あるもの探しの旅

  •  美味しいものって、私たちを幸せな気持ちにしてくれますよね。
  • ふだん私たちが何気なく口にしているもの。
  • それはどんな人が、いかなる風土のもとで、どんな思いで作っているのか。
  • そんなことを考えてみたことってありますか。
  •  自分の体に取り込むものだからこそ、もっと知りたい。
  • 大量生産品が持ち得ないモノたちが秘めた飛びっきりなストーリー。
  • どうやら東北に暮らす私の足元と、ハンドメイドな職人王国のイタリアには
  • そんな物語がたくさんあるようです。
  •  ご一緒に「あるもん探しの旅」にちょっと出てみませんか
  • 読んで美味しい知ってうれしいお話を、どうぞ召し上がれ。Buon appetito!

2016/11/28

Bianco e Nero ~ Capitolo Nero ~

【黒編】クラシックな黒漆喰の内蔵(うちぐら)

奥ゆかしくも豪奢な内蔵めぐり
@秋田県横手市増田

 秋田県横手市十文字町から岩手県奥州市に通じる小安街道(現R397)と、宮城県大崎市鬼首に抜ける手倉街道(R398)が交差し、藩制時代より人馬と物資が行き交う要衝の地であった横手市増田地区。

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【Photo】増田の街並みを南北に貫く中七日町通りの中ほどにある「山吉肥料店」の主屋の建造は明治中期

 373年前より佐竹藩公認の定期市が立つ増田には、18世紀に開山した吉乃鉱山で活況を呈した明治から昭和初期にかけて、表通りに面して建築様式の異なる切妻屋根の商家が建ち並ぶ家並みが形成されました。

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【Photo】白壁と黒梁のコントラストが美しい「日の丸醸造所」は「まんさくの花」銘柄を醸す増田で唯一現存する酒蔵。現在の主屋は明治期の建造。(国登録有形文化財)

 目抜き通りの「中七日町通り」沿いには、5間から7間(9m~12.6m)の間口に対し、裏通りまで通じる奥行きが50間から最大100間(90~180m)もの細長~い敷地を有する商家が並びます。これは通りに面した間口の大きさに応じて租税額が定められた時代の名残。

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【Photo】代々の地主であった「佐藤與五兵衛家」の主屋は、明治後期から大正期の重厚な造り。秋田本店の北都銀行の前身にあたる増田銀行発足時は監査役を務めた家柄。(蛇足ながら、前世イタリア人的感覚からすれば、無粋なコンクリートむき出しの電柱が、景観を破壊している日本の現状をつくづく勿体ないと感じる一事例)

 いくつかの主屋は、妻側に白壁と梁組みや梁首が組み合わされ、下屋庇(げやひさし)を備え、町屋建築特有の通路「通り土間(トオリ)」が家の中を貫きます。敷地を抜けた裏通りには掘割が引かれ、今も一部が残る黒塀と門構えの落ち着いた佇まいを見せていたのだといいます。

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【Photo】造り酒屋「石理酒造」を営んでいた石田家が迎賓用に吟味した秋田杉やヒノキ、台湾産のタイサンボクなどの部材を取り寄せて建てた「旧石田理吉家」主屋は昭和12年竣工。茅葺の低層住宅が主流であった当時としては珍しかった木造3階建て(横手市指定文化財)

 2013年(平成25)、国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けた景観を構成する店舗兼住宅のほとんどが土蔵を有しています。4,100棟が現存する蔵とラーメンのまちとして名高い福島県喜多方と同様、商家は現役として現在も使われています。

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【Photo】山吉肥料店の主屋を東西に抜ける「通り土間(トオリ)」。表通りに面した左手には店舗兼事務所・神棚仏壇がある次の間・座敷・居室と続き、右手に水場、最奥部が内蔵。裏口を抜けた先は堀沿いの洗濯場、外蔵、来客用の別宅、裏門という配置になっている

 その最大の特徴は、商家の構造。表通りをそぞろ歩きしても存在が窺い知れない土蔵は、鞘(さや)と称される建屋の内部に造られています。土壁の蔵は水気を嫌うため、「内蔵(うちぐら)」と呼ばれており、これは豪雪地帯なるがゆえの工夫が生んだ産物でもあります。

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【Photo】明治前期に竣工した「佐藤又六家」の主屋内部と文庫蔵(国登録有形文化財)

 加えて土蔵は白黒のナマコ壁上部は漆喰の白壁が定番ですが、増田の内蔵は事情が異なります。漆喰仕上げでも難易度が高く、その技術の粋を極め、贅を尽くした黒漆喰磨き仕上げの壁や、観音開きの扉には組み木による亀甲文様などの鞘飾りを施した明治から昭和初期にかけての壮麗な蔵が数多く残ります。

100views_edo_shirokiya.jpg【Photo】歌川広重筆「名所江戸百景」第44景「日本橋通一丁目略図」

 江戸黒と呼ばれた黒漆喰の土蔵は、歌川広重が幕末期の江戸の街並みを描いた連作浮世絵「名所江戸百景」の日本橋志ろ木屋(後に東急百貨店日本橋店・現在のコレド日本橋)や、埼玉県川越市の明治末期の街並みにも見ることができます。

 なかでも増田の内蔵は、NHK大河ドラマ「真田丸」のタイトルを製作した(公社)日本左官会議の議長を務める挾土秀平氏ら専門家が、国内で最も優れた事例であると太鼓判を押しており、漆喰磨き土蔵建築の粋を極めた遺構と言って過言ではありません。

 一般公開される商家の中で、国登録有形文化財として登録されるのは9件。黒光りする黒漆喰は、1世紀以上は輝きを失わないといわれます。これは松を不完全燃焼させた際に出る煤(すす)「松煙(しょうえん)」や黒雲母の粉末を漆喰に混ぜ、ムラが出ないよう石灰を主成分とする下地の表面へ均等にコテで塗り、丹念に木綿・絹・素手の順に磨き上げた地元の職人の卓越した技巧によるもの。

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【Photo】コンクリートの登場により、昭和初期に終焉を迎えた増田の土蔵文化を築き上げた職人技の集大成となった「山吉肥料店」の内蔵正面。もともとは貴重品を収蔵し、防火目的で造られた土蔵。財力と壁の厚さを物語る五層重ねで密閉性(=防火性能)も高い扉には白縁取りがなされ、ネズミ除けの白蛇装飾も施されるなど、装飾性も極めて高い

 川連漆器の秀品を展示即売する川連漆器伝統工芸館から移動して増田へと移動、「日の丸醸造」の次に訪れた「佐藤多三郎家」の明治後期に建てられた座敷蔵の黒光りする壁を前に「これは黒漆仕上げですか?」と、ご説明頂いた奥様に質問したほど。

 現存する内蔵は48棟。この日伺った中では、明治後期~大正にかけての建造と推定される店蔵を構える「旧村田薬局」の明治初期~中期に建てられた内蔵を高齢者の居室として使っています。基本的な構造として1階が蔵座敷(初期においては板張りの1室構造、時代を追うにつれて畳敷きの座敷との組み合わせも登場)、2階が収納庫となっています。

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【Photo】佐藤多三郎家の内蔵は明治後期に建造。深みのある輝きを放つ黒漆喰壁と繊細な鞘飾りが見事で、増田に贅を尽くした蔵が建ち始めた頃の遺構としても貴重な存在。基礎部分には、銀を採掘した湯沢市院内(いんない)地域で産出する凝灰岩「院内石」が用いられている(横手市指定文化財)

 最盛期にどれほどの数の内蔵が増田にはあったのか、興味が湧いたので横手市歴史まちづくり課に問い合わせてみました。(公社)文化財協会による初調査が2003年(平成15)だったように、類い稀な文化的な価値が認識されたのはここ数年に過ぎません。長きにわたって他人の目に触れることがなかったがゆえ、増田の内蔵に関する信頼できる過去の統計が存在しないとのこと。

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【Photo】現在は観光物産センター蔵の駅として稼働している明治中期の「旧石平金物店」内蔵は、後に登場する蔵と比べれば、比較的に簡素な造りとなっている

 二階の梁の材質や太さ、本数にごだわり、家紋を掲げる妻壁側の観音開きとなる扉に施された防火上の機能が美的配慮までに昇華した「重ね」の数や白い縁取り、ネズミ除けのヘビをかたどった装飾など、基本的な蔵の構造は共通していても、それぞれの細部に個性が見て取れます。

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【Photo】太物商から医院に転じた佐藤家。明治後期の「佐藤多三郎家」内蔵二階部分。梁は栗の巨木、柱には秋田杉をともに漆をかけて使用(横手市指定文化財)

 内蔵を見て回るうち、増田の旦那衆が互いに張り合うよう意匠を凝らし、吉乃鉱山や商いがもたらす富を、豪奢な内蔵にひたすら注ぎ込んでいたことがわかります。

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【Photo】安価に施工できるコンクリート建築が増えていった昭和初期に建てられた山吉肥料店の内蔵。増田の蔵文化の集大成。職人技の極致ともいえる技巧が随所に駆使されている(上画像)。ネズミ除けの白ヘビが踊る扉や窓には白縁で強調された5段の「重ね」(下右)、白壁と漆塗りの鞘飾りとの境界を視覚的に引き締める黒漆喰の「見切り」は、とりわけ凝った造作がなされている(下左)

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 紀元前のギリシャ・ローマからビザンティン、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、新古典主義まで近世に至る各時代様式で建造された聖堂や建築物に囲まれて過ごした前世で目が肥えたせいか、機能性を追求したバウハウスなどのモダニズムが登場する以前の建物にも関心が高い庄イタ。

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【Photo】1689年(元禄2)創業の「日の丸醸造所」内蔵は、明治41年築。黒漆喰で覆われた外壁を、漆磨き仕上げの亀甲文様鞘飾りが引き立てる(上画像)。蔵座敷内部(下画像)は漆仕上げを施した5寸5分(16.665cm)角の青森ヒバを通し柱として一尺(30.3cm)間隔で配した白壁とのコントラストが見事(国登録有形文化財)

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mansakunohana.jpg【Photo】「日の丸醸造所」の内蔵を自由見学後、直売所で購入したのが、内蔵の佇まいがラベルに描かれた蔵元限定の純米吟醸「日の丸(蔵ラベル)」(720mℓ/1500円)

 前回詳報した「佐藤養助 総本店」の稲庭うどん、淡麗系の魚介スープが旨い「丸竹食堂」の十文字ラーメン、そして現時点では秋田県内唯一の「真のナポリピッツァ協会」認定店「COSI COSI コジコジ秋田山王店」ほどのレベルではありませんが、店名通りソコソコのナポリピッツァを食することができる「同十文字本店」など、持ち前の嗅覚を働かせ、食欲を満たすだけでは物足りません。

 紅葉や桜が武家屋敷通りに彩りを添える時季、多くの観光客で賑わう角館(かくのだて)の知名度は全国区ですが、知る人ぞ知る横手市増田の贅を尽くした内蔵は一見の価値ありです。

【Movie】通常は非公開の山吉肥料店内蔵の内部を撮影した貴重な映像を含む横手市製作による増田の紹介映像

 10月初旬に開催され、今年で11回目を迎えた「蔵の日」には、一般公開していない内蔵を含む歴史的建造物がお披露目されます。

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【Photo】横手市増田を訪れた庄イタ流腹ごしらえ〈その1〉。同市十文字町「丸竹食堂」の透き通るような魚介系スープと細麺の組み合わせにはファンが多い。中華そば(上・450円)チャーシューメン(下・600円)と価格も良心的〈住:横手市十文字町本町7-1 Phone: 0182-42-1056)

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 通常は、観光協会が運営する観光案内所「蔵の駅(旧石平金物店)」や、漆蔵資料館となっている「佐藤養助商店」、主屋を修復中の「旧佐藤予與五兵衛家・佐忠商店」など7件は無料公開。

 昭和初期の薬局そのままのお宝も見逃せない「旧村田薬局」、三階建ての木造建築「旧石田理吉家」など12件は、維持管理費として一人200円~300円の有料で見学できます。

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【Photo】横手市増田を訪れた庄イタ流腹ごしらえ〈その2〉。秋田県内では数少ない賞味に値するナポリピッツアを食することができる「コジコジ十文字本店」のイタリア中部地震チャリティ期間限定メニュー「ピッツア・アマトリチャーナ」(上)、定番のポルケッタ(下)〈住:横手市十文字町西上45-3 Phone: 0182-23-5454)

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 先祖が残した内蔵を店舗や住居の一部として大切に使っている所有者の手が空いていれば、建物について説明を受けることもOK(一部要予約)。

 水神様をまつる小正月行事「かまくら」(下画像)に代表される冬の横手は純白の季節。そんな時季に訪れるシックな黒漆喰による蔵のクラシックな造作の見事さに、きっと目を白黒させることでしょう。

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 Bianco e Neroというタイトルのオチがついたところで、お後がよろしいようで。

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◆内蔵の公開予定は増田町観光協会サイトでチェック 
 http://masudakanko.com/

◆最新の公開状況に関する問い合わせは下記案内所まで
 増田の町並み案内所「ほたる」Phone:0182-23-6331
 ・増田観光物産センター「蔵の駅」Phone:0182-45-5311 

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投稿者 vam : 01:35 | カテゴリー : ・Pref.Akita 秋田

2016/11/19

Bianco e Nero ~ Capitolo Bianco ~

【白編】たおやかなり、稲庭うどん

湯沢市稲庭はグラニャーノだった
@秋田県湯沢市稲庭町

 白黒を意味するお題のゆえんは、前・後編を読み進むうちに白黒がはっきりするでしょう。

 国内外を問わず、いわゆる〝三大●●〟は、あまた存在しています。

 世界三大料理は中華・フランス・トルコ。珍味ならば、世界ではキャビア・フォアグラ・トリュフ。日本にあっては、塩ウニ・このわた・からすみ。

 食べ物以外に目を転じ、真っ先に頭に浮かんだのが三大美女(笑)。三人揃ってお目にかかりたいものの、全て物故者であることが残念なクレオパトラ・楊貴妃・小野小町。

matsushima-tamonzan.jpg【Photo】日本三景松島を代表する景観が見られる「松島四大観」の一つ、宮城県七ヶ浜町「多聞山」。眼下に鹽竈神社のご神馬が余生を過ごした馬放島(まはなしじま)と、灯台がある地蔵島が横たわる松島湾南部の美景。彼方には大高森と金華山を望む

 絶景においては、松島・天橋立・宮島の日本三景。滝は、華厳・那智の両名瀑に伍せんと名乗りを上げる茨城・袋田 vs 仙台・秋保大滝。

 ガッカリ系の観光地なら、マーライオン・人魚姫像・小便小僧。日本では、札幌時計台・高知はりまや橋・長崎オランダ坂。そして女性の容姿に関するネガティブな評価として噂が流布する仙台・水戸・名古屋など、不名誉な三大●●も存在します。

