あるもの探しの旅

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宮城ブランド発信フェスティバル

「地域ブランド」創出と発信に向けて

 昨年11月22日(木)に仙台市青葉区の勝山館を会場に「宮城ブランド発信フェスティバル」(主催:河北新報社)が開催されました。この催しは、今年10月から12月にかけて展開される「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」を控え、宮城の魅力創出と発信力強化のヒントを探る目的で開催したものです。当日は、宮城県内の行政・農林水産や商工関係諸団体・地域産品製造業・飲食業・観光関連業などの分野から150名の方々にご参加いただきました。

kaijyou.jpg【PHOTO】行政・諸団体・メーカー・農家・飲食店・ブロガーなど、さまざまな顔ぶれが揃った宮城ブランド発信フェスティバル会場。テーブルごとの自己プレゼンテーションを終えたのち、和気藹々と名刺交換タイム 

ここ数年、一部の大都市圏と地方の格差は広がるばかりです。地域おこしの先駆けとされる「一村一品運動」をかつて提唱したのは、大分県の平松知事でした。関サバ・関アジ・どんこ(シイタケ)・麦焼酎などはこの取り組みから生まれた地域ブランドのスターとして成長しました。平松知事の提唱からすでに四半世紀。300品目以上に及ぶ大分県内の地域ブランド品の年間生産高は1,400億円といわれています。地元を「どげんかせんといかん」という東国原宮崎県知事のトップセールスによる巧みなメディア戦略が世間の注目を集めたのは記憶に新しいところ。これは地域ブランドの魅力を発掘する眼力と発信力を持つことの重要性が、再認識された動きと捉えることができます。地方の生き残りをかけて激化する地域間競争のなか、地元に活力を与える "地域ブランド" が今求められているのです。

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【PHOTO】パネリストお二人の経験に基づく示唆に富んだ提言がなされたトークセミナー「宮城ブランドの作り方」。コーディネーターはワタクシ庄内系イタリア人。"庄内系が宮城ブランドじゃミスキャストじゃん! " と自問自答しつつ、セミナーはいかなる展開をみせたか。詳しくは載録紙面で

 私が前世を過ごしたイタリアは、近世まで都市国家が群雄割拠する集合体でした。そのため、各地方の風土を色濃く反映した特色ある産品や文化遺産が今もイタリア全土に数多く残っています。イタリア人たちは誇りを込めて地元の素晴らしさを語ります。いわば地方が元気な地域ブランドの宝庫と言ってよいでしょう。ひるがえって現世で生を受けた宮城はどうか。全国区レベルで見たとき、"これが宮城ブランドだ! " といえるものがどれだけあるでしょう? 地域資源をいかに活かせば、原石は輝きを放つ宝石へと変わるのか? この問いかけから今回の催しはスタートしました。

 開催に先立ち、おのが姿を客観的に把握するため、「宮城ブランド」に関する現状認識を探る事前アンケートを実施しました。その結果をご紹介すると-

Q1:宮城ブランドとして連想するものは?
A:ササニシキ・ひとめぼれなどの宮城米 / 農産物・水産物などの一次産品の食材 / 牛タン / 食材王国みやぎ / 笹かまぼこ / ずんだ / 冷やし中華 / 萩の月 / 仙台 / 杜の都 / 伊達政宗 / 松島 / 三陸 / 光のページェント
Q2:そのキーワードが浮かんだ理由は?
A:(抜粋)
  • 米どころのイメージ。以前、県外にいた頃「宮城のコメはうまい」と刷り込まれた
  • 日本の食糧基地。長い時間をかけてブランド構築された良質な農林水産物
  • 農林水産物を用いた加工製品が豊富。食は生活の基本。常に身近かなもの
  • サンマ水揚げ日本一の気仙沼、寿司の町 塩釜。牡蠣・ホヤ・フカヒレなど海の幸
  • 食に限らず「素材」の良さ。一方で活かし方、活かせる人が決定的に不足している
  • 「食材王国みやぎ」。県産食材ブランド化の動きがあるが、流通現場の実際は?
  • 「杜の都」仙台が宮城全体のイメージ

Q3:宮城ブランドの発信力を100点満点で評価すると、現状は何点?
 A:平均51点 (最高100点・最低10点)

Q4:その点数をつけた理由は?
 A:◇51点以上の方(抜粋)
  • 皆それぞれに頑張っているが、打ち出しの弱さと強力なリーダーシップが欠けている
  • 牛タン・笹かまぼこなど、多種多様だが、ポイントが分散している
  • 食に関してはまあまあだが、他には思い浮かばない。全国区におけるイメージの弱さ
  • 対外的に情報の発信量が少なく、幅も狭い。生産者視点での情報発信があってもよい
  ◇50点以下の方(抜粋)
  • よそでは「宮城」ではピンとこない。「仙台」ならば通じる。全国ブランドは笹かまぐらい
  • 原材料が非地場産...牛タン:米国・豪州/笹かま:外洋の白身魚/ずんだ:ほぼ輸入品
  • 素材の良さを充分伝えきれていない。物作りだけで、流通・販売に対応できていない
  • 作り手側・発信側の熱意や危機意識を感じない
  • 知名度のある「仙台」と「それ以外」という感じ

kichoukouen-1.jpg 【PHOTO】町づくりにかける熱い情熱は郷土村上を愛すればこそ。「味匠 喜っ川」吉川 真嗣 専務の基調講演「新潟村上の鮭料理とまちづくり、そして地域ブランドづくり」

