河北新報社

第5部=提言・自立的復興へ東北再生共同体を創設

0603A01.jpg<数のマジック>
 「これでは復興庁ではなく査定庁だ」(村井嘉浩宮城県知事)。被災自治体の復興事業を支援する復興交付金の第1回配分(総額約2500億円)では、交付率(申請額に対する交付額の割合)が57%にとどまった宮城をはじめ、被災自治体から批判が相次いでいた。
 それが5月の第2回配分では一転、東北4県54市町村に計2523億7000万円の配分が決まった。宮城県全体の交付率は179%。村井知事の表情も思わずほころんだ。
 大盤振る舞いの実態は、自治体が要求を大幅に絞り込んだ上で、2013年度実施予定の防災集団移転促進事業を前倒しして認めた数字のマジックにすぎない。被災地の自治体が復興に欠かせない事業ではなく、予算が付きやすい事業を優先したのだとしたら...。

(2012/06/04)


saisei0604_01.jpg<ヘリ出動せず>
 東日本大震災の巨大津波が岩手県沿岸を襲った直後の昨年3月11、12日、県境を接する八戸市の市民病院で待機していた青森県のドクターヘリに出動命令が下されることは、ついになかった。
 医師が同乗し、初期治療しながら患者を搬送するドクターヘリは、平時は市民病院内の通信センターが管理するが、災害時は県の指揮下に組み込まれる。出動要請を受けて県が運航の可否を決めるのだが、被災地からの「SOS」はなかった。

(2012/06/04)


0605A03.jpg<知事は温度差>
 東北が真の自立的復興を遂げるには、東北の域内で政治・経済が完結できる地域主権の実現が不可欠だ。河北新報社は提言で、6県を包括した広域行政組織「東北再生共同体」の創設を訴える。
 各知事は拙速な道州制論議を懸念し、広域組織の設立には冷ややかだ。河北新報社がことし1月に実施した6県知事アンケートで、吉村美栄子山形県知事は「初めから組織を前提にせず、連携の在り方を幅広く検討すべきだ」と述べた。

(2012/06/05)


saisei0606_1.jpg<一気に危機感>
 巨大災害は都道府県単体の自治に限界があることを浮き彫りにした。
 東海沖から四国沖の海底に延びる「南海トラフ」を震源とする巨大地震といかに向き合うか。深刻な津波被害が想定される四国が、広域の備えを加速させている。
 高知県南西部の太平洋岸にある黒潮町。内閣府の有識者会議が3月31日に公表した南海トラフ巨大地震の新想定で、最も高い34.4メートルの大津波が襲うとされた。人口約1万2700で、その83%が予想される津波浸水域に集中している。
 大西勝也町長は「東日本大震災の『3.11』に加え、1年後の『3.31』に出された新想定により危機感は一気に高まった」と語る。「楽観論で対策を考えられないレベルだ」と厳しい表情を浮かべた。

(2012/06/06)


saisei0607.jpg<会合1回だけ>
 「震災は不幸な出来事だったが、東北に広域連合をつくるまたとないチャンスだ」。地方自治の専門雑誌「月刊ガバナンス」編集長の千葉茂明さん(49)が訴える。
 宮城県庁で5月末に開かれた北海道東北地方知事会の検討会議に講師として招かれた千葉さん。「関西広域連合の手厚い被災地支援に触れ、東北の住民はかつてないほど自治体連携のメリットを実感している」と説き「東北の連帯」を熱っぽく語った。

(2012/06/07)


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