 こうした三大●●には、言った者勝ちの側目も少なからずあるかと。

inaniwa-udon2.jpg【Photo】雪国秋田の風土が生んだ稲庭うどん

 前回取り上げたラーメンでは、札幌・喜多方・博多。長崎五島・名古屋きしめん・富山氷見・群馬水沢などが〝我こそは〟と手を挙げるであろう「日本三大うどん」。

うどん県〟こと香川「讃岐うどん」が西の横綱とすれば、東の横綱は秋田「稲庭うどん」であることに異論を挟む余地はないかと思います。

 二者択一で、うどんか蕎麦かと問われれば、蕎麦が優勢な東日本・東北地方にあって、例外的にひときわ輝く存在感を放つのが稲庭うどんです。

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 稲庭うどんが生産される秋田県南の内陸部に位置する湯沢・雄勝地域の生まれだとされる小野小町や、秋田市出身のタレント佐々木希のような、たおやかな秋田美人の透き通る肌のようにキメ細やかで色白、絹のごとく滑らかな喉越し、スリムな細麺ながら強靭なコシ。

yosuke-sato-factory.jpg【Photo】佐藤養助 総本店では、製麺の工程をガラス越しに見学可能。塩水を加え、空気を加えるよう練り、ビニールで覆って踏みつけ、延べ棒で一定の厚さに伸ばした生地を包丁で裁断(右)、角をとるように手で丸める「小巻」(左)

nai_yosuke.jpg tsubushi_yosuke.jpg【Photo】佐藤養助 総本店における製造工程より。小巻した生地を2本の棒によりをかけながら均等な太さにあや掛けする「綯(ぬ)い」(左)、あや掛けした生地を平らにする「つぶし」(右)

 栗駒山系の清冽な伏流水・塩・小麦粉だけを原材料とする生地作りから製麺・乾燥まで、丸3日を要する手作業による練り・小巻・綯(ぬ)い・つぶし・延ばし・乾燥・選別と工程を重ねる中で、麺の内部に多数生じる筒状の気泡が、生めんにはない持続性を持つ無類のコシの強さを生むのだといいます。

sato-yosuke-factory2.jpg【Photo】茹で上りが均一になるよう、目と手で一本づつ選別を行う。最終工程を担当するのはすべて女性。およそ人間技とは思えぬ速さと正確さが要求される

  何かにつけイタリアナイズされた庄イタゆえ、外食を含む麺類消費のダントツ首位はパスタです。2番手の蕎麦に続き、うどんはラーメンと周回遅れで3番手争いをする位置づけでしょうか。

 それでも軽めに食事を済ませたい時などに重宝するのが、稲庭うどんです。食欲の秋を迎えたとある休日。県境を越え、秋田県南の内陸部湯沢市稲庭町の「佐藤養助 総本店(下画像)を訪れました。

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 乾麺ゆえ、茹で時間さえ誤らなければ、稲庭うどん本来の美味しさは家庭でも味わうことは可能です。ですが、熟練の職人の手作業による製造の様子をつぶさに見学することができる佐藤養助 総本店で食する稲庭うどんは、一味違うのです。

 長崎・島原や奈良・三輪といった手延べ素麺が、量産のため機械化された一方、1665年(寛文5)まで遡る創始以来の伝統製法を今に伝える稲庭うどん。

ppastificio-yosuke_sato.jpg【Photo】稲庭干饂飩の宗家・佐藤吉右衛門の四男、二代目佐藤養助が創業した1860年(寛文5)から数えて150年目の2008年(平成18)に竣工した佐藤養助総本店の見学コーナーに展示される創業者が小巻された生地を綯う様子を再現した人形

 稲庭うどん作りの現場に触れ、思い起こしたのが、乾燥パスタの聖地グラニャーノ〈2010.7拙稿「珠玉のパスタ、Gragnano グラニャーノ」参照〉。栗駒山系の清冽な水とラッターリ山系の良質な硬度の低い伏流水を用い、寒暖差の大きい内陸に位置する両者には、うどんとパスタの違いはあれど、一味違う麺の産地としての共通項を見いだせます。

 うどん発祥の地とされる福岡「天神店」ほか、東京「銀座 佐藤養助」ほか「日比谷店」、「赤坂店」などの直営店があります。

yosuke-sato2016.9.jpg【Photo】佐藤養助直営店共通メニュー「天せいろ醤油」(1,500円)は、稲庭うどん本来のコシの強さを堪能できる。胡麻味噌だれ(1,560円)も選択できる。薩摩地鶏・名古屋コーチンと並ぶ日本三大地鶏、比内地鶏を温かいつけだれで頂ける「あったか比内地鶏つけうどん」(1,450円・冬季限定)もお薦め

 産地の湯沢は、雪国秋田でもとりわけ雪深い特別豪雪地帯に指定される地。冬の足音が迫りくるこれからの季節「雪道はちょっと...」と二の足を踏む方でも、こうした直営店で稲庭うどんの魅力を体感することが可能です。

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 現場を訪れることで見えてくるディテールから本質を見極めんとする庄イタと同様、稲庭うどんの里・湯沢市稲庭町を訪れるなら、その普段使いの器ともなる同市川連町の伝統工芸品「川連(かわつら)漆器」を展示する「川連漆器伝統工芸館」に立ち寄った後、ぜひ足を延ばしたいのが、横手盆地の南東部にあたる隣町の横手市増田地区。

 次回Bianco e Nero ~ Capitolo Nero ~編「【黒編】クラシックな黒漆喰の内蔵(うちぐら)~奥ゆかしくも豪奢な内蔵めぐり~」を乞うご期待

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佐藤養助 総本店
 ・住:秋田県湯沢市稲庭町稲庭80
 ・Phone:0183-43-2911
 ・営:見学 9:00 ~ 16:00 販売 9:00 ~ 17:00 食事 11:00 ~ 17:00
    無休(年末年始休み)
 ・URL:https://www.sato-yoske.co.jp/shop/head-shop.html

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投稿者 vam : 00:49 | カテゴリー : ・Pref.Akita 秋田/| カテゴリー : 食をめぐる出会い

2016/10/16

カレー + 味噌 + 牛乳 +バター

青森発。華麗なる四位一体ラーメン

 イタリアンへの偏食傾向が著しい食生活をベースとする当Viaggio al Mondo ~あるもん探しの旅 ~。初めてメインテーマとして、日本の国民食として確固とした地位を確立しているラーメンを取り上げます。

 皆さまにとっては、取るに足らぬ些細な事ですが、庄イタにとって、これはちょっとした事件です(笑)。

 これまでラーメンが脇役としてでもViaggio al Mondoに登場したのは、わずか2回だけであることに今更ながら気が付きました。

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【Photo】青森市内で味噌カレー牛乳ラーメンを提供する5つのラーメン店が加盟する協同組合「青森味噌カレー牛乳ラーメン普及会」が監修し、青森県平川市の「高砂食品」が製造する半生めんタイプの「味噌カレー牛乳らぁめん」(2食入り・税込864円)

 一度目は、浜辺で鳥海山の水循環を目撃できる釜磯海水浴場をご紹介した際、追記で取り上げた「サンセット十六羅漢」。アオサノリがトッピングされる「夕日ラーメン」は、トビウオ出汁の魚介系スープ+酒田ラーメンの流れをくむ自家製細ちぢれ麺。日本海に沈む夕陽の光景までがご馳走となります。〈2007.8 拙稿「海に湧く山の水~大自然の水循環を目撃する海辺@遊佐町釜磯」参照〉

 二度目が、ネパール料理とカレーの店「Yetiイエティ」@気仙沼を取り上げた折のこと。〝どーせドライブインでしょ?〟などと侮るなかれ、濃厚系とは一線を画す野菜の旨味たっぷりな味噌スープと細目のちぢれ麺とが、絶妙な組み合わせとなる「南三陸ドライブイン ひかど食堂」の名品「味噌ラーメン」。〈2012.9拙稿「Yeti イエティ @気仙沼」参照〉

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【Photo】創始者の義弟・小田島敏也氏が味を受け継ぐ「札幌館」を訪れ、食事がてら購入した箱入り「味噌カレー牛乳らぁめん」。レンゲ一杯分の温めた牛乳とバター10gをトッピング。イタリア本国と同様にショートパスタとブロードの組み合わせによるPasta in zuppa(スープパスタ)が食卓にしばしば上るTaverna Carloにて本場の味の再現を試みる之図

 リゾット感覚で頂けるコメ状のパスタ「Seme di cicoria セメチコリア」や星状の「Stelline ステリーネ」などのショートパスタ+ブロードの組み合わせによるスープパスタならば、食す機会が少なくはない庄イタ。ブログ開設以来、9年を経た今回、初めて主役として登場するラーメンが、この夏に青森で出合った「味噌カレー牛乳ラーメン」です。

 青森市は中華麺の年間購入額が全国の県庁所在地の中では第2位(総務省2007年統計)。インスタント麺の購入数量が9年連続全国一(総務省2015年統計)という土地柄。

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【Photo】青森味噌カレー牛乳らーめん普及会の監修により、青森県内で限定販売されるカップ麺、東洋水産「青森味噌カレーミルクラーメン」(税別240円)

 仕事やプライベートで青森各地に足を運ぶ機会はこれまで幾度もあり、未食の津軽煮干しラーメンのほか、味噌カレー牛乳ラーメンの存在自体は知っていました。

 本州最北までの遠征を厭(いと)わせない魅力的なイタリア料理店が、南部・津軽両地域に揃う青森。ゆえに例えば三沢では必ずナポリピッツアを食するのが常となります。<2013.8拙稿「庄内系イタリア人的青森・前編」参照>

 そんな嗜好の結果、(青森に限らず)庄イタがラーメンを口にする機会は、おのずと限られるのです。今年7月中旬に開催されたあおもりマルシェで、アムさんメロンの秀品をゲットすべく、マルシェ前日に青森市入りしました。

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【Photo】東洋水産「青森味噌カレーミルクラーメン」。粉ミルクを使用し、バター風味のキューブをトッピング。専門店の味に迫ろうとしている

 直前まで週末のスケジュール調整がつかなかったため、今回も予約ができずご無沙汰している弘前市の某イタリアンではなく、東日本大震災の前日に出張した青森市長島で出逢って以来、贔屓にしている「Al Centro アル・チェントロ」〈2012.5拙稿「1年ぶりの青森美味巡礼-花の命は短くて...。2012春」参照〉を夜に予約済みだったその日。

 毛色の違った昼食にしようと訪れたのが「札幌館(下画像)。こちらは一見アクロバティックな組み合わせによる味噌カレー牛乳ラーメンを考案した故・佐藤清氏の義弟が営む店です。

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 1975年(昭和50)当時、青森市の中高生の間では、ゲーム感覚でマヨネーズやコーラなど、さまざまな食材を組み合わせてラーメンを食するトッピングミックスなる現象が流行したのだといいます。

 そんな好奇心旺盛な中高生の求めに応じ、札幌・ススキノのラーメン横丁で研鑽を積んだ佐藤氏が1968年(昭和43)に独立して開いた「味の札幌」の裏メニューとして考案したのが、味噌カレー牛乳ラーメンでした。

 意外な組み合わせの美味しさは口コミで広がります。インパクト十分な組み合わせが奏功、現在では青森市のB級グルメとして名声を得るに至りました。

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〝味噌ベーススープ+カレー+牛乳+バター+中華麺〟という前衛的な組み合わせがもたらす味は、どうにも頭では想像がつきません。百聞は一食に如かず。まずは体感しないことには謎の実態は解明されないのでした。

 意外とハマった「生姜味噌風味おでん」同様、冬が厳しい青森の風土が育んだ珍味(?)の誘惑には勝てません。
 
 こうして訪れた札幌館で、期待と不安が入り混じる庄イタの前に湯気を立てて登場した味噌カレー牛乳ラーメン(上・下画像・700円)。

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 カレー粉が香る合わせ味噌ベースのスープには、相性が良いケースが多い発酵食品同士の組み合わせとなるバターの風味が加わります。バターがコクをもたらし、その原料となる牛乳が調和とまろやかさを生み出します。

 意表を突いた組み合わせの妙を確認し、探求心のスイッチが入った庄イタ。次なる青森訪問の機会となった今年の青森ねぶた祭りの折、味の札幌創業時から佐藤清氏の片腕として味を支えた大西文雄氏の店「味の札幌 大西」を訪れました。

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 青森駅のほか、のっけ丼で知られる古川市場、地階が魅力的なアウガなどからほど近い好立地にある味の札幌 大西。開店して間もないにもかかわらず、すぐ満席になった店内には若い女性観光客の姿もちらほら。

 注文したのが、一番人気だという「味噌カレー牛乳ラーメン(バター入り / 830円)」(下画像)。本家筋としての札幌館、暖簾分けを許された味の札幌 大西の食べ比べが、こうして実現しました。

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 トッピングされる具にワカメの有る無しが最大の違いですが、まろやかでスパイシーな味噌味のスープと相性が良い太目でのど越しの良い縮れ麺は、両店とも相通じるものがあります。

 実食した感想としては、意表を突いたこの組み合わせ。大いに゛アリ〟です。訪れた両店の繁盛ぶりが、話題性を越えた独自の味が秘めた普遍性を物語ります。

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 お好みの付け合わせには、札幌館がおろしニンニク、 味の札幌 大西には梅干しが用意されます。 〝そこにしかない味〟という点では、折り紙付きの個性的な味噌カレー牛乳ラーメン。

 底冷えするこれからの季節、まだ訪れていない普及会の会員店「味の札幌分店 浅利」「札幌ラーメン蔵」「かわら」のいずれかで味わってみたいものです。

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札幌館
 住:青森市石江字岡部56-3
 Phone:017-782-1765
 営:11:00~21:20 不定休

味の札幌 大西
 住:青森市古川一丁目15-6
 Phone:017-723-1036
 営:11:00~21:30 年末年始休

 
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投稿者 vam : 23:54 | カテゴリー : ごちそうさまでした/| カテゴリー : ・Pref.Aomori 青森

2016/09/29

鳴子「むすびや」復活へむけて

鳴子の米プロジェクトの新たな挑戦


 コメ余りによる生産者米価の低迷、そして住民の高齢化と人口減少に直面した我が国の中山間地域では、耕作放棄地が広がり続けています。

 その典型的な縮図ともいえる一つが、秋田・山形との県境に位置し、宮城県内で唯一の特別豪雪地帯に指定されている宮城県北部の大崎市鳴子温泉地域

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【Photo】9月末の週末。実りの季節を迎え、黄金色に染まる宮城県大崎市鳴子温泉鬼首 上川原地区

 なかでも山間部の鬼首(おにこうべ)地区は、長雨と冷夏を引き起こすオホーツク海高気圧が優勢な夏に吹く東風「やませ」の影響を受けやすく、かつては年によって皆無作となる稲作農家も少なからずありました。「鬼首のコメはまずくて牛も食べない」と揶揄され悔しい思いをしたそうです。

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【Photo】鳴子温泉郷の入口にある上川原地区から、28年に及ぶ難工事の末、昨年11月に開通したR108花渕山バイパスを経由して秋田県境へ向かって20kmあまり。栗駒山系の峰々が迫る山あいを流れる荒雄川。日の目を見ることがなかった東北181号の試験栽培が2006年に行われたのは、ここ鬼首中川原地区と山あいへと更に分け入った寒湯(ぬるゆ)地区・岩入(がにゅう)地区だった

 温泉街の近くを流れる江合川(荒雄川)の源流域となる鬼首地区と中山平地区のコメ作りに一つの希望の光を灯したのが、2001年(平成13)に「ササニシキ」や「ひとめぼれ」を育種した宮城県古川農業試験場で寒冷地向けに開発された品種「東北181号」でした。

