、福島県立医大も例に漏れない。3大学は19日、医学部新設を認可しないよう求める要望書を平野博文文部科学相に提出した。

(2012/04/29)


saisei_0430_1.jpg<東日本の課題>
 医師不足は東北に限らず、東京を除く東日本全域に共通する問題だ。わが国の医師偏在は「西高東低」の特徴を持つ。
 10万人当たり医師数が142人で最少の埼玉県をわずかに上回り全国ワースト2の茨城県(158人)では、医師不足への鬱積(うっせき)から地域を揺るがす騒動が持ち上がっている。

(2012/04/30)


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