あるもの探しの旅

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カフェ・マキネッタ

お気軽エスプレッソの必需品

 最近ではイタリアン・スタイルのCaffè カッフェ、Espresso エスプレッソを自宅で楽しむ方も多いかと思います。以前ここで述べた通り、イタリアでは厚いクレマに覆われたマシンメイドのカッフェは、Bar バールで飲むもの。そんなイタリア人が自宅で手軽にエスプレッソを淹れる Caffettiera カッフェティエッラ(=コーヒーポット)は、直火式エスプレッソメーカー Macchinetta マキネッタです。その代名詞ともいえるのが、天を指差す口ひげを蓄えた山高帽の紳士でお馴染みの Bialetti ビアレッティs-bialetti_logo.jpg のMoka Express モカ・エクスプレスでしょう。1933年にAlfonso Bialetti アルフォンソ・ビアレッティが生み出したこの八角形をしたカッフェティエッラは、模造品を含めるとイタリアの家庭の90%以上で使われているともいわれます。1カップ用から、2・3・4・6・9・12・18カップ用まで、用途ごとにサイズが異なる Moka Express が作られているのは、抽出に必要な適正な蒸気圧を得るため。一気にコーヒーの旨みを抽出するエスプレッソは蒸気圧が命。直火式エスプレッソメーカーの場合、"大は小を兼ねる"は当てはまらないのです。
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【PHOTO】Bialetti のMoka Express

 ボイラー部分(写真左下/ 図A)の安全弁の下までが水の適量。本場の味にこだわりたいなら、細身な淡いブルーのボトルがイタリアらしさを醸し出す「Filette フィレッテ」(硬度198)や、カモメのラベルが目印の「SAN BENEDETTO サン・ベネデット」 (硬度235)、「ACQUA PANNA アックア・パンナ」(硬度108)など、イタリア産のAcqua Minerale(=ミネラルウオーター)をお試しあれ。硬度が高いヨーロッパの水のほうが、コーヒーには向いていると言われますが、私は庄内系ゆえ、庄内各地の美味しい湧水を汲んで来て沸かして飲んでいます。「さんゆう」や「胴腹滝」「神泉の水」「岩清水神社」「竹の露仕込み水」など、とっておきの採水ポイントのご紹介は機会を改めて。

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 水を入れたなら、メッシュ・フィルター(写真右中/ 図B)に細挽き~極細挽きにしたコーヒー豆をお好みの濃さになるよう適量セット。上部サーバー(写真左上/ 図C)をしっかりと閉めて火にかけます。この際、ハンドルを焦がさぬよう火力に注意。マキネッタでは細挽きが、エスプレッソマシンをお持ちの方は極細挽きが向いています。豆のローストは深煎りが良いでしょう。コーヒーは嗜好品ゆえに味の好みはそれぞれですが、深煎りローストが主流のイタリアでは、酸味は少な目の傾向にあります。いずれにせよ、信頼のおけるロースターから豆を買い求め、飲む直前に挽いた方が、香り高いs-Musetti_espresso.jpgカッフェを楽しめます。相談に乗ってくれるお店が見つかればしめたもの。自家焙煎を手掛けるカフェでもよし、専門店ならば選択の幅も広がるはず。意外なところでは、スターバックスが扱うコーヒー豆も悪くない選択です。同社が仕入れる生豆の品質は世界でもトップクラス。「う~ん、エスプレッソの豆がシアトル系じゃ・・・┐(ー。ー;)┌ 」と、イタリア人のようなことを仰る御仁には、真空パックや缶でイタリアから輸入される中でも入手しやすい「illyイリー」や「KIMBO キンボ」「LAVAZZA ラヴァッツァ」「Musetti ムセッティ」を。さらに極めたいならば、「CAFFEN カッフェン」や「TRUCILLO トゥルチッロ」「Passalacqua パッサラックア」などナポリブランドのコーヒー豆を調達してみては? いずれコーヒー豆は「生もの」だけに、焙煎日や賞味期限はしっかりチェックです。

 ボイラー部で加熱されたお湯は、メッシュ・フィルターにセットした豆を蒸らし始めます。やがて沸点に達すると体積が膨張してフィルターを通過し、上部サーバーの中心にある噴出口からカッフェが出てきます。mio_cupola.jpgパンツェッタ・ジローラモ氏の著書「極楽イタリア人になる方法」の中では、最初はサーバーの蓋を開けておき、カフェが出てきたら閉めること。カッフェが出終わったら火を止め、少し待つこと。するとキレイな薄茶色の泡が立ったエスプレッソが楽しめると書かれています。しかし、指示通りにやっても、マシンとは違ってマキネッタではなかなかきれいな泡は立ちません。かつて取材でジローラモ氏にお会いした際、最初は蓋を開けておく理由を尋ねましたが、著書に出てくるカッフェ好きの祖父がそうしていたからという以外、明確な答えは得られませんでした(笑)。

【PHOTO】Aldo Rossi がデザインしたALESSI 「LA CUPOLA」(右写真)。使用歴15年ほどの私のLA CUPOLA のボイラー部分内側には黒い油膜がびっしり(右上写真)

 カッフェを淹れた後の処理で大切なのが、ジローラモ氏も指摘している通り、決して洗剤では洗わないこと。使い込んだマキネッタ内部には、コーヒーの油脂成分が付着して、カッフェをより薫り高くしてくれます。使うたびに加熱消毒するわけですから、さっと水洗いすればOKです。家族で味の好みが分かれる場合は、香りが混じるのを避けるために自分専用のマキネッタを持つのがイタリア人の流儀。