 2005年(平成17)の秋、生命と生存のための食糧の作り手と農地保全の大切さを訴え続けてきた民俗研究家・結城登美雄氏の提唱により、生産者・旅館経営者・直売所グループのお母さん・木工品の職人・行政ら30名で構成される「鳴子の米プロジェクト会議」が発足します。 

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【Photo】鳴子温泉郷の最深部にあたる鬼首(おにこうべ)。トンボが舞う田んぼで収穫を待つばかりとなった鳴子の米プロジェクトの象徴であるコメ「ゆきむすび」。9月に収穫される早生種で、今年も収穫が始まった9月24日(土)、通りかかった鬼首では、頭(こうべ)を垂れた稲穂が秋風に吹かれていた

 プロジェクトが掲げた目標は、生産者だけでなく地域を挙げて地元のコメ作りを支えること、生産者が持続可能な価格設定をすること、食べる人と作る人との信頼関係を構築すること。

 その理念と実践を知って以降、ずっとずっと庄イタが応援している取り組みです。

〈2008.10 拙稿「鳴子の米プロジェクト」稲刈り交流会【前編】【後編】 
 2014.6 拙稿「ゆきむすび 田植え交流会2014」【前編】【後編】参照〉

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【Photo】雪深い山里で命の糧を作る人の思いが一粒ごとに込められている「ゆきむすび」。事前に予約し、毎年手元に届くのを心待ちにしている新米のパッケージに記されたメッセージ。豊という漢字の旧字体〝豐〟は、穀物を足付きの器「高坏(たかつき)」に盛った様子が語源。旧字体には、山の中で育つ稲穂が見て取れる

 国の減反政策により、作付けが行われることがなかった東北181号の奨励品種登録を目指す実証実験として、2006年(平成18)5月中旬、残雪に包まれた栗駒山系の冷たい雪解け水が流れ込む鬼首の稲作農家3戸が、10アールずつ合計三反歩の水田で試験栽培の田植えを行いました。

 東北181号は、コメどころ宮城の代表的な奨励品種「ササニシキ」や「ひとめぼれ」が生育できない山間地特有の日照量が限られる冷涼な気象条件に見事適合。豊かな実りを得たのです。

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【Photo】杭掛けの準備を整え、収穫を待つゆきむすびと、すでに刈り取りを終え、杭掛けされたゆきむすび。ここは荒雄岳を迂回するように鬼首の最深部に分け入った上ノ台地区。廃屋が散見されるこの一帯で大地を耕す人がいなくなった時、こうした瑞穂の国の原風景は、たちまちにして失われてしまう

 地域の相互扶助「結(ゆい)」の復活、そして農村と都市とを結ぶ懸け橋となることを願い、2007年12月に「ゆきむすび」と名付けられた東北181号は、県の奨励品種として翌年2月登録されます。

 今年度産米の稲作農家が農協から受け取る仮渡し金は、宮城ひとめぼれで1俵60kgあたり1万1千円程度が見込まれています。農家の採算ラインを大きく下回る1万円を割る事態に至った米価の暴落にひとまず歯止めがかかった格好ではあります。

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【Photo】30万~20万年前の火山活動で形成された鬼首カルデラの平野部分、上山崎地区の大場隆英さんの圃場。手間がかかる杭掛け・日差しを浴びた天日乾燥による「ゆきむすび」は500俵限定。11月末にで予約者の手元に届く

 余剰小麦の輸出拡大を図る米国の意向で推し進められた戦後の復興期に始まったパン給食が功を奏し、コメ中心だった日本人の食生活は様変わりしました。北米や豪州など9割を輸入に依存する小麦とは違って、コメは自給可能な日本人の伝統的な主食です。

 瑞穂の国ニッポンの国土保全にも役立つコメ作りを続けていくうえで、1年間の労働や必要経費を差し引いた対価として、果たしてこれは妥当な額なのでしょうか?

 日本の農業が国際市場で競争に打ち勝つというお題目のもと、農地の大規模集約化を目指そうと、平成19年度産米からは、4haに満たない耕作地の稲作農家への国の財政支援が打ち切られました(中山間地域には基準の8割程度の緩和措置あり)

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【Photo】鬼首・山崎前地区でゆきむすびを育てている大場市雄さんの圃場。繁殖牛1頭を飼い、その発酵堆肥をコメ作りに活用。杭がけのため稲を束ねていた奥様は「鬼首は雪深いけれど、春が来れば自然に解けるから苦にならない」とカラカラと笑った

 国の方針転換により、担い手として国の支援対象となったのは、鳴子地域の稲作農家620戸のうち、わずか5戸に過ぎません。

 グローバル化・空洞化が進む工業生産品と同じ市場原理を導入した霞が関の発想と地域の実情とのズレは明白でした。「このままでは地域の疲弊は進む一方。」そんな危機感からスタートした鳴子の米プロジェクト発足3年目の2008年(平成20)、推進母体である鳴子の米プロジェクト会議は、恒常的な組織としてNPO法人化されます。

 鳴子の米プロジェクトでは、農家の手取り額として玄米1俵あたり1万8千円を保証。購入者が支払う60kgあたり2万4千円との差額6千円は、若者を中心に地域を支える後継者を育成するためと事務局運営の必要経費に充てています。

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【Photo】(株)こばやし(本社:仙台市宮城野区)が2008年(平成20)に発売した駅弁「宮城ろまん街道」(税込850円)。2つのおむすびに使用されるお米は「ゆきむすび」。包装紙には鳴子の米プロジェクトに当時参加していた鬼首と中山平地区の作り手24名の顔が揃う

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 ゆきむすびは、低アミロース米特有のモチモチした粘りが強い食感と、特Aの常連である宮城産ひとめぼれに勝るとも劣らない食味の良さを兼ね備えます。炊き立てはもちろん、冷めても美味しいため、お弁当やおにぎりにも向く用途の広いお米です。

「初めて人に美味しいと言ってもらえるコメができました。」東北181号の試験栽培への協力を2006年2月に決断した曽根清さん(上画像左から11番目・故人)の言葉は、今も耳に残っています。〈2010.12拙稿「酷暑を乗り越えた『初ゆき』の味」参照〉

 食べる人の安全を考え、除草剤や化学肥料の使用を県の慣行栽培比5割以下までに抑えたゆきむすびの対価は、ごはん茶碗1膳あたり約24円。米国資本の某ファストフードのハンバーガーは100円。子どもたちに伝えたい味は果たしてどちらでしょうか?

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【Photo】冷めても美味しく用途の広い「ゆきむすび」。全ての商品にゆきむすびを使用するおにぎり専門店「おむすび権米衛アパホテル神田神保町駅東店のように、おむすびやお弁当が美味しいのは言わずもがな。加工品で庄イタが最も愛好するのが、濃醇な甘酸っぱさが堪能できる「ゆきむすび 鬼のどぶろく」(300mℓ 税込750円)

 9月24日(土)、秋田・湯沢に向かう道すがら立ち寄った鬼首では、好天のもと早生種であるゆきむすびの稲刈りに汗を流す農家の姿が見られました。

 プロジェクト発足3年目からゆきむすびを栽培しているという山崎前地区の大場市雄さんによれば、寒冷地での栽培に適したゆきむすびゆえ、初夏に高温傾向が続いた今年は分けつ数が少ない上、スズメによる食害も少なからず発生。収量的には少ないとのこと。

 ゆきむすびの購入者も参加して例年行われる5月末の田植え交流会や9月末の稲刈り交流会で振る舞われる食事でお世話になる「やまが旬の市」のお母さんたちも、ゆきむすびの栽培農家にとって、除草や病害虫との闘いに加え、今年は暑さで苦労したと口を揃えます。

 今年も予約済みの28年度産米。12月初旬、鳴子に受け取りに行くことになっています。手を合わせて頂くことにしましょう。

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【Photo】親・子・孫。先祖伝来の田んぼに家族三世代が集い、ゆきむすびの収穫・杭掛け作業に精を出す。鬼首・上山崎地区にて
 
 NPO法人鳴子の米プロジェクトが、大切な命の糧を作る人と食べる人との縁を結ぶ場所として、大崎市鳴子温泉要害地区のR47に面した農協の施設を借り受け、おむすびを提供する「むすびや」を土日限定営業でオープンしたのが2009年12月。

 麹南蛮味噌焼き、青菜漬巻き、クルミ炊き込み、きな粉、古代米炊き込みなど、地元のお母さんが握った鬼首産ゆきむすび100%のおにぎりは常時10種(120~140円)。岩手・野田村の塩、宮城・七ヶ浜「星のり店」の海苔といった選りすぐりの海産物ともコラボ。

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 具だくさんの味噌汁・煮物の小鉢・漬物と、宝石のような前出のおむすびから2つが選べる農作業の合間に田んぼで食する「小昼(こびる)」をイメージした「小昼らんち」(600円)も人気を博しました。

 こうして過去形で語るのには理由があります。鳴子温泉を訪れる観光客や地元の人々で賑わったむすびやは、2011年(平成23)の東日本大震災で設備が損傷。2013年末の賃借契約満了をもって建物が取り壊されたのです。

 再開を待ちわびる声に背中を押されたNPO法人鳴子の米プロジェクトでは、比較的少額な個人からの寄付金を募るクラウドファンディングの手法を取り入れて待望久しい「むすびや」営業再開に向けて始動しました。

logo_musubiya@narugo.jpg 9月15日、READYFORに支援窓口が開設された「鳴子の米プロジェクト、伝説のおにぎり屋『むすびや』を復活!」。

 来年4月の復活を目指し、資金の一部250万円をインターネットを介して2か月間で調達しようという試みです。

 おむすび10個引換券(学生限定)ないしはサンクスレターが届く一口3千円ほか、鳴子の温泉宿利用券と交流会無料参加資格が得られる一口1万円から5万円まで、多彩な特典つきの支援コースが用意されます。

 11月14日(月)23時までに目標額に達しない場合、善意が活かされることはありません。現時点で目標額の40%強の資金協力を得ています。

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【Photo】北東イタリア・チロル地方に相通じる景観を生む神室連山を背景に一面の穂波で黄金色に染まった鬼首。そこに人の温もりを感じるのは、営々と築かれてきた耕土の営みがあってこそ

 2007年3月4日、東北181号が初めて世に出た「鳴子の米発表会」で配布されたパンフレットに記された鳴子の米プロジェクトの提唱者である結城登美雄氏の言葉の一節を最後にご紹介しておきましょう。

 ----この世には、あきらめてはいけないことがあり、失ってはならないことがあります。私たちの「生命と生存のための食料」(ソクラテスの言葉)と、それを育ててくれる人びとと大切な農地の存在です。

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鳴子の米プロジェクト 

◆28年度産ゆきむすびのご予約はFAX(0229-29-9437)で。
 申込書はこちら 201604yukimusubiyoyaku

◆「むすびや」復活のご支援はREADYFORサイトで。
 申込みはこちら https://readyfor.jp/projects/musubiya

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投稿者 vam : 07:30 | カテゴリー : 「足もと」のこと/| カテゴリー : ・Pref.Miyagi 宮城/| カテゴリー : 再生へ 心ひとつに

2016/09/17

躍動、縦横無尽。

青森ねぶた祭&五所川原立佞武多(たちねぷた)の偉容

◆青森ねぶた祭 編◆
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Feeding The Planet, Energy For Life.(地球に食料を、生命にエネルギーを)〟をテーマに昨年5月1日から10月31日までイタリア・ミラノで開催された「 Expo Milano 2015 (ミラノ国際博覧会)」には、140を超える国と国際機関がパビリオンを出展。184日間の会期中、2,150万人が訪れました。

 岩手県産のカラマツを木組み工法で組み上げた外観の日本館はとりわけ好評を博し、連日入館待ちの長蛇の列。入館者の9割が規則に縛られることを嫌うイタリア人だったにもかかわらず、最長で9時間も(!!)並んだことが、驚きをもって地元メディアで紹介されました。

Expo2015Milano.jpg【Photo】ミラノ万博には、2001年に大英博物館に出品したねぶたが世界最高のペーパークラフトと評され、2012年に第6代ねぶた名人の称号を授与されたねぶた師・北村隆氏が太陽と地球を表現した「日天・水天」が、八戸港からジェノヴァまで海を渡って凱旋した

 7月11日の「ジャパンデー」には「東北復興祭りパレード」が行われ、東日本大震災で寄せられた支援への感謝を込めて東北6県の夏祭りが披露されました。福島わらじまつり仙台七夕秋田竿灯まつりなどとともに、青森ねぶた「日天・水天」(上画像 / 幅6m・高さ4.5m・奥行き4.5mも出陣。

【Movie】2015年7月11日にミラノ万博ジャパンデーの目玉として催された「東北復興祭りパレード」

 毎年8月2日~7日に開催される青森ねぶた祭に繰り出す大勢の囃子・跳人(はねと)に先導された赤・青・黒などの原色を配した大型ねぶた(幅9m・高さ5m・奥行き7mが宵闇に鮮やかに浮かび上がる大迫力を再現できたかは、正直微妙なところ。

 欲を言えば青森ねぶたの運行は、あっけらかんとひたすら明るい真夏のイタリアの太陽のもとではなく、熱い情念が解き放たれる夜間であってほしかったのですが...。

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画像提供:(公社)青森観光コンベンション協会

 短い北東北の夏に燃え立つ燎原(りょうげん)の火のごとく、青森県内各地で催されるねぶた(ねぷた)祭。好天に恵まれた今年は、東北三大夏祭りでは最多となる276万人を集めた青森ねぶた祭、武者絵などが描かれた大小80台の扇型山車が「ヤーヤドー」の掛け声で繰り出す弘前ねぷたまつり、後述する五所川原立佞武多(たちねぷた)などは、実物に触れてこそ、溢れんばかりの熱気やスケールが体感できます。

 このところ、めっきり日が暮れるのが早くなりました。ここにご紹介するのは、お囃子と「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに真夏の夜を熱く焦がした熱気渦巻く青森ねぶた祭に出陣した大型ねぶた22台の中から選ばれた入賞作。今更ではありますが、どうぞご覧ください。

nebuta2016taisho.jpg青森ねぶた「ねぶた大賞」:蝦夷ケ島夷酋(えぞがしまいしゅう)と九郎義経

竹浪比呂央氏 作(JRねぶた実行プロジェクト)

nebuta2016chijisho.jpg青森ねぶた「県知事賞」:俵藤太(たわらのとうた)と竜神
北村 隆氏 作(ヤマト運輸ねぶた実行委員会)

shichou.jpg青森ねぶた「市長賞」:箭根森八幡(やのねもりはちまん)
竹浪比呂央氏 作(青森菱友会)
画像提供:(公社)青森観光コンベンション協会

aomorinebuta-shimin.jpg青森ねぶた「商工会議所会頭賞」:陰陽師(おんみょうじ)、妖怪退治
北村麻子氏 作(あおもり市民ねぶた実行委員会)

 唯一の女性ねぶた師・北村麻子氏は、昨年秋に長女を出産したばかり。大型ねぶた5作目「陰陽師、妖怪退治」は、背面の「送り」もサービスショットでご紹介します(下画像)

