あるもの探しの旅

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寒中に寒鱈で乾杯

庄内の美味を堪能する会 《前編》

gassanntunnel.jpg【Photo】厳冬期の月山道路。冬ならではの庄内の美味と巡り合うためには、この難所を越えなくてはならない

 去る1月20日(日)に「庄内の美味を堪能する会」が催されました。このツアーの提唱者は、仙台のお弁当製造企業「㈱こばやし」の小林 蒼生社長です。仙台の企業経営者やブランチの長の方々に加え、当社の一力 雅彦社長も参加して行われました。小林社長から行程のプロデュースを仰せつかった私は、"庄内系"の名にかけて内容を吟味しました。ご夫妻で参加された5組を含む総勢21名が参加したこの旅行会、わが社が提唱する仙山圏交流の広域拡大版ともいえる展開となったのです。

tatsutaage.jpg【Photo】九兵衛旅館で頂いた「寒鱈の竜田揚げ」。思わず庄内弁で「んめのー(=おいしいなぁ)」

 小林社長は、職業柄、全国の美味しいものを食べ歩いておられます。これまで社長とは幾度となく庄内にご一緒しました。社長の主目的は、鶴岡のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」で食事をすること。「あんたが一緒だと店の扱いが違うから」(⇒そんなことはない...)と、いつも私の同行を求めるのです。時間が許す限り、四季折々に多彩な食材が揃う庄内の産直施設や生産の現場へも私がご案内するので、実益を兼ねてという側面もあるのでしょう。やがて社長は、すっかり庄内の魅力にハマってしまいました。お付き合いの幅が広い社長は、これまでも食に関心が高いお仲間や取引先に声を掛けられ、私がガイド役となる5~6人による庄内ツアーを何度も実施してきました。私は私で、別途お付き合いのある仙台や東京圏から訪れた料飲店関係者を庄内にご案内したことも数回あります。そうした中から、プロのお眼鏡に叶う質の高い庄内産食材が仙台や首都圏の飲食店で使われるケースが生まれています。命を繋ぐ安全で美味しい食材を提供してくれる庄内の生産者。彼らの真摯なお仕事ぶりを見るにつけ、私も自信をもって食材をご紹介できるのです。新たな販路を紹介できれば、ささやかなお返しにもなるので、一石二鳥といったところでしょう。

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【Photo】九兵衛旅館の「鱈の子ごはん」。付け合せは胡麻豆腐・フキの酢味噌和え・ひろっこ(アサツキ)のおひたしの三点。漬物は温海カブの甘酢漬けと青菜漬け

 朝8時30分に大型バスで仙台を出発したこのツアーのテーマは「寒鱈を食べ尽くす」。まず目指すは鶴岡 湯田川温泉の「九兵衛旅館」です。参加メンバーのお一人、仙台秋保温泉の名旅館「佐勘」の佐藤 勘三郎社長から、後輩にあたる先方の大滝 研一郎専務に「美味しいものを日頃召し上がっておいでの方たちなので、量は少なめで良いものを」と昼食の手配をかけて頂いていました。この日は例年2万人の人出で賑わう「鶴岡 日本海寒鱈まつり」の開催日に重なったため、寒鱈の調達に苦労されたようです。到着後、湯田川の肌触りが柔らかな硫酸塩泉のお湯をお楽しみ頂いた後、サントリー㈱東北支社 西宮 佑二支社長のご発声で乾杯。そこへ旬の寒鱈を使った料理が運ばれてきました。一皿目は「寒鱈の竜田揚げ」。脂が乗った寒鱈の白身をキツネ色に揚げたものです。ジューシーな白身の旨みがカラっと揚がった衣の香ばしさと共に口一杯に広がります。これはビールとの相性がピッタリ。地元では「ひろっこ」ともいうアサツキのおひたしや温海カブの甘酢漬けkuheikanndarajiru.jpgといった庄内の味覚を、真鱈の卵を醤油と味醂・酒で漬けた鱈の子ごはんと共に頂きました。これだけは外さないでとお願いしていた寒鱈汁【Link to back number】は、味噌に酒粕がほのかに香り、長ネギや半月切りにしたダイコンと共にガラもしっかり入ったもの。旅館の寒鱈汁ということで上品な味付けを予想していましたが、良い意味で予想を裏切られて皆さん大満足の様子でした。
【Photo】九兵衛旅館の「寒鱈汁」

 九兵衛旅館の女将 大滝 澄子さんは、作家・藤沢 周平(1927~1997)が山形師範学校(現・山形大学)卒業後の1949年4月、当時の湯田川村立 湯田川中学校に教師・小菅 留治(藤沢 周平の本名)として着任した際の教え子でした。小菅教諭は結核を患ったため、わずか2年で教壇をyuzusamejinjya.jpg 去ることになりますが、療養後に業界紙記者を経て藤沢 周平として文壇デビューを果たした後も教え子たちとの交流は続き、九兵衛旅館にたびたび逗留したといいます。九兵衛旅館には、藤沢 周平が終生続けた女将との交流を窺わせる手紙などが常時展示されています。映画「たそがれ清兵衛」で宮沢りえ演じる朋江が清兵衛の娘たちと村祭りで演じられるひょっとこ神楽に興じる場面のロケが行われた「由豆佐売神社(ゆずさめじんじゃ)」は温泉街から石畳の小路を歩いてすぐ。雪化粧した杉並木の階段の先にある社殿へと詣で、名匠 山田 洋二監督が描いた心豊かな藤沢文学の世界に浸ったのでした。

