河北新報社

第6部=提言・東北共同復興債による資金調達

20120620_a10.jpg<捕鯨に22億円>
 かつて沿岸捕鯨の基地として栄えた石巻市鮎川港から南へ1万数千キロ。南極海で操業する調査捕鯨船を反捕鯨団体の妨害から守る費用として国は昨年度、22億8400万円の予算を付けた。
 予算の出どころは復興特別会計だ。水産庁は「妨害に屈しない姿が、被災漁民を励ます」(国際課)と意義を強調するが、実際には、費用の大半が船団の燃料代で消える。
 水産庁の説明を同庁OBの小松正之政策大学院大教授(海洋政策論)は「調査捕鯨船の燃料代と被災地の復興は無関係。次元が低すぎて論評にも値しない」と切り捨てる。
 「復興を食い物にするような姑息(こそく)な予算獲得では、調査捕鯨の正当性にまで疑いの目が向けられる」と眉をひそめた。

(2012/06/20)


20120621_a01.jpg<8年連続発行>
 ホッキョクグマの豪太が人気を集める男鹿市の男鹿水族館GAOの入館者が3日、2004年の開館以来、250万人を突破した。
 秋田県知事として水族館建設を推し進めた寺田典城みんなの党参院議員(比例代表)は「(交通が不便な)男鹿半島という立地を心配したが、予想を上回るペース」と胸をなで下ろす。
 開館8年で「秋田観光のシンボル」(千葉俊館長)にまで成長した男鹿水族館の総事業費70億円のうち、財源の不足分20億円を補ったのがミニ公募債の「北東北みらい債」だった。

(2012/06/21)


20120622_a10.jpg<直線的に結ぶ>
 東北共同復興債の発行によって世界中から調達した資金を、疲弊した被災地に行き渡らせるにはどんな組織が必要か。河北新報社は提言に、投資と経営支援の機能を備えた「東北再生機構」の創設を盛り込んだ。
 東北6県、または6県による広域行政組織「東北再生共同体」が出資、保証する。再生機構を共同体の下部機関と位置付ければ、資金調達から投資先の決定、経営支援へと至る流れを直線的に結び付けることが可能となる。

(2012/06/22)


0623.jpg<「阪神」は失敗>
 東日本大震災からの経済復興を進める上で、ぜひとも阪神大震災(1995年)の復興過程を参考にしてほしい。阪神大震災の復興は失敗だった。東北に同じ轍(てつ)を踏んでほしくない。
 阪神大震災の被害総額を国や兵庫県は10兆円と見積もった。だが、これらはハードを中心とした試算であり、人々の暮らしや地域の企業を立て直さなければ真の復興ではないという視点が全く欠けていた。
 その結果、復興のシンボルと言われた神戸市長田区の再開発で、確かに美しい街並みが出来上がったが、活気は失われた。各種の経済指標から導き出した個人の生活や事業所の再建は、震災から17年が経過した現在でも、震災前の7、8割にとどまっている。

(2012/06/23)


<県境超え活用>
sinro20120624_00.jpg 東北大公共政策大学院の学生による政策提言「東北広域連合の創設について」に指導教官として関わった。そこでは、無担保・無保証の少額融資「マイクロファイナンス」に言及した。
 震災で失業者が急増する中、経済問題が貧困や自殺などに結び付かないようセーフティーネットを強化しなければならないが、低所得者向けのマイクロファイナンスの創設は、一般の金融機関では手を出しにくい分野だからだ。

(2012/06/24)


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