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 化け猫の顔にいたずら書きをする子、化け猫のヒゲを引っ張る子、大泣きする子。母親となった北村氏が、子育てと仕事を両立させながら取り組んだ新作ならではのディテールではないでしょうか。

nebuta-hitachi.jpg青森ねぶた「観光コンベンション協会会長賞」:忠臣蔵

北村蓮明氏 作(日立連合ねぶた委員会)

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◆五所川原 立佞武多 編◆  
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 青森ねぶたの熱気と余韻を残したまま迎えた翌日。既報の田舎館村・田んぼアート会場〈2016.9拙稿「シン・ゴジラ出現!@田舎館村」参照〉・弘前「岩木山神社」や、出回り始めていた「嶽きみ」〈2013.9拙稿「キミだけを想ってる 」参照〉の確保に訪れた嶽地区など岩木山麓を経て、五所川原市に庄イタは出没しておりました。

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【Photo】年間を通して大型立佞武多を展示する「立佞武多の館」から姿を現した「忠孝太鼓」。全高17m・重さ18t。二層重ねの大太鼓は、直径2.4mで、迫力の重低音を響かせる

 今年7月中旬、「アムさんメロン」〈2013.8拙稿「庄内系イタリア人的青森〈後編〉」参照〉が出品される青森マルシェを昨年に続いて訪れた足で、五所川原「立佞武多(たちねぷた)の館」を訪れていました。

 そこで安土桃山時代に歌舞伎の源流となる「かぶき踊り」を編み出した出雲阿国を題材に、今年の立佞武多に初お目見えする「歌舞伎創生 出雲阿国(いずものおくに)」を担当した立佞武多師・齊藤忠大(ただひろ)さんの躍動感あふれる下絵(下画像)を目にしていたのです。

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 青森ねぶたにしろ、弘前ねぷたにしろ、歌舞伎や神話などに題材をとった男性的な〝ますらをぶり〟な作例が多いかと思います。そんな中で、2006年(平成18)に五所川原市観光物産課副主幹(当時)三上敦行氏が手掛け、鬼子母神が題材となった「絆」に続き、女性を題材とした今年の新作立佞武多は、完成形を是非とも見たいと思ったのです。

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【Photo】かぶき踊りを舞う出雲阿国を題材とする新作「歌舞伎創生 出雲阿国」の大きく跳ね上げた左足を真下から。アンクレット風の朱数珠 & ペディキュア風の赤い爪紅(つまべに)で女子力アゲアゲ。着物の裾からのぞく生おみ足に萌え~ 之図

 組み上げると高さ23m・幅8mに達する巨大な立佞武多。「ヤッテマレ、ヤッテマレ」の掛け声や勇壮な太鼓やお囃子とともに、あでやかに舞う出雲阿国が市街地を練り歩く姿を想像しながら、期待を胸に五所川原入りしました。

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【Photo】立佞武多の館から姿を現した2014年製作「国性爺合戦 和籐内(こくせんやがっせん わとうない)(前方)、2015年製作「津軽十三浦伝説 白髭水と夫婦梵鐘(しらひげみずとめおとぼんしょう)(後方)

 8月4日~8日までの祭り初日に登場する五所川原が生んだ大スター吉幾三さんの生歌唱パレードと並ぶ(?)見ものの一つは、巨大な大型立佞武多が立佞武多の館から出陣する場面。

 地上6階建て(高さ38m)の建物に設けられた可動式のゲートから、二層建ての八尺(直径約2.42m)太鼓の上にねぷた飾り「三日月祈願 山中鹿之介」を据え付けた「忠孝太鼓」に先導され、ここ3年で製作された大型立佞武多3台が、開口部に接触せぬよう、スローモーションのようにゆっくりと姿を現すさまは圧巻です。

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【Photo】大勢の引き手に導かれて立佞武多の館を出陣し、通りへと繰り出す2016年新作「歌舞伎創生 出雲阿国」(上画像6点)。女性の体重を明らかにするのは無粋なれど、総重量は19t。五所川原市街地中心部を巡回するスタート地点で「忠孝太鼓」と「歌舞伎創生 出雲阿国」が相まみえるさまは、特撮映画ゴジラ対キングギドラさながら(下画像)

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 市街地と沿道の観客を見下ろしながら練り歩く大型立佞武多。それはフルCGで製作されたシン・ゴジラの虚構世界が、あたかも目の前で現実となったかのよう。

2014watonai.jpg【Photo】立佞武多の館では3年ごとに常設展示する大型立佞武多の入れ替えを行う。今年が最後の出番となった2014年製作「国性爺合戦 和籐内」(鶴谷昭法氏作)は、来年の新作立佞武多の完成を待って解体される。勿体ないので、どなたかご自宅の改築またはビル新築を前提に引き取りませんか?

 3Dメガネをかけずとも、VFXを駆使したインディペンデンス・デイ:リサージェンスを凌ぐド迫力を味わえた五所川原立佞武多を、とくとご覧ください。

2015shirahigemizu.jpg【Photo】2015年製作「津軽十三浦伝説 白髭水と夫婦梵鐘」(福士裕朗氏作)

  2016年の〝たをやめぶり〟な新作「歌舞伎創生 出雲阿国」のあでやかな舞いを正面より見上げる之図。(下画像)

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 迫力に気おされ、番傘を差した阿国の後ろ姿を見送る之図。奥は立佞武多の館に帰還せんとする国性爺合戦 和籐内。(下画像)

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 八戸・青森・五所川原と青森県を横断し、ド派手で奇想天外な山車や勇壮なねぶた、そして規格外の大きさの立佞武多を間近にして、物体の大きさを捉える感覚に微妙な狂いが生じていたような気がします。

 そのダメ押しとなったのが、五所川原から鰺ヶ沢・深浦を経由して日本海沿いを花火大会が開催される酒田を目指して南下した途中・秋田県能代市でのこと。

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【Photo】2013年(平成25)、1世紀ぶりに復活した能代七夕を彩るどこかポップな極彩色の大型行燈。手前の「嘉六(かろく)」は高さ17.6m、奥に控える「愛季(ちかすえ)」は高さ24.1m

 R7を南下中に通りかかった能代市役所の裏手には、8月3日・4日に開催される能代七夕「天空の不夜城」に繰り出す大型燈籠2基(上画像)が展示されており、横浜中華街の牌楼(パイロウ)的な存在感を示していました。

 度肝を抜かれたのが、立佞武多より高く、燈籠としては日本一の高さだという24.1mの「愛季(ちかすえ)」。

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 明かりが灯った状況(上画像)とは違い、いわゆる〝昼行燈(ひるあんどん)〟でしたが、Beijing opera(ペキン・オペラ)こと京劇を思わせるビビッドな配色とキッチュな造型、そして型破りの大きさに目を丸くしました。

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 中秋の名月を過ぎ、もはや真夏の夜の夢にも思える五所川原立佞武多、青森ねぶた祭、八戸三社大祭と、青森を巡った3つの夏祭りをシリーズで回顧してきました。

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 こうして北東北のスペクタクルを体感した挙句、巨大な異形の人形が多数繰り出すイタリア・トスカーナ州のビーチリゾートViareggio ヴィアレッジョで開催される「Carnevale di Viareggio ヴィアレッジョのカーニバル」(上画像)が、妙に思い起こされるオチがついた夏でした。

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投稿者 vam : 06:49 | カテゴリー : イベント&催し/| カテゴリー : ・Pref.Akita 秋田/| カテゴリー : ・Pref.Aomori 青森

2016/09/10

巨大スケール 縦横無尽

「殿、利息でござる!」「ティファニーで朝食を」「シン・ゴジラ」と映画に関連づけた話題が続いたこの夏。その最後を締めくくるのは、桁外れの大きさの宇宙船で来襲し、地球を植民地化しようとする地球外生命体に結束して立ち向かう人類の闘いを描いた作品です。

迫力の3Dで迫り来る侵略者もタジタジのピッツァ
& 棟方志功に見る青森ねぶたの色彩


cooking-kingdom2016.6.jpg 「TOHOシネマズ仙台」がキーテナントで6~9Fを占める仙台PARCO2の1F飲食フロアには「サルヴァトーレ クオモ& バール」が東北初出店(下画像)

 7月1日(金)のグランドオープン前日に行われたプレス内覧会には、日本にナポリピッツアを広めた功労者でナポリ出身のサルヴァトーレ・クオモ氏も駆けつけ華を添えていました。

 そうして期せずしてトートバッグに忍ばせていた料理王国6月号の表紙(右画像)をちらつかせながら、落合務シェフと並んで写るクオモ氏とご対面。

©CUISINE KINGDOM

 2003年にナポリで開催されたピッツァ職人の技能を競う世界最高峰の大会「Pizzafest」において、イタリア人以外で初の最優秀賞に輝いた大西 誠氏も、生地づくりや薪窯の技術指導のため、数日間は仙台にいらっしゃる予定であることを店の方から聞き出しました。

 上杉「ピッツエリア・パドリーノ・デル・ショーザン」、楽天コボスタ内「穂波街道 赤のイスキア」、塩竃「ラ・ジータ」、定禅寺「ダ・ジェンナーロ」、台原「イル・ピッツァイオーロ」といった庄イタをうならせる本場ナポリの味を仙台に居ながらにして味わえるピッツェリアが増えつつある仙台圏。

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 一方で、東京・中目黒「ダ・イーサ」で、山本尚徳さん(下画像)の手になるサックリ&モチモチの食感が素晴らしいピッツア生地が、何故に世界一なのかを体感するなど、日々の鍛錬も怠りません。

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 マルゲリータ・レッジーナ協会主催「Trofeo città di Napoli ナポリ・ピッツア選手権」において、2007年と2008年に世界一に輝いたのが、当時、南青山の名店「Napule」のピッツイオーロだった山本さんでした。

marinala-daisa.jpg【Photo】異次元の食感で魅了する生地の旨さは特筆もの。Pizzera e Trattoria da Isa ダ・イーサのマリナーラ(1,500円)

 2003年世界チャンプ・大西氏のマルゲリータS.T.G.を新潟で食して以来の願ってもない機会ゆえ〈2013.10拙稿「すわ119番」参照〉、開店初日のランチに再訪した折には、ピッツアが冷めかねない通常メニューのランチビュッフェには目もくれず、大西さんが焼き上げたマリナーラ(下画像・S1,300円・M1,500円)を所望したのです。

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 内覧会の翌週末、再びPARCO2に足を運んだ一つの理由は、多店舗展開による個々の質の劣化という飲食店が陥りがちな悪弊に関して、サルヴァトーレ クオモ&バールが、その例外であるかどうかを見極めんがため。

 注文したカルボナーラが、熱々を食したいピッツアと同時に運ばれてくるなど、現場のオペレーション面ではオープンして間もないハンデを差し引かねばなりません。今後に期待しましょう。

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 ピッツアに換算したなら数億食分はあろうかという大きさの宇宙船(下画像)が地球に来襲するIMAX®3D版の「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」を鑑賞するのが、もう一つの仙台PARCO2を訪れた目的でした。

resergence-mothership.jpg【Photo】前作では直径24kmの設定だったエイリアンの宇宙船。新作では格段にスケールアップした母船が登場。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

 20年前に人類が結束して撃退したエイリアンが、遥かにスケールアップして再び地球を襲う「インディペンデンス・デイ:リサージェンス」。

 北米大陸を覆いつくすほどの巨大な宇宙船(下画像)の大きさのみならず、製作費についても1億6千5百万ドル(約165億円)の巨額を投じたSF超大作です。

indipendenceday-1.jpg【Photo】地球の重力を操作する技術を備えたエイリアンは、世界の主要都市を破滅に追い込む。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

 20年前に公開された第一作「インデペンデンス・デイ」では、ベトナム戦争の退役軍人ラッセル・ケイスが、ミサイルを装填した戦闘機ごと体当たりして母船を破壊。地球制服を目論むエイリアンと人類との死闘の末に地球を救いました。

 前作では湾岸戦争でパイロットとしての従軍経験がある設定だった米国大統領ホイットモアが、前作のラッセルと同じく自らの命と引き換えに人類を救う元大統領役を新作で演じます。

indipendenceday2.jpg【Photo】地球制服を目論む巨大で強力な侵略者に対し、人類はいかに立ち向かうのか。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

 前作より遥かに巨大化したエイリアン母船に対し、武力による徹底抗戦を挑むアメリカ。新作でもアメリカ独立記念日の7月4日が人類が勝利を収める日という設定がなされています。英雄の登場を待望し、世界の盟主たらんとする米国らしさが炸裂するこの作品。

 トランプ候補に拍手喝采するアメリカ市民のメンタリティと共通する〝善〟対〝悪〟の単眼的な図式化は、イスラム原理主義やテロとの戦いを主導する第二次世界大戦の戦勝国・米英仏の根底に流れる発想と相通じるように感じます。

IndependenceDay-queen.jpg【Photo】巨大なエイリアンの女王と繰り広げる死闘の結末やいかに。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

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 IMAX®デジタルシアターの巨大スクリーンに投影される空を覆いつくす巨大な宇宙船や、体長118.5mに巨大化したシン・ゴジラが引き起こした大きさの感覚に関する麻痺に追い打ちをかけたのが、既報の八戸三社大祭に加え、青森ねぶた、そして五所川原立佞武多と続いた夏祭りのハシゴでした。

oirase2016.8.jpg【Photo】鬱蒼とした樹間からこぼれる木洩れ日と、十和田湖から流れ出る豊かな水流とが、多彩な緑のコントラストを描き出す奥入瀬渓流「石ヶ戸の瀬」

 八戸から青森市への移動ルートに選んだのは、山岳コースのR103。寄り道した緑したたる樹間を変化に富んだ渓流美が続く「奥入瀬渓流」のハイライトとなる「石ヶ戸」~「銚子大滝」間、約8kmでマイナスイオンをたっぷりと浴び、まずはココロの洗濯。

choshi_otaki.jpg【Photo】雪解け水で水かさが増える春先は最大幅20mにもなり、落差7mの高さを水しぶきをあげて流れ落ちる「銚子大滝」は、奥入瀬渓流の本流では唯一の滝。轟音を響かせる滝を前に思い起こしたのが、5年前の9月、羽黒山伏修行の折に湯殿山での瀧行だった〈2011.12拙稿「修験道体験@出羽三山」参照〉

 広葉樹林帯からブナの森を縫うように走るR103。次第に標高が上がると、八甲田山が北限となるアオモリトドマツの森へと植生が変わってきます。標高890mのいで湯「酸ヶ湯温泉旅館」の名物、総ヒバ造りの「千人風呂」で身を清めてから青森市に到着しました。

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 大型ねぶたの運航が開始される19時10分までは時間の余裕がありました。そこで訪れたのが、世界的な板画家・棟方志功(むなかたしこう・1903~1975)の業績を展示する「棟方志功記念館(上画像)

munakatashiko-saku_konin.jpg 青森市で鍛冶屋の三男として生まれた棟方志功は、18歳で文芸誌「白樺」の表紙に描かれていたゴッホの「ひまわり」と出合い衝撃を受けます。「わだばゴッホになる」と画家の道を志します。1939年に発表した代表作「二菩薩釈迦十大弟子」で国内における名声を確立。1956年のヴェネツィア・ビエンナーレ版画部門で日本人初の国際版画大賞を受賞するなど、ここで改めてご紹介するまでもなく、海外でも広く認められた偉大な芸術家です。