 この結果から、素材には恵まれているものの、米以外には全国区ブランドが少なく、いまひとつ顔が見えない宮城の現状が見て取れるのではないでしょうか。そこで地域資源を活かして地元活性化に結びつけた事例として、新潟県村上市の取り組みをお知らせしたいと私は考えました。鮭のまち村上については、当「あるもん探しの旅」で既にご紹介した通りです【Link to back number '07.11/18 '07.11/21 】。鮭と町屋・雛人形・屏風など、地元にあるものに光を当て、城下町の落ち着いた町並みを舞台にしたイベントで多くの人々を呼び寄せることに成功した村上の町づくり。その仕掛け人「味匠 喜っ川」の吉川 真嗣 専務に「新潟村上の鮭料理とまちづくり、そして地域ブランドづくり」と題する基調講演を頂きました。1 時間におよぶ講演の中で語られたのは、戦後一度は廃(すた)れかけた地域の伝統食「鮭料理」の復活にかけた真嗣氏の父・哲鮭氏の気概と継続することの大切さ。さらに当初は誰も価値を認めなかった町屋造りの商家や雛人形、城下町らしい黒塀の家並みなどに光を当てた真嗣氏の取り組みでした。喜っ川 伝統の「塩引き鮭」と真嗣氏が現代的な感覚を盛り込んで生み出した新製品「鮭の生ハム風味」を試食しながら、たった一人で行動を起こした吉川氏の「一歩前に出る勇気を持つこと」という言葉に背中を押された方が多かったように見受けました。

 さまざまな業種の方たちが一堂に会したこの集い。テーブルごとに各自60秒の持ち時間による自己プロフィール紹介をして頂きました。主催者としては、このフェスティバルが新たな人的ネットワーク構築のきっかけになれば、という思いがありました。そのため、なるべく多くの方と名刺交換をしていただけるよう、テーブル対抗で集めた名刺の枚数を競うアトラクションも実施しました。初対面同士で初めは硬かった各テーブルの雰囲気が和んだところで、第二部のトークセミナーへと移行、そこからは自作自演でコーディネーター役を私が務めました。「肩のこらない雰囲気で進めよう」という狙いから、旬の宮城県産食材を使ったお料理を召し上がって頂きながら進行したのですが、夜の集いということで、アルコールをお出ししたのが裏目に出ました。会場が一気に盛り上がった反面、どうも肝心のセミナーの内容が聞き取りにくかったようです。目の前のテーブルで場を盛り上げようとセミナーそっちのけで盛り上がる我が上司。これも宴席慣れした営業の悲しい性(サガ)とはいえ、主催者としては反省しております。m(_ _)m



miwasan.jpgooshidasan.jpg【PHOTO】宮城の地域ブランド開発と発信に向けたヒントを語る ㈱FMS綜合研究所 代表取締役 三輪宏子 氏(左) とブレイントラスト アンド カンパニー㈱代表取締役 大志田 典明 氏(右)



このトークセミナー「宮城ブランドの作り方」には、お二人のパネリストにご登場願いました。マーケティング・コンサルタントとして、東北地域の中小企業支援と店舗・ブランド開発に取り組んでおられるブレイントラスト アンド カンパニー㈱代表取締役社長 大志田 典明 氏と、宮城県などが出資し「食材王国みやぎ」の商品・流通開発を手がける㈱FMS綜合研究所 代表取締役社長 三輪 宏子 氏です。三輪氏が地元の人間が地場産品の良さに気付き、魅力を対外的に発信することの重要さを説く一方、大志田氏は伝統的な産品に時代のニーズに即応した付加価値をつけてキチンと魅力を発信する必要性をokumatsushimadisera.jpgアピール。ひとつの地域ブランドを生み出すには、生産者や加工業者・パッケージデザイン・流通・情報発信者など、さまざまな立場の人たちが横の連携を深めてこそ、対外的なブランド力が強化するとも指摘しました。三輪氏が手掛けたブランド「宵の奥松島」は、日頃は接点のない塩釜・石巻・東松島地域の農家や加工業者らがひとつのブランド作りという共通の目標に向かって取り組んだ成果なのです。

【PHOTO】こだわりの宮城県産食材を統一ブランドで製品化した「宵の奥松島」。商品開発に関わった加工業者やササニシキ麺を店で提供する飲食店オーナーが壇上に招かれ、「地元の人たちにこそまず食べて欲しい」と紹介された

 当日の模様は同年12月20日(木)付 河北新報の載録紙面でお伝えしました。年末年始の繁忙期を挟んだために、当「あるもん探しの旅」で当日の模様をご紹介できるまでに二ヶ月もの時間が経過してしまいました。紙面を見逃した方にもご覧願いたい内容ですので、改めて載録紙面をここにアップします。

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