【Photo】由豆佐売神社の参道(右写真)

kankoubussannkan.jpg【Photo】「庄内観光物産館」内の菅原鮮魚店で。一番大きなオスの寒鱈には17,000円の値札が(左写真)

 庄内の風土のように人を優しく癒すまろやかなお湯と満ち足りた食事にまったりモード漂う中、庄内観光物産館へ移動、買物タイムとなりました。オス1kg 2,000円、メス1kg 1,000円、白子1kg 3,000円という庄内浜産寒鱈の値段に皆さん目を丸くしていました。taranobori.jpg
【Photo】「鱈のぼり」が目印。鶴岡日本海寒鱈まつり会場

 そこから市街中心部の鶴岡銀座商店街で開催中の「鶴岡 日本海寒鱈まつり」会場へと向かいました。到着が14時近くとなり、まつりは終盤。すでに寒鱈汁が完売となって店じまいをした出店もありました。九兵衛旅館とは味付けのタイプが異なる寒鱈汁を皆さんに味わっていただこうと、お目当ての出店を探しました。なにせ4年連続で来ている鶴岡 日本海寒鱈まつり。事前に傾向と対策はできています。「白身が無くなって、ガラだけのガラ汁だから一杯500円のところ300円でいいよー」という呼び込みに並ぶことしばし。2008tsuruokakandarajiru.jpg皆さんには別腹で寒鱈汁を召し上がって頂きました。もはやガラだけとなった汁には寒鱈の旨みが滲み出ており、味噌と共に酒粕の効いた私好みの味付けは今年も健在でした。

【Photo】終了時間迫る「鶴岡 日本海寒鱈まつり会場」で頂いた岩海苔とアラがたっぷりと入った「商店街婦人部」のドンガラ汁(寒鱈汁)は300円のバーゲンプライス
 
 午前中から昼過ぎは多くの人手で賑わったという寒鱈まつり会場も、2時をまわって幾分人もまばら。寒鱈汁で一度は温まったものの、2℃ほどしかない気温の中で底冷えがしてきました。こりゃ堪らんと日本酒好きの呑兵衛数名が立ち寄ったのが、 商店街にある「山形の地酒 佐野屋」です。wataraimiyama.jpg鶴岡市西部の大山は、藩政期より天領の造り酒屋街として栄えた地区。現在では4軒の蔵元が酒造りを続けています。店頭でグラス売りされていたのが、「渡會本店 出羽ノ雪酒造」の限定品「和田来(わたらい)」の新酒、純米吟醸でした。冷えた体を中から温めようと再び乾杯。美山錦を55%まで磨き、朝日水系の中硬度の伏流水を精製して仕込んだ芳醇なしぼりたての生酒は、華やかな吟醸香が程よく立ち上がり、口に含むと原酒ならではのボリュームを備えながらも、トロリとした滑らかな口当たり。ん~ぬくまるのぅ。もう一杯呑みたかったのですが、次なる目的地に向けて出発の時刻が迫っていました。寒中に寒鱈で乾杯したカンカン尽くしの一行が目指す先は? そう、 ぴったしカンカンでお察しの通り、燗酒で乾杯をしに向かったのです。まぁまぁ、「オヤジギャグばっかじゃん!」とカンカンにならずに・・・。つづく

◆ 大山新酒・酒蔵まつり
新酒が出回る時期に催される日本酒好きには堪らないイベント。鶴岡市大山地区の4軒の酒蔵(冨士酒造・加藤嘉八郎酒造・渡會本店・羽根田酒造)ほかを巡る「酒蔵スタンプラリー」では心ゆくまで試飲ができ、酒蔵ならではの限定品も提供。夕刻からは旬の郷土料理を肴に「新酒パーティー」(前売り制)
【開催日】 2008年2月9日(土)
【開催地】 鶴岡市大山各所(各酒蔵・大山商工会館・大山コミュニティセンターほか )
       ※酒蔵スタンプラリー券 500円
【問合せ】 新酒・酒蔵まつり実行委員会事務局(大山商工会内) TEL:0235-33-2117
【URL】  http://www.tsuruokakanko.com/season/fuyu/sake.html


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コメント

大山新酒・酒蔵まつり…本当に堪らないイベントですね~。心行くまで試飲してみたいです。
しかしながらその日は、酒がらみで鳴子に行かなければならなくて…残念です。

ついでに言うと限定品の「和田来(わたらい)」純米吟醸も美味しそう。
ん~ぬくまりたい!

▼おっかぁ様
 仕事と重なるとは、ぞわぁ~んねんでした。地区の蔵が一斉に開放されるこの催し、日本酒愛好家から大好評のため、毎年開催されています。来年は是非リベンジマッチをどうぞ。

 造り酒屋ではありませんが、スタンプラリーに参加している粕漬で有名な漬物店「本長」さんは、市販の漬物にありがちな添加物を使用せずに作る美味しい漬物の製造工程を見せてくれます。在来野菜を使った珍しい漬物もあったりします。忘れずにお立ち寄り下さいね。 http://www.k-honcho.co.jp/index.html

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