【Photo】モノトーンの板画に裏側から色を滲ませる裏彩板画の作例。1962年(昭和37)「弘仁の柵」

 ねぶた祭を愛した志功は、郷里を離れた後も、跳人(はねと)として祭りに参加したそうです。志功が生命の象徴として好んで取り上げた丸顔で豊満な女性像に見られる裏彩板画の色合いは、躍動感に溢れるねぶたの配色を彷彿とさせます。

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【Photo】開幕を告げる打ち上げ花火に続き、血沸き肉踊る青森ねぶた祭の主役・大型ねぶたの先陣を切って出世大太鼓の勇壮な響きが近づいてくる

haneto2016.jpg【Photo】扇子持の合図で動くねぶたの曳き手、跳人と囃子が一体となって青森の夏の夜を焦がす

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画像提供:(公社)青森観光コンベンション協会

 黄昏時に聞かれる虫の鳴き声が、ヒグラシからスズムシへと変わり、過ぎ去った夏の感傷に浸るビデオクリップが秀逸なドン・ヘンリーの名曲「The Boys of Summer」が似つかわしい季節となりました。

 次回、「躍動、縦横無尽。青森ねぶた祭&五所川原立佞武多(たちねぷた)の偉容」で、笛・太鼓・手振り鉦が奏でるお囃子と、通りを練り歩くねぶたが宵闇を熱くする青森・津軽の短い夏を回顧します。

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投稿者 vam : 07:52 | カテゴリー : Cuccina Italiana/| カテゴリー : Libro e Cinema, Arti 書籍と映画, 芸術/| カテゴリー : ・Pref.Aomori 青森/| カテゴリー : ・Pref.Miyagi 宮城

2016/09/03

シン・ゴジラ出現@田舎館村

 前回「陸奥湊で朝食を」冒頭で登場した名作「ティファニーで朝食を」に続き、今回はこの夏公開され話題となった超・巨大な相手に立ち向かう人間の奮闘を描いた映画最新作にちなんだ話題を3回シリーズでお届けします。

最新VFXを越える田んぼアートのリアリティ

 VFXVisual Effects ビジュアル・エフェクツ)や3Dを駆使したデジタル視覚効果技術と、音響を含めた劇場設備の進歩により、映画の虚構世界をリアルに体感することが可能となりました。

 7月1日にオープンした仙台PARCO2には、床面から天井・正面の壁すべてが大きなスクリーンとなる最新鋭のIMAX®デジタルシアターを含む9つのスクリーンを備えたシネマコンプレックス「TOHOシネマズ仙台」が6~9Fにキーテナントとして入居しています。

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©2016 Toho co.,ltd.      

 まず俎上に乗せるのは、〝現実(ニッポン) 対 虚構(ゴジラ)〟をキャッチフレーズとする東宝作品「シン・ゴジラ」IMAX®版。

 羽田沖に突如出現し、大田区へと上陸した謎の巨大不明生物(ゴジラ)。予想だにしない緊急事態に右往左往し、機能不全に陥り被害を拡大させる日本政府。東日本大震災と原発事故の折の対応を想起させる政権中枢の優柔不断ぶりが、シニカルかつリアルに描かれます。

godilla_1.jpg【Photo】鎌倉に出現したゴジラは、シリーズ29作目にして過去最大の大きさに巨大化。映画「シン・ゴジラ」より ©2016 Toho co.,ltd.

 体内での核融合がエネルギー源となる巨大不明生物は、血流による体の冷却では追い付かず、突如として東京湾の海中へと姿を消します。鎌倉への再上陸時には、118.5 mまで体長が巨大化。

 ゴジラは横浜・川崎を移動して北上を続けます。戦後初の防衛出動を決断した内閣総理大臣の指示で、一斉攻撃に臨む自衛隊。しかし日本が保有する通常兵器では全く歯が立たず、ゴジラは防衛線を楽々と突破。東京都心へと移動します。

godzilla_2.jpg【Photo】首都防衛の生命線となる多摩川付近で、自衛隊は陸と空からの一斉攻撃に臨むが...。映画「シン・ゴジラ」より ©2016 Toho co.,ltd.

 日米安保条約に基づく出動要請を受けた米軍の地中貫通爆弾による攻撃で、致命傷を負ったかに思えたゴジラは、状況に応じて驚異的な進化を遂げる究極の生命体へと進化していました。国連安保理は中露が主導し、自国への被害拡大が懸念されるゴジラ殲滅(せんめつ)のため、東京での核兵器使用を決議します。

 各省庁の異端児たちの混成チームを主導する内閣官房副長官・矢口蘭堂は、日本に対する3度目の核兵器使用を回避すべく、血液凝固剤の経口投与によるゴジラの活動停止を画策。チームワークで立ち向かいます。

【Movie】映画「シン・ゴジラ」予告編 ©2016 Toho co.,ltd.

 次回取り上げるローランド・エメリッヒ監督最新作「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」でも共通して描かれるのが、絶体絶命の事態打開に向けたプロセス。日米それぞれの国情や国民性の違いが如実に表れているように感じました。

 もはやこれ以上のタネ明かしは野暮というもの。正確な金額は非公表ながら、東宝としては異例の総額20億円以上といわれる製作費を投じた超大作の結末は、どうぞ劇場で見届けて下さい。

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 この夏、最新VFXを駆使した映画の虚構世界を凌駕する現実と出合ったのが、夏祭り期間に訪れた青森でのこと。

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【Photo】田んぼアート発祥の地・青森県南津軽郡田舎館村の「道の駅いなかだて『弥生の里』」。360°の視界が開ける第2会場展望所からは、津軽平野と岩木山が一望のもと

 今回ご紹介するのは、1993年(平成5)から回を重ね、今年で24年目を迎えた田んぼアート開催真っ最中の青森県南津軽郡田舎館村(いなかだてむら)

 各地で同様の取り組みがなされる田んぼアート発祥の地・田舎館で庄イタが訪れたのは、NHK大河ドラマ「真田丸」をテーマとする第1会場ではなく、色の異なる7色9種類の水稲でシン・ゴジラを表現した第2会場でした。

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【Photo】田舎館村田んぼアート第2会場。背中から放射状に光線を発しながら国会議事堂を襲撃せんとする巨大スケールのシン・ゴジラは今にも動き出しそう。左右分割でのご紹介となったのは、18-55mmズームレンズではフレームアウトしてしまうゆえ、ご容赦のほど

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 道の駅いなかだて「弥生の里」に隣接する田んぼ約1ヘクタールの奥行き70m×幅150mが、田んぼアートのカンバスです。これは庄イタが映画シン・ゴジラを鑑賞したTOHOシネマズ仙台では最大となるシアター6(横31列・全366席)「IMAX®デジタルシアター」を遥かに超えるスケール。

 桁外れの大きさの田んぼアートを鑑賞するためには、道の駅いなかだてに4年前に造られた高さ21mの「弥生の里展望所」(入館料:中学生以上300円・小学生100円)から、鳥の視線を得て眺める必要があります。

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【Photo】自衛隊の火器による攻撃ではビクともしない分厚く強固なゴジラの外皮は、ニガウリ(ゴーヤ)をイメージしたという。風に吹かれてサワサワと揺れる稲が、あたかもゴジラが動いているかのような錯覚を生み、迫真のリアリティをもたらす

 感嘆すべきはその完成度の高さ。測量技術を用い、パースペクティブを考慮して展望所から眺めた際に形状の歪みが出ないよう下絵を基に設計図を作成します。

 今年の新作シン・ゴジラに関しては、田んぼに1万2千か所のポイントをプロットし、地元の方たちが、食用米「つがるロマン」・ 葉が白い観賞用品種「ゆきあそび」・古代米の「黄大国」や「紫大黒」など、色の異なる稲の苗を手植えしたのだといいます。

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【Photo】正しい日本語では「食べられる名作」とあるべきキャッチフレーズ。官製〝ら抜き言葉〟が気になる田舎館村作成による今年の田んぼアートのフライヤー(部分)。表面に採用された図柄は、昨年の第一会場「風と共に去りぬ」

 2013年(平成25)7月、弘前市と黒石市とを結ぶ弘南鉄道弘南線に「田んぼアート駅」が設置され、人口8,000人の村を年間35万人近くが訪れる観光集客の目玉となっています。交流人口増による地域おこしにも寄与した田んぼアートは、年を追って芸術性のレベルが向上。国内外から高い評価を受けています。

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 昨年からは巨大な「石のアート」にも新たに挑戦。〝不器用ですから〟のセリフが記憶に残る高倉健をモノトーンで器用に表現した前年作(上画像)に続く今年の新作は、昭和の大スター石原裕次郎(下画像)。苦み走った裕ちゃんは、きっとこう言っているのでしょう。「♪ 俺は待ってるぜ

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 村では例年9月末に刈り取り体験ツアーを実施します。ご興味があおりの方は、田舎館村企画観光課商工観光係(Phone:0172-58-2111 / 内線242・243)まで。

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 そもそも田舎館村が全国に先駆けて田んぼアートを始める契機となったのが、1981年(昭和56)にR102のバイパス化工事で、弥生時代中期にあたる2,000年前の水田跡が発見された垂柳(たれやなぎ)遺跡の存在でした。

 国内最大級の縄文集落跡「三内丸山遺跡」や、呪術で使われたと推測される異星人のような姿の遮光器土偶が出土した「亀ヶ岡遺跡」など、豊かな縄文文化が本州最北の地で花開いた青森。

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【Photo】田舎館村埋蔵文化財センターは、垂柳遺跡で発見された細かく仕切られた2,000年前の水田跡に建っており、 遺構露出展示室では遺構を間近に見学できる。手前の窪みは水路跡

 稲作を暮らしの基盤とする弥生文化が本州最北部に定着していたことを示す656枚(約8,000平方メートル)の水田跡は、北東北には弥生は存在しなかったというそれまでの定説を覆す発見だったのです。

 洪水により埋没し、打ち捨てられたと推定される小さく区割りされた弥生時代の水田跡で見つかったのが、当時そこで暮らしていた人々の数万にも及ぶ足跡でした。

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【Photo】田舎館村埋蔵文化財センターの入口ホール。年齢が特定された男女数名が遺した足跡をガラス越しに見ることができる

 その大きさと凹みの深さから、おおよその年齢や性別を推定。家族と推定される子どもを含む男女が揃って農作業を行っていたことが分かっています。

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 道の駅いなかだて「弥生の里」と通りを挟んで隣接する垂柳遺跡には、博物館と埋蔵文化財センター(共通入館料:大人300円・中高生200円・小学生100円)が建っています。

 田んぼアートの里を訪れた際は、稲作が北東北に定着し、弥生時代中期の人々の暮らしを支えていた田んぼの遺構もお見逃しなきよう。

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投稿者 vam : 21:55 | カテゴリー : Libro e Cinema, Arti 書籍と映画, 芸術/| カテゴリー : ・Pref.Aomori 青森

2016/08/20

Breakfast at Mutsuminato ~陸奥湊で朝食を~

三位一体の黄金比。キミよ知るや「ヒラメの漬け丼」
旨さどっぷり@八戸

 米国の小説家トルーマン・カポーティ原作による1961年公開の映画「ティファニーで朝食を(原題:Breakfast at Tiffany's )」は、早朝の人通りがないニューヨーク5thアヴェニューの高級宝飾店ティファニー前に1台のタクシーが停車するシーンで始まります。

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 タクシーから降り立ったのは、名前のないネコとの自由奔放な一人暮らしをNYのアパートで謳歌するホリー・ゴライトリー(オードリー・ヘップバーン)。

 原作の設定ではコールガール役ゆえ、仕事明けなのか、あるいは夜通し遊んで帰宅の途中なのかもしれません。長い髪をアップにまとめ、前髪にティアラをあしらったホリーは、ジバンシィの黒いカクテルドレスに身を包み、5連の模造パールネックレスで装い、レイバンのサングラスをかけています。

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 そんなドレッシーな装いにもかかわらず、ホリーはショーウインドーを覗きこみながら、紙コップのコーヒーを手に紙袋から取り出したデニッシュ・ペストリーをパクリと立ち食い。(上画像)

 パンとコーヒーだけの朝食というと、ヨーロッパが渡航先のパッケージツアーに組み込まれるホテルの定番「コンチネンタル・ブレックファースト」でご経験の方もおいでかと。

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 飲み食いが生きがいである欧州のラテン民族は、往々にして深夜まで家族や友人とアルコールと共に動物性蛋白質が中心の夕食をふんだんに摂取します。そのため、反動としての簡単な朝食スタイルが定着しています。

 肉食系のヨーロッパから見れば、総じて草食系と言って差し支えない日本人。前夜によほどハメを外して深酒をしない限り、パンとコーヒーだけの朝食では物足りないと感じるのでは?

 イカと並んで青森県八戸(はちのへ)港が水揚げ日本一のとある白身魚の美点を最大限に引き出したほっぺが落ちそうになる絶品朝ごはんを頂くため、夜半に仙台を発った8月某日。途中で休憩をとりながら東北自動車道を北上すること300km。早朝に八戸入りしました。

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 時刻は7時15分。およそマンハッタンとは雰囲気が異なるJR八戸線・陸奥湊駅前通り(上画像)を散策しながら、庄イタが思い起こしたのは、街並みとシチュエーションが似ているようで似ていないこの映画の冒頭シーンでした。

 陸奥湊駅前通りから500mほど離れた館鼻(たてはな)岸壁で日曜朝に開催される「館鼻岸壁朝市」に規模では譲りますが、1953年(昭和28)開設当時の猥雑な雰囲気が色濃い「八戸市営魚菜小売市場(下画像)をはじめ、時間が遡ったかのような錯覚を覚える陸奥湊駅前通りは、ディープな魅力に溢れています。

 駅を挟んで陸奥湊駅前通りの東西300 mほどの区間では、日曜を除く早朝3:00から正午まで「陸奥湊駅前朝市」が開かれます。

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 苦味が特徴の地キュウリ「糠塚キュウリ」が目を引く露天市や、養殖物とは明らかに異なる突起が目立つ形状と、のるかそるかの特有のクセがないため、宮城の養殖ホヤが正直苦手な庄イタでもOKな天然マボヤなどが店頭に並ぶ魚市場。そこで働くお母さんを指す南部弁「イサバのカッチャ」たちが居並びます。(上・下画像)

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 良質な脂が乗り切った「八戸前沖サバ」を食した2014年夏の訪問レポートでは、市営魚菜小売市場の朝ごはんをご紹介しました〈2014.11拙稿「発進! みちのく潮風トレイル」参照〉が、今回の目的地は違います。

 JR陸奥湊駅北口にあるイサバのカッチャ像の前をウミネコの繁殖地として知られる鮫町の蕪島(かぶしま)方面に右折、目指すは活気ある陸奥湊駅前通り沿いにあって、朝8時を回る頃には店の前に行列が出来始める「みなと食堂(下画像)で一番人気の「ヒラメの漬け丼」(税込1,000円)。

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 よしもと芸人とにかく明るい吉村が会長を務め、こよなく丼ものを愛する全国津々浦々の人々で組織する一般社団法人 全国丼連盟が、2014年(平成26)秋に実施した第1回全国丼グランプリには、日本各地から1,262種類の丼ものがエントリー。

 全11ジャンルのうち、海鮮丼部門で金賞に輝いた7点の一つが、2011年(平成23)に登場し、口コミで美味しさが全国に伝わり、今では八戸みなと食堂の看板メニューとなったヒラメの漬け丼です。

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 ブサかわ犬「わさお」ともども、日本海に面した鰺ヶ沢で見逃せない夏の風物詩イカカーテンで知られる肉厚のイカ、津軽海峡のクロマグロ、脂の乗りが尋常ではない八戸前沖サバ、陸奥湾の養殖ホタテなど、三方を海に囲まれた青森の名だたる海産物を差し置き、青森の県魚はヒラメなのです。

 昨年6月、テレビ朝日の番組「いきなり!黄金伝説。」2時間スペシャル「他県からなぜかお客が集まる大人気ローカル食堂」で、みなと食堂が取り上げられました。それに喰いついた家族の強い求めに応じ、みなと食堂を初めて訪れたのが昨年11月。〝寒平目〟ならではの上質な脂と引き締まった歯応えが堪能できるヒラメの旬を迎えた時季でした。

minato-shokudo-counter.jpg【Photo】店内はカウンター8席と4人掛けテーブル1卓。「本日の四合わせ丼(ホタテ・マグロ・イクラ・甘エビ)1,300円」「ヒラメ漬け+エンガワ半々丼1,300円」など品書きは、マジックペンで手書きした無造作な張り紙というのも漁師町ならでは(上画像)。飾らない店のしつらえとは対照的に、ヒラメの漬け丼は、店主の繊細かつ緻密な仕事のなせるものに相違ない

 みなと食堂をご夫婦で切り盛りする店主の守 正三(もりしょうぞう)さん。遠洋漁業や鮮魚店での従事経験を通して魚の目利きを培いました。

 陸奥湊駅前通りの一角に、空き倉庫を改装したみなと食堂がオープンしたのが、2001年(平成13)。翌年12月に東北新幹線が盛岡から八戸まで延伸し、観光資源の掘り起こしが求められていた時期と符合します。

hirame-zuke01.jpg【Photo】特製ダレに漬けたヒラメの切り身がびっしりと敷き詰められ、地鶏の卵黄がトッピングされた「ヒラメの漬け丼」(味噌汁・小鉢付き1,000円)。守さんの丁寧な仕事が光る八戸ならではの朝ごはん。上画像は昨年11月に食したヒラメの漬け丼・せんべい汁セット(小鉢付き1,350円)。ご当地の味で地域おこしをしようと、八戸の市民ボランティア団体「八戸せんべい汁研究所」(通称「汁゛研(じるけん)」)が企画したのが「B1グランプリ」。2006年2月に八戸で第一回が開催された

 10年目の節目を迎えた2011年(平成23)、店を一躍スターダムの座に押し上げたが、ヒラメの漬け丼でした。稚魚を放流しているため、ヒラメは年間を通して八戸近海で水揚げされます。昔の漁師料理をもとに、独自の工夫を加えてメニュー化したのだといいます。

hirame-zuke02.jpg【Photo】漬けヒラメ・地鶏の卵黄・漬けタレが染みた温かなご飯。具材はこれだけ。シンプルなれど奥が深い三位一体のアンサンブルが至福の朝へと導く

 水揚げされてから2日間低温熟成させ、うま味成分が増したヒラメの白身は、透明感を保ちつつ飴色がかってきます。注文を受けてから特製の漬けダレに切り身を漬け込みますが、その時間が長すぎても素材の甘味を損なうため、3分程度に留めます。

 そうして素材が最も美味しいタイミングを見極め、暖かいご飯が盛られた丼に、ねっとりした食感の熟成ヒラメの漬け切り身を重ね合わせながら埋め尽くすよう並べてゆきます。

 昨年11月に初めてヒラメの漬け丼を口にして思ったのが、「これは最強のカルパッチョ+リゾット発祥のイタリアにとって、青天の霹靂(へきれき)な創作料理として逆輸出できるぞ」ということ。

hirame-zuke03.jpg【Photo】ヒラメの漬けダレは、青森県三戸郡田子町(たっこまち)特産のニンニク「福地ホワイト」+本みりん+「陸奥八仙」で知られる地元八戸酒造の「陸奥男山」からなる合わせ醤油の卵かけご飯 × 熟成漬けヒラメの豪華版。これが旨くないはずがなかろうというもの

 ヴェネト州産の辛口スパークリングワインProsecco プロセッコに白桃のピューレを加えたカクテル「ベリーニ」や、牛の生肉を使った料理「カルパッチョ」発祥の店といえば、ヴェネツィアの超有名店「HARRY'S BAR(ハリーズ・バー)」。

 イタリアでも現在ではポピュラーとなったのが生魚を使ったカルパッチョ。日本から逆輸出された魚のカルパッチョを考案したのは、銀座の有名店「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」の落合務オーナーシェフ。

 つなぎのソース役を箸で潰した卵黄が果たすニンニク醤油ベースのリゾット+かもめ食堂式漬けヒラメのカルパッチョというド鉄板な組み合わせは、イタリア人・日本人だけでなく国籍を問わず人気を博すことでしょう。守さん、いかがでしょ?

hirame-zuche2016.8.jpg【Photo】「卵かけご飯が嫌い」と仰る方でなければ、日本人のDNAに訴えてやまないリピート必至のヒラメの漬け丼。三社大祭の期間中で、街のあちらこちらからお囃子の笛の音が聞こえてくる2016年盛夏ver. 。2度目にして改めて実感「いい仕事してますねぇ~」

 すんなり入れた店内には、守さん夫妻以外まだ誰もいません。カウンター席の奥に陣取り、そんな妄想を巡らしつつ、高まる期待を胸に丼が運ばれてくるのを待つことしばし。庄イタに限らず、ほとんどの客が注文するのはヒラメの漬け丼であることがわかります(笑)。

 それも無理はありません。ほっかほかの卵黄かけご飯に、これでもか!!とばかりに旨さを極めた熟成ヒラメの漬けがたっぷりと加わるのですから。漬けヒラメ・卵黄・しょうゆダレご飯が織り成す絶妙な三位一体の黄金比率には、誰しもが魅了されるに違いありません。

 ぜひっ!

♪へ(^Σ^)へ ♪へ(^Σ^)へ ♪ へ(^Σ^)へ ♪ へ(^Σ^)へ ♪ へ(^Σ^)へ ♪ へ(^Σ^)へ ♪ へ(^Σ^)へ

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 伝説や歌舞伎に題材をとった極彩色の奇想天外な27台の大型山車(上・下画像)や、獅子頭による統一がとれた権現舞一斉歯打ちが見事な法霊神楽(下動画)、頭を噛まれると子どもが聡明になるとされる虎舞など、古式ゆかしい時代行列が繰り広げる圧巻のスペクタクル「八戸三社大祭」。

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 起源を295年前の享保年間まで遡る八戸三社大祭は、国指定重要無形民俗文化財に指定される全国各地の「山・鉾・屋台行事」32件の一つとして今年の秋にユネスコ無形文化遺産への登録が見込まれています。その3日目「お還り」と重なったその日。

 八戸ステイ2日目の朝は、八戸前沖サバを食そうと心に決めていました。みなと食堂から市営魚菜小売市場に事前確認に立ち寄ってから庄イタが向かった先は、JR八戸線鮫駅からほど近い蕪島(下画像)

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 昨年11月22日のみなと食堂への初訪問時は、蕪島の中心に建つ弁財天を祀る蕪嶋神社に立ち入ることができませんでした。それは不幸にも同年11月5日未明に発生した火災で蕪嶋神社の社殿がご神体ともども全焼してしまったがため。

kabushima2015.11.jpg【Photo】2015年11月22日に八戸を訪れた際の蕪島。同月5日未明に発生した火災で焼け落ちた蕪嶋神社の社殿が残る

 現在、社殿が建っていた場所は更地になっています(下画像)。八戸市民の篤い信仰を集める神社ゆえ、2年後の再建を目指し、官民を挙げた取り組みが行われています。海鳥の一大繁殖地を間近で目にすることができるのは極めて珍しいため、蕪島は天然記念物に指定されています。

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 繁殖期のピークには3万羽以上のウミネコが乱舞する蕪島も、雛鳥たちの巣立ちの季節を迎え、大多数が南へ移動したウミネコは数えるほどが留まる状況でした。そこで目撃したのが、ウミネコ親子の朝ごはん。

kabushima_2012.6.15.jpg【Photo】2012年6月。火災発生前の蕪嶋神社境内。抱卵中のウミネコで足の踏み場に注意を要する状態。孵化(うか)して間もない雛(下画像右側)は保護色の羽毛に覆われている

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 子育て中のウミネコにあっては、エサの横取りは日常茶飯事。縄張り意識が強いため、境界を越えた場合、相手がたとえ小さな雛鳥だろうと、長く鋭利な嘴(くちばし)で容赦なく攻撃します。厳しい生存競争を生き抜いて巣立つのは、孵化した雛の1/3程度なのだそう。

 蕪島からほど近く、イカの水揚げも多い鮫浦港から運んだのでしょうか。一匹のヤリイカをくわえた親鳥が、成鳥とさして変わらぬ大きさに育った茶褐色の羽毛に覆われた雛鳥がいる自らの縄張りに舞い戻ったところでした。高級品のヤリイカを狙うとは、さすがイカの町八戸のウミネコは口が肥えてるなぁ。と妙な感心をした庄イタ。

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 春先から初夏にかけてのピーク時と比べ、生存競争のライバルが少なくなったためか、口移しではなく地面にイカを差し出しました(上画像)。成長期の雛鳥は大食漢でもあります。待ってましたとばかりに雛鳥がイカにありつくのかと思いきや・・・。

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 雛の目の前でイカをたちまちにして一飲みにしたのは親鳥のほうでした(上画像)。意表を突かれた雛鳥は、鳴き声を上げながらエサをねだるかのように親鳥のもとにすり寄ってずっと離れませんが、目を合わせない親鳥はそれに応じる素振りを見せません(下画像)

 これは紛れもないウミネコが子別れの時期を迎えた証拠。甲斐甲斐しくエサを運び続けた親鳥は、巣立ちが近くなると雛にエサを与えなくなります。そうして突き放すことで我が子の独り立ちを促すのです。

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 成人年齢を18歳に変更する民法の改正案が来年の通常国会に提出される運びとなったこの夏、18歳に選挙権が引き下げられた初の参院選が実施されました。

 厳しい野生の掟を目の当たりにして、「立派な大人になるんだよ」と、親離れ間近となった雛鳥にエールを送ったのでした。

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みなと食堂
 住:青森県八戸市大字湊町字久保45-1
 Phone:0178-35-2295 *予約不可
 営:6:00~15:00 日曜定休 P有り

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投稿者 vam : 05:53 | カテゴリー : ごちそうさまでした/| カテゴリー : ・Pref.Aomori 青森

2016/07/31

吉岡宿はパラディーゾでござる!

映画「殿、利息でござる!」後日譚

 

Paradiso:パラディーゾ【イタリア語】楽園、天国、景勝の地

 今をさかのぼること250年前。時は江戸中期の1766年(明和3)から1773年(安永2)。世界に目を転ずれば、平等主義・人民主権などを掲げる啓蒙思想が欧州各地で広まりをみせていた時代。

 1769年、ジェノヴァ共和国からフランスに統治権が移行直後のコルシカ島で、のちに絶対君主制を市民が打破したフランス革命(1789)後の欧州を軍事力で席巻したナポレオン・ボナパルトが誕生。英国の植民地下にあったアメリカでは、独立宣言(1776)への布石となったボストン茶会事件(1773)が発生した頃。

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©2016「殿、利息でござる!」製作委員会 tono-gozaru.jp

 かたや極東ジパング。ところは仙台藩第7代藩主、伊達重村の治世下の陸奥国吉岡宿。財政難に陥った藩に対し、庶民が現在の価値にして3億円を貸し付け、幕末まで金利を地域で分配し続けたという実際にあった前代未聞の出来事を映画化した「殿、利息でござる!」を皆さまご覧になったでしょうか。

 5月7日に仙台先行公開されたこの作品。同14日の全国劇場公開以降、各地でロングランを続け、興行収入は7月末に13億を突破。10月5日(水)のブルーレイ・DVD発売に向けた予約も好調なのだそう。

 配役は、身を挺して宿場を救った穀田屋十三郎役が阿部サダヲ。前代未聞の奇策を発案した知恵者の茶師・菅原屋篤平治は瑛太が演じ、竹内結子が居酒屋の未亡人女将♥とき、両替商を兼ねる造り酒屋の実家・浅野屋と同じ造り酒屋の穀田屋へ養子に入った十三郎の父・先代の浅野屋甚内を山﨑努、母きよは草笛光子、家業を継いだ十三郎の弟・甚内は妻夫木聡。

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©2016「殿、利息でござる!」製作委員会 tono-gozaru.jp

 仙台藩主・伊達重村役として起用され、物語の大詰めでスクリーンに登場するや、客席から歓声やざわめきが起きるフィギアスケーター・羽生結弦さんの映画初出演ながら堂に入った演技も話題を呼びました。

 監督は中村義洋氏。仙台市在住の作家・伊坂幸太郎氏の小説「アヒルと鴨のコインロッカー」や「ゴールデンスランバー」、リンゴ農家の木村秋則さん役を阿部サダヲが演じた「奇跡のリンゴ」など東北ゆかりの作品を手掛けてきました。

mushi_no_giapponesi.jpg 吉岡宿は、仙台藩の財政援助がある直轄地ではなかったため、奥州街道の要衝として人馬を提供する伝馬役(てんまやく)の重い負担に苦しんでいました。そのため課役に耐えきれず、夜逃げや住人の離散が後を絶たない存亡の危機にあったのです。

 窮状を打開するため、とことん生活を切り詰め、さらには私財まで投げ打ち、足掛け8年をかけて用意した一千両(約3億円)を仙台藩に貸し付け、その利息100両を毎年分配することで吉岡宿を救った穀田屋十三郎(1720-1777)ら9人の篤志家らに光を当てた評伝「無私の日本人」(文春文庫)が映画の原作。著者は歴史家の磯田道史氏です。

【Photo】庶民に儒学の心を説いた中根東里、幕末の女流歌人・大田垣蓮月とともに〝いまどうしても記しておきたい〟という思いに駆られた磯田氏によって、平成の世に蘇った穀田屋十三郎。「無私の日本人」文庫版の装丁に描かれるのは、七ツ森の山並み。山のようにブレない先人の気概と生き方に心が動かされる一冊

settte-monti.jpg【Photo】奥羽山脈の一角となる標高1,500mの船形山(上画像右奥)は、「御所山」とこの山を呼ぶ山形と宮城との県境となる分水嶺。宮城側、南川ダム周辺には名前に岩を意味する「倉」の字が入った笹倉山など標高500~300m前後の小高い7つの連山があり、総称の「七ツ森」の名で親しまれている。写真提供:宮城県観光課

kuhonji-sekihi.jpg 仙台城下から北へ25kmほど。宮城県黒川郡大和町吉岡は、東北自動車道大和ICからほど近く、多くの車両が行き交うR4が旧宿場を迂回するように通っています。

 酒田湊まで続いていた出羽仙台街道と松島街道とが奥州街道と交差する吉岡宿は、江戸時代後期の1821年(文政4)と1879年(明治12)に発生した二度の大火に見舞われます。そのため、9名の篤志家が守った宿場町の面影をかろうじて留めるのは、上町・仲町周辺の旧奥州街道沿いのごく一部。

【Photo】九品寺の山門前に立つ宝暦7年(1757)建立の道標。南無地蔵菩薩と刻まれた左右には「右せんだいみち 左まつしまみち」という道案内が判読できる

 区割り以外に往時と変わらないのは、船形山を背に特徴的な山容を連ねる七ツ森の姿と、伊達家ゆかりの古刹、臨済宗「天皇寺」や、穀田屋を屋号とする高平家や菅原屋篤平治の菩提寺、浄土宗「九品寺」の山号「蓮台山」を掲げる山門前の苔むした石碑など(下画像)

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 九品寺の境内には、子宝に恵まれなかった菅原屋篤平治・なつ夫妻が眠る墓碑の脇に地元の有志が寄付を集め、2003年(平成15)に建立した「国恩記顕彰碑」(下画像)があります。

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 穀田屋十三郎は〝私がしたことを人前で語ってはならない。我が家が善行を施したことなど、ゆめゆめ思うな。何事も驕らず、高ぶらず、地道に暮らせ〟と家族に言い残し、念願が叶った4年後の1777年(安永6)、58歳でこの世を去りました。

 奥ゆかしい東北人ならではのエエ話やなァ(T-T。

 高平家には高さ20cmほどの裃と髷姿の十三郎の座像(下画像提供:穀田屋)を収めた「お堂っこ様」が伝わっており、新たな年を迎えるごと、家族そろって拝礼するのを習わしとしています。

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 磯田道史氏が「無私の日本人」を執筆する際、下敷きとなったのが、全6巻からなる「吉驛國恩記(よしおかこくおんき・国恩記)」。

 九品寺にほど近い曹洞宗「龍泉院」の住職・栄洲瑞芝(えいしゅうずいし)が、辛苦を乗り越えた9人の善行を後世に伝え、心ある者が精神を受け継ぐことを願って編纂した歴史書です。

 国恩記は、穀田屋十三郎ら9名が存命中だった1773年(安永2)から1781年(天明元年)まで8年がかりの聞き取りに基づいて記されました。9人の精神が末永く伝わるよう、漆箱や袱紗(ふくさ)で幾重にも包み、防虫対策の上、土用の時季に風通しをするなど、事細かに保管の仕方まで指示してあります。

shikishi-isoda.jpg【Photo】「無私の日本人」執筆取材のため、旧吉岡宿で穀田屋十三郎の子孫が営む酒販店「穀田屋」を訪れた磯田道史氏が、店頭で書き記した色紙。そこに選んだのは、穀田屋十三郎が最晩年に言い残した含蓄あるこの言葉。9名の功績を聞くに及んだ藩から下賜された報奨金、1名につき2両2分(浅野屋は3両3分)も、9人はすべて宿場のために分配した

 古文書から歴史を冷静に分析し、埋もれた史実を明らかにすることを常とする歴史学者磯田道史氏をして、公益のため尽力した穀田屋や浅野屋らの生きざまを記した国恩記に目を通していて、感涙を禁じえなかったといいます。

honjin-i.jpg 映画「殿、利息でござる!」宮城県先行公開に合わせ、尊い共助の心で旧吉岡宿上町にあった本陣跡に「吉岡宿本陣案内所(上画像・Phone:080-8236-2008 ・営:9:30~16:00 火曜定休/年末年始休 ※8月末まで無休)が開設されました。

 5月7日の開設以来、7月末時点でおよそ8,000名が訪れたという本陣案内所。常駐するスタッフの説明を聞きながら、展示される関係資料の理解を深められるほか、マップ(下画像)を片手に街並みを散策してはいかがでしょう。

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 吉岡宿の街並みのロケ地が、庄イタにとっては庭に等しい月山の麓スタジオセディック庄内オープンセットであることを忽ちに見抜いた映画には、茶畑のシーンが幾度か登場します。

 伊達藩が茶の栽培を奨励したこともあり、宅地化が進んだ現在では思いもつきませんが、富谷町明石・成田から、小野・宮床・吉田など大和町にかけての地域は、伊達藩における茶の一大産地でした。

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 優れた茶師であった菅原屋篤平治。茶を献上した京都九条家から〝春風の香ほりもここに千代かけて花の浪こす末の松山〟という和歌とともに授かった「春風」「薫香」「千世」など、5つの茶銘を螺鈿(らでん)で額装し、仙台藩ご用達の菅原屋の店頭を飾っていた看板(上画像)が、当時の宿場の雰囲気を今に伝えます。

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 映画の最後で紹介されている通り、250年の歳月が流れた現在、吉岡宿を救った9名の篤志家の子孫で唯一、旧宿場に現存するのが穀田屋(上画像)

 十三郎の時代は造り酒屋でしたが、現在は子孫の高平和典さんが酒販店を営んでおいでです。造り酒屋を起源とする穀田屋の店内には、磯田道史氏が訪れた際の〝一粒の花の種は ...〟の一節を記した色紙や映画ゆかりの品が展示されています。

 有機農法で栽培した宮城県産の酒造好適米「蔵の華」を用い、船形山系伏流水を仕込み水とし、加美町の山和(やまわ)酒造店に醸造を委託しているオリジナル特別純米酒「七ツ森の四季」(720mℓ・1,296円)を買い求めました。

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 藩主重村から直々に酒銘を授かった3つの酒「春風」「霜夜」「寒月」は、宿場を救う浄財一千両の1/3(約1億円)を負担したことで破産寸前となった浅野屋が売り出しました。藩主ゆかりの酒は、巷の評判を呼び、浅野屋は持ち直したといいます。

 甚内は、その後も私財を投じて橋を架け、道普請でも宿場に貢献。天明大飢饉(1782-1788)に際しては食料支援を行うなど救済に尽力。75歳まで9名の中では最も長生きをし、1802年(享和2)9月に亡くなった甚内の最期の願いは〝戒名は(位が高い)居士ではなく、先に逝った皆と同じ信士に〟というもの。

 かくして九品寺にある9名の法名碑には、誰よりも多額の寄進を寺に対して行った檀家総代の甚内に僧侶が用意した戒名「善誉院慈慶信士」ではなく「善誉慈慶信士」と刻まれています。いやはや...(T-T。

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 上町の本陣正面にあった浅野屋は、明治12年の大火後に廃業。跡地には現在「瀬戸医院」が建っています。浅野屋の廃業で途絶えた殿様ゆかりの酒が、映画公開を機に蘇りました。

 1952年(昭和27)、宮城県塩竃市で創業した「酒のやまや」傘下の大和蔵酒造が製造する大吟醸「殿の春風」(720mℓ・2,160円)は、町内の酒販店「馬場商店」「浅多商店」、酒のやまや各店またはJR仙台駅1階およびS-PAL地階の酒類販売店で。

 純米吟醸「殿の霜夜」(720mℓ・1,940円)、純米「殿の寒月」(720mℓ・1,620円)は、宮城県栗原市金成の「萩野酒造」が商品化。左党ならずとも羽生君ファンには見逃せないのでは? 

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 店を訪れた日曜日限定で穀田屋で扱っているのが、はす向かいの洋菓子店「梅香亭」が商品化したココア風味のクッキー「殿、利息ッキーでござる」(110円)。

 月~土は梅香亭でお買い求めのほど。何故なら、バナナ風味のパウンドケーキ「大和んバナナ」や「七ツ森盛りクッキー」など、おかしなお菓子と出合えますので(^0^;

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 大和んバナナと双璧をなすネーミングセンスを利息ッキーでも発揮した梅香亭や、吉岡宿本陣案内所正面の「とんかつ やぐら」がブームに乗り遅れてはならじと編み出した「殿、食事でござる 千円定食」(上画像)には思わず苦笑。

 苦心の末に庶民が用立てた千両を元手に支配者から金利を頂くことで存続した旧吉岡宿の衆の知恵者ぶり健在を見届け、吉岡宿から旧出羽仙台街道・R457を2里(8km)ほど北上、目指すは加美郡色麻町の自然食レストラン「RICEFIELDライスフィールド)」。

RICEFIELD2016.jpg【Photo】ライスフィールドという名の通り、店の前は田んぼ(上画像)。キュートなワンコが愛嬌を振りまく店内には心地よいBGMとゆったりした時間が流れる(下画像)

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RICEFIELD ライスフィールド・住:宮城県加美郡色麻町大下新町13−3 ・Phone:0229-65-3430 ・営:11:30~21:00 水曜・第二火曜日定休 <2011.8拙稿「ばんつぁん市 I'll be back.」参照>

ricefield-shop.jpg【Photo】無施肥・無農薬自然栽培によるササニシキ玄米ご飯と餡かけふっくら豆腐ハンバーグの定番セット(下画像:税込880円)ほか、カラダが喜ぶ大地の恵みを食することができる

hamburg-ricefield.jpg 今の季節の狙い目は「トマトとナスの冷製パスタ(下画像:ミニサラダ付き930円)。真夏の太陽を浴び、素材の力がみなぎる真っ赤に熟した露地トマトと茄子がゴロゴロとふんだんに入り、大葉の香りがアクセントとなる夏季限定の逸品です。庄イタが10年以上愛してやまないこのメニュー。

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 冷製に適した細目のロングパスタを使うようになった昨シーズンから、絶妙なアルデンテに食感がバージョンアップ。相性が良いひんやり夏野菜と和洋折衷の味付けが織りなす一体感もまた従来以上に向上しています。夏を元気に乗り切るパワーを充填できる一皿。美味しいですよ~。ぜひぜひ(^^。

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投稿者 vam : 16:23 | カテゴリー : Libro e Cinema, Arti 書籍と映画, 芸術/| カテゴリー : ・Pref.Miyagi 宮城

2016/07/19

この味、摘果されてこそ

辛味がすがすがしいメロン子の辛子漬け @ 庄内


 あすは檜(ヒノキ)になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだってそれであすなろうと言うのよ。

井上靖「あすなろ物語」(新潮文庫)より

 作家・井上靖の半自伝的小説「あすなろ物語」。第一章「深い深い雪の中で」には、親元を離れて血縁関係がない祖母・りょうと二人で中伊豆・天城の土蔵の中で暮らす13歳の少年・鮎太と、りょうの姪で19歳の冴子とのこんなやり取りが描かれます。

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【Photo】下北半島と津軽半島には、青森ヒバの約8割が密生する。霊場恐山へと向かう道すがらの冷水(ひやみず)峠。5月初旬でも山肌に残る雪と鬱蒼としたヒバの自然林が周囲に広がる冷水峠に湧き出す「恐山冷水」。862年(貞観4)の慈覚大師による開山以来、霊界との境界へと入る手水として、そして険しい道のりを越えて霊場詣でをする人々の喉を潤してきた

「翌檜(アスナロ)」はヒノキ科の常緑樹。「青森ヒバ」の別名で知られる北方系の変種「ヒノキアスナロ」は、下北半島や津軽半島に広く分布しており、青森県の県木となっています。

 あすなろ物語において、天城温泉に逗留していた東京の大学生・加島との叶わぬ恋を精算するため、心中して果てた冴子が鮎太に語るのは、抗うことができない人の運命の悲哀。

 森羅万象、物事に始まりがあれば、いつか訪れる終わりは不可避なもの。生きとし生けるものには、すべからく遅かれ早かれ逃れることができない生命の終焉が待ち受けています。

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【Photo】「アムさんメロン」〈2016.6拙稿「フェロモンメロン」参照〉が先陣を切る「つがりあんメロン」5品種のうち、7月末からお盆前が出荷の最盛期となる主力ネット系品種「アーバンデリシャス」(奥)。トンネルの外まで伸びたツタの先端部に遅咲きした花のため摘まれる運命にあるメロンの幼果(手前)・ロケ地:青森県つがる市木造町出来島メロンロード

 それは動物だけでなく、植物とて同じ。芽が出て花が咲き、受粉して実を結び、やがて種が母なる大地と結ばれることで、次なる世代へといのちの循環が繋がってゆきます。

 そうした起承転結、いわば生命の摂理を全うできない存在が、ヒトが美味しく口にするために摘まれる果実や野菜です。

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【Photo】庄内砂丘メロンの緑肉系代表品種が「アンデスメロン」・ロケ地:山形県酒田市浜中(上画像)。直径10cmにも満たない幼果の段階で摘まれたアンデスメロンのメロン子(下画像)。熟すと表皮を覆う網目(ネット)が入っておらず、最近ではあまり見かけなくなった「プリンスメロン」のような外見。

 受粉前の蕾や花のまま人の手で摘まれるのが、リンゴ、梨、柿、桃など。〈2008.6拙稿「♪ リンゴの花びらが~ リンゴの花びらドルチェは、はじらう乙女 francesca の味」,2009.4拙稿「『芽出し』と『芽摘み』の春」参照〉

 そして幼果のうちに間引きされるのが、剪定されてから摘房されるブドウ、青ミカンとして流通する柑橘、そして今回取り上げる摘果メロン「小メロン」です。

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 風味を良くするため、メロン1株に多くても4玉以上を残さない庄内では、ただ廃棄するのではなく漬物加工用となる摘果したメロンを「メロン子」と呼びます。作物に対する愛情を感じる呼称ですよね。

 トロ~リ、ジューシーな果肉の完熟メロンとは異なり、メロン子の魅力は、すがすがしい青いウリの風味とパリっとした食感。

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【Photo】庄内砂丘メロンの主産地、酒田市浜中。庄内空港と日本海沿岸東北自動車道のすぐ近く。冬の強烈な季節風による飛び砂被害を防ぐクロマツの人工防砂林に守られるように露地トンネル栽培される砂丘メロンの畑

 夏季にオホーツク海高気圧の勢力が増すと、東北地方の太平洋側に長雨と冷涼な夏の元凶となる北東の季節風「東風(やませ)」が吹き付けます。その影響を受けない日本海側の豊富な日照量と、昼夜の寒暖差が大きく水はけのよい庄内砂丘は、メロン栽培にうってつけ。

 さらに庄内きっての酒どころ鶴岡市大山〈2012.2拙稿「大山新酒・酒蔵まつりpart.1 および part.2」参照〉が南隣にあり、赤川河口の北には銘酒「初孫」蔵元「東北銘醸」があることからも分かるように、砂丘一帯は灌漑設備を必要としないほどの良質な地下水脈に恵まれています。南北35kmに及ぶ庄内砂丘の規模は日本最大。全国で4番目の生産量を支えるメロンの一大産地です。

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【Photo】庄内空港ビルを出て日本海沿岸道方向に右折してすぐに出迎えてくれる砂丘メロンのオブジェ。多彩な食材に恵まれた食の都庄内には、このほか庄内柿・あつみ豚・刈屋梨・温海蕪といった産物の巨大オブジェがロードサイド各所に設置されている

 庄内・津軽・茨城などメロンの主要産地以外では馴染みが薄いかもしれない摘果メロンには、ネット系品種に見られる登熟過程で果皮を覆ってゆく網目がありません。

 摘果されたメロンは、そのまま廃棄されるだけでなく、庄内地方では漬物用として出荷されるケースも少なくありません。主な食べ方は、試験前に庄イタが得意だった一夜漬け(^^; 、皆さまが暑さのあまりそうならぬことをお祈りするビール漬けや、冷酒にピッタリの「竹の露」や「上喜元」など地元の酒粕で漬け込んだ粕漬けなど。

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【Photo】国内消費のほぼ全量をカナダからの輸入に依存しているオリエンタルマスタード(和がらし)。その原料となるのがカラシ菜。独自に編み出した輪作体系による資源低投入型有機農業を実践する鶴岡市三和「月山パイロットファーム」では、漬物の加工用に自家採種によるカラシ菜の栽培を行っている。5月半ば。残雪の月山を背景に人の背丈よりも高いカラシ菜の花が咲き揃う <画像提供:東海林 晴哉 氏>

 摘果メロンのほか、キュウリや丸ナスなどに関して庄内ならではの食べ方が「辛子漬け」です。それに欠かせないのが、山形県東田川郡庄内町跡(あと)地区や鶴岡市「月山パイロットファーム」で自家採種による栽培が行われているアブラナ科の「カラシ菜」。

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【Photo】月山パイロットファームでは最も手が掛かる和がらしの収穫~加工までを全て人の手で行う。6月末。蒸し暑さと土埃との闘いでもある刈り取り・実落とし作業をしたカラシ菜の種子は、大きさ1mm~2mmほど。種子を脱穀した後、梅雨の晴れ間を見計らって天日干しを行うことで、祖先から受け継いだ和がらし本来の風味を味わうことができる <画像提供:東海林 晴哉 氏>

 その種子を脱穀後に天日干しして作られるのが「和がらし」(下画像)です。ピリっとした和辛子の風味が爽やかな「メロン子の辛子漬け」は、ご飯や冷たい麺類は勿論、ビールや冷酒との相性も抜群。

 仙台朝市・今庄青果本店でも6月~7月にかけては入手可能な庄内産のメロン子を使った辛子漬けの代表的なレシピをご紹介しましょう。

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【材料】
 メロン子 1kg
 塩 50g
 砂糖 100g
 和がらし粉 50g
 酒または焼酎 100cc

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【作り方】

・メロン子を縦に4~8等分にカットする(小さいうちは種子部分はそのままでもOK)

・あらかじめよく混ぜ合わせた塩・砂糖・和がらし粉をメロン子にからませ、日本酒または焼酎を加える

・ビニール袋に入れて2日ほど冷蔵庫に置くと美味しい漬物の完成。

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 それではボナペティ~ト♥
 
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投稿者 vam : 07:13 | カテゴリー : ごちそうさまでした/| カテゴリー : ・Pref.Aomori 青森/| カテゴリー : ・Pref.Yamagata 山形

2016/07/02

召しませ、ジュンサイ²タリアン

つるん、プルン。ジュンサイの里@秋田県三種町


 4月下旬から9月初旬にかけて収穫期を迎えるのが、天然の透明なジュレに包まれたハゴロモモ科(スイレン科)の水生植物「ジュンサイ(下画像)です。

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 生ジュンサイの収穫が最盛期となるのが6月中旬から7月半ばの頃。第226代ローマ教皇グレゴリウス13世が16世紀に制定し、世界中に広まったグレゴリオ暦には6月31日(語呂合わせで〝ジュンサイ=JUNE 31)〟は存在しないため、半ば強引に1日振り替えた7月1日が「ジュンサイの日」だってご存知でしたか?

 1957年(昭和32)に着工した干拓事業により、男鹿半島の付け根に琵琶湖に次ぐ大きさで広がっていた汽水湖「八郎潟」に、JR山手線の内側に匹敵する面積の耕作地が出現。秋田県南秋田郡大潟村が誕生しました。

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 大潟村の外周に残る八郎湖の北東側に位置する秋田県山本郡旧琴丘町・旧山本町・旧八竜町の3町が2006年(平成18)に合併して誕生した三種町(みたねちょう)は、ジュンサイ生産量が国内生産の8割以上を占めるダントツの日本一。

 その生育には、白神山地や出羽丘陵を水源とする池沼と根を張る適度な水深(50~80cm)が欠かせません。水田からの転用を含め、町内には200を越すジュンサイ沼があり、小舟を棒で操りながら、一株ごと手摘みで収穫を行う生産者の姿が田園風景に溶け込んでいます。

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【Photo】水と緑豊かな三種町森岳地区。幼葉の大きさが5.6cmを超えると商品価値が落ちるため、ジュンサイの収穫は時間との勝負。作業は早朝から夕刻まで続く。ふらりと立ち寄ってお話を伺った生産者の髙松隆司さんのジュンサイ沼。6月27日にNHK総合TVで放送され、7月15日に再放送予定の「鶴瓶の家族に乾杯」で、ジュンサイ好きだという俳優の綾野剛さんが三種町を訪れた中で、髙松さんが奥様と登場するよもやのデジャヴ(下画像)が発生。これもこのところ冴えわたる庄イタの神通力のなせるスゴ業か!?

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 食用とするのは、楕円形をした幼葉の若芽と葉柄のごく小さな部分。幼葉の大きさが3cm以内・茎が1cm以内の小ぶりなものが最良とされ、7月初旬に最盛期を迎えるゼリー状の粘膜が多い「一番芽」は、とりわけ珍重されます。

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 ジュンサイは組成の9割を水分が占めており、水のキレイさは生育にとっての必須条件。生活排水や除草剤の混入による水質悪化により、ジュンサイは数を減らしています。

 生産者の高齢化と後継者不足もあいまって、1990年代初頭と比べ産出量が1/3に減少するなど、希少性は高まるばかり。地物が比較的安価に入手可能な地元以外、安価な中国産に比べて希少価値が高い国産のジュンサイは、今や高級食材の仲間入りをしています。

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【Photo】5月中旬から8月中旬まで体験可能な三種町のジュンサイ摘みは、今シーズンから同町鹿渡「道の駅ことおかサンバリオ」内の「観光情報センター」で受け付ける(Phone:0185-88-8819 / 受付 9:00~17:00)。山の養分を含んだ伏流水を引いた申し分のない条件を備えた志戸田友彦さんの圃場「里山志戸田園」(予約制 / 9:00~16:00)

 味に癖がなく、プルプル&つるんとした食感が独特なジュンサイは、下茹でした上で冷やして酢の物やお吸い物の具として頂くのが一般的。

 手延べによるツルツル&シコシコした喉越しの「稲庭うどん」や、半殺しにした「あきたこまち」を手で丸めた「だまこもち」(= 球体きりたんぽ)と「比内地鶏」を鍋仕立てにした「森岳(もりたけ)じゅんさい鍋」の具材としても見逃せません。

 赤飯、納豆、茶わん蒸しに砂糖を入れる甘口好みの秋田県民は、ジュンサイを黒蜜で味付けし、和菓子感覚で食することも。

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【Photo】ジュンサイ摘み採り体験料金は、大人(中学生以上) 1,800円、子ども(小学生)1,000円(2016年7月現在)。水面を覆う葉をかき分けながらの摘み採り体験は、年齢性別に関係なく夢中になること請け合い。採ったジュンサイは持ち帰ることができる。雨具ほか紫外線と暑さ対策、そして水分補給をお忘れなく

 庄内系の血が騒ぐ孟宗・岩ガキ・寒ダラ・だだちゃ豆など、季節ものは旬を外さないのが鉄則。涼を呼ぶ食感が魅力のジュンサイもまた同様です。

 一度は訪れてみたかった三種町での生ジュンサイ摘みを初めて体験したのが、一昨年の8月18日(上画像)。もはやシーズン終盤ではありましたが、それでも2時間で1kg以上の収穫がありました(下画像)

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 その折に地場の素材を取り入れたイタリア料理をコースで食べさせてくれた「農園りすとらんて herberry ハーベリー」再訪を主目的に、ベストシーズンに遅れをとってはならじと、2年ぶりとなる三種町を訪れたのが、週末の都合がついた6月上旬。

 昼にマリナーラを食した真のナポリピッツァ協会認定店「コジコジ 秋田山王店」と、月刊専門料理6月号(柴田書店刊)で特集された全国の厳選イタリア料理店50店で、唯一秋田から登場した大仙市「リストランテ giueme ジュエーメ」を翌日訪れるのも秋田遠征の動機となりました。

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【Photo】和食のイメージが強いジュンサイに潮の香りのアオサを加え、コク出しにアサリのブロードをベースにスープ仕立てにしたherberry のスペチャリテ「森岳産生ジュンサイとアオサのズッパ(2014 ver)」は、いわば水を味わう料理

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【Photo】herberryの客席からは大きなガラス窓越しの外の眺めが目を楽しませてくれる。驟雨に洗われた白い花を咲かせたニセアカシアの木々に囲まれた庭園。料理に使うハーブやブルーベリー、ブドウ、花々などが彩りを添える景色もご馳走のうち(上画像)

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【Photo】5月から11月の搾乳期に数量限定で登場する「ヤギのプリン」。2014年の初訪店時は、Richard Ginori の伝統柄フィレンツェのプレートで登場。繁忙時を除き、好みのWEDGWOOD のカップ&ソーサーを選んで心豊かに食後の一杯を楽しめる

 herberryでは、目の前の農園で栽培する野菜・ハーブ・ベリー類のほか、ニワトリとヤギを飼育。卵と授乳期にはヤギ乳も自家調達します。この春からは巣箱を用意して日本ミツバチを飼育。ハニーハントにも挑戦中。

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【Photo】厨房を預かる秋田市出身の山本智さん・津軽出身で接客とドルチェ担当の眞紀子さん夫妻。退職後に横浜から三種町に移住。2011年(平成23)7月にオープンした店舗兼住宅の広~い敷地には〝自産店消〟を掲げる夫妻が飼育する「メイ」と「さつき」ファミリーのヤギ小屋も建つ(下画像)。ヤギは自家製チーズやドルチェの材料となるミルクだけでなく、畑で使う堆肥ももたらしてくれる

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 旬を迎えた産地ならではの〝ジュンサイ²タリアン〟は今回も健在でしたが、収穫のピークには少し早かったよう。狙い目だったジュンサイのフルコースは、次回にお預けとなりました。

 ★教訓:急いては事を仕損じる(π_π)。

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【Photo】リチャード・ジノリのイタリアンフルーツに盛り付けされた2014年盛夏のアンティパスト。(上から時計回りに)白キスのエスカベーシュ、サーモンオレンジマリネのクリームチーズ、八森港 舌平目のチーズパン粉ソテー、三種町さくらだ畜産 和牛タリアータ 旬のブルーベリーソース風味、炙り鴨のオレンジソース、アスパラガスのさっぱりディップ風味、八竜砂丘メロンとパルマハム

 会社務めをしていた当時、海外に出張した折に買い揃えたという名窯「リチャード・ジノリ」のプレートが次々と登場するherberry で頂いたスタンダードコース(5,400円)の内容をご紹介しましょう。

・インサラータ:
 八峰町八森港(はっぽうちょうはちもりこう)で揚がったマゾイ(キツネメバル)のカルパッチョ ピンクペッパーの香り 新たまねぎのサラダ仕立て
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・スープ:
 三種町森岳 生ジュンサイとアオサのズッパ(2016 ver
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・アンティパスト・ミスト:
 男鹿沖 ミズダコの柔らか煮・セロリのさっぱりドレッシング、
 かわい農場 中ヨークシャー交雑豚ロースのロースト・セージバター風味、
 アスパラと海老のキッシュ
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・お口直し:
 五城目 ラズベリーと白ワインのコンポート・ゼリー寄せ
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・プリモピアット:
 桜田畜産 和牛テールの煮込みリガトーニ・リガーテ
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・セコンドピアット:
 トキシラズのムニエル・ジュンサイと白いんげんのジェノヴェーゼ風味、
 カポナータ
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・ドルチェ & ハーブティー
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 この日は最寄の宿泊施設が改装中で、車で20分以上離れた森岳温泉に投宿しました。よって前世イタリア人には選択の余地がないフランス産ワインだけが記載されたワインリストは一瞥するも、庄イタの夕食には付き物のヴィーノではなくサン・ペレグリーノの炭酸水で通したのでした。

 コースの締めは、好みのウエッジウッドのカップ&ソーサーをチョイスするコーヒー or 紅茶 or ハーブティー。別腹発動のドルチェが「ジュンサイの和風ティラミス」(下画像)

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 ジュンサイをトッピングし、きな粉を盛ったマスカルポーネと黒蜜風味のスポンジ生地との間には、ジュンサイが挟まっています。黒蜜&きな粉の相性の良さは無論のこと、とろ~り、ぷるん、つるん、プチンと、口の中でめまぐるしく入れ替わる食感の変化が、なんとも楽しい一品でした。

 希望コースを伝える予約の際、食材の希望やアレルギーの有無などをお伝えした上で伺うのが得策。車で10分とかからない近場には、先月リニューアルしたばかりの素泊可能な温泉宿泊施設「砂丘温泉 ゆめろん」があります。アグリツーリズモやオーベルジュ感覚で、ゆったりと食事を楽しめるお店です。

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herberry-casa.jpg農園りすとらんて herberry ハーベリー
 住:秋田県山本郡三種町大口西山根170
 Phone:0185-85-3232
 営:・Pranzo / Cafe: 11:00~16:00 
    ※14:00以降のカフェ利用を除き要予約
   ・Cena :18:30~ ※2日前まで要予約: 3,240円・5,400円・8,640円~
    月曜・火曜定休(祝日は営業) Pあり 禁煙
 URL http://www.herberry.biz/

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投稿者 vam : 00:21 | カテゴリー : Cuccina Italiana/| カテゴリー : ・Pref.Akita 秋田

2016/06/27

リング、らせん、ループ。

連鎖する言霊現象2016

 作家・鈴木光司氏のホラー小説3部作のタイトルを列記した今回。「言霊」は心霊現象ではありませんが、立て続けに3度目の美味しい言霊現象が起きました。

 前稿「念ずれば すなわち是 通ず(≒ 届く)」をアップした日曜日。朝食後に言霊フルーツ第2弾で頂いた佐藤錦の残りを食べ尽くし、カフェラッテでまったりしているところにインターフォンのチャイムが鳴りました。

 モニター画面には、お隣りの奥様が玄関先に佇んでいる姿が映し出されています。「どうぞ召し上がって下さい。(^^)」とお裾分けに頂いたのが、ぷるんとした赤い輝きを放つコレ。

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 山形県寒河江市と並んでサクランボ栽培が盛んなのが、佐藤錦発祥の地で仙台市と隣り合う東根市。観光サクランボ園に向かう車で混み合うR48で県境を越え、土曜日にご家族4人で東根の果樹園に行っていらしたそう。

 大きさが25mm以上の2L~3Lサイズはあろうかという真っ赤に色づいた果実を食してみると、酸味と甘味のバランスが絶妙な佐藤錦とは風味が異なります。酸味が弱いことから、入れ替わりでこれから旬を迎える「紅秀峰」と思われます。

 二度あることは三度ある。言霊現象は連鎖するようです。「♪ Oooh きっと来る~」という映画「貞子」のテーマ曲「feels like "HEAVEN" by HⅡH」が、今も頭の中を駆け巡っております。

 昨日に続いて「どうもごちそうさまでした m(_ _)m」

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投稿者 vam : 00:37 | カテゴリー : ごちそうさまでした


「庄内系イタリア人」こと
木村 浩人

外見と所持するパスポートの国籍は日本人。なれど脳細胞はイタリア人。≫詳細

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