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【PHOTO】Richard Sapper デザインのマキネッタ(左)

 Bialetti 以外には、著名なデザイナーや建築家とのコラボレーションによる造形美溢れるキッチン製品を生み出すALESSI アレッシもオススメです。1979年にドイツ人デザイナーRichard Sapper リチャード・サパーの設計で発売されたマキネッタは、イタリアで最も歴史と権威あるプロダクトデザインに贈られる「Compasso d'Oro コンパッソ・ドーロ賞」を同社に初めてもたらしました。 現在、このモデルはニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されています。

【PHOTO】Aldo Rossi の「LA CONICA」(下)

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 戦災で焼失したジェノバのカルロ・フェリーチェ劇場の再建や北九州の門司港ホテルなどの設計で20世紀の建築史に足跡を残した建築家 Aldo Rossi アルド・ロッシが生み出した ALESSI のラインもヨーロッパの伝統に根ざした建築家らしい造型で知られます。1982年に発表した「円錐」を意味する「LA CONICA」や、ルネッサンス期の教会建築に見られる円蓋ドームを彷彿とさせる1988年発表の「LA CUPOLA」は、いずれもイタリアの風景に溶け込む教会の尖塔を見ているかのよう。このマキネッタが置いてあるだけで、キッチンの空気が変わります。

 二十四節季では、雪が雨に変わる頃とされる「雨水」にあたる今日2月19日。まだまだ今年は寒い日が続きます。そこで次回は、陽光溢れる南イタリアへと誘ってくれる味わい深いカッフェティエッラ、私が愛用しているナポリ生まれの「Napoletana ナポレターナ」が登場します。

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コメント

先日は美味しい時間をありがとうございました。

エスプレッソ、このごろはまっているようです。どうやら会社でエスプレッソマシーンを入れたらしく、ちびちび飲んでいるらしいんです。今までコーヒーにはあんまり興味がなかったみたいなのに。

マキネッタ、っていうんですね。以前にスーパーで安く売っていたのを買ってきて一人で(私だけで)楽しんでいたのですが、「これは泡がないからエスプレッソとは言わん」とのたもうて居ましたが・・・マシーン製じゃないから泡がなくてあたりまえだったんですね。

先日エスプレッソマシーンをもらいまして早速入れてみましたが、どうも簡易版らしくこれもあまり泡が立たなくて・・・。5気圧でプレスと書いてあるんですがどうなのかしら。

一度桂の「バルミゼット」にいってちゃんとしたエスプレッソをいただかなくちゃ。

▼kuishinbo様
 先日のイカスミリゾット、美味しかったですね。

 エスプレッソマシンがある会社。イタリア人オーナーの会社でしょうか? 羨ましいですねぇ。

 エスプレッソマシンを貰っちゃったのですか? もしそれが物足りずにご自分でマシンをチョイスされるのであれば、ポンプ圧が15気圧、抽出時で9気圧程度が確保されたマシンをお選び下さい。最近では一万円台で家庭用のマシンが入手可能になっています。

 バル・ミュゼット川口バリスタのカプチーノ。私も飲みたくなってきました。また行かねば。

私もビアレッティのマキネッタを愛用してます。

ローマの日用品店で買ったものですが、コーヒーの液体が噴出するとこをネジ式のふたで塞ぐ形式になっていて、その分圧力が高い? のか、クレマができようになっている優れモノです。同じサイズの普通のビアレッティより若干お値段高めでした。

ローマに行った際に探してみてください♪

▼ MpeachM 様
Venvenuto il mio web-log " Viaggio al mondo"! 当あるもん探しの旅へのご参加ありがとうございます。

むむっ、それってビアレッティが2、3年前に売り出した直火式でカプチーノが作れてしまうという画期的な新商品「Mukka express」の無地バージョンかなぁ? 直線基調の「Moka Express」と違って、それは全体に丸みを帯びたデザインじゃありませんか?

私も本当はサーバー部分が牛(mucca)模様になっている秀逸なデザインのそれが欲しかったのですが、すでに数種のViniを買い込み、靴や服も買った後だったため、イタリアでも結構なお値段(145エウロ)のMukkaの購入を泣く泣く断念。円換算すると日本における値段とそう変わらなかったからです。それにつけても恨めしい近年のユーロ高と原油価格の高騰による値上げラッシュ...。秋口にまた値上げの動きがあるパスタの価格上昇に至っては、ほとんどお手上げです ┐(-。-;)┌

ビアレッティ製マキネッタの検索で辿り着きました。
マキネッタ用豆はとても参考になりました。

コメントのクレマがでる製品はビアレッティ製「brikka」。
抽出口に重いバルブを使用し、1.5気圧とクレマ生成が可能。
2杯・4杯用があり、珈琲豆使用量も通常の3杯・6杯分と、こちらも1.5倍。
その分、濃厚でエスプレッソに近い味とか。
少々慣れが必要な分、イタリアでの評価は割れています。

他にもモカ・エキスプレスの新型が出ています。
ハンドル設計を見直し熱で溶け落ちにくくしたそう。
形状は丸みを帯びたデザインに。
こっちは正常進化と高評価でした。

「brikka」は、イタリアamazonから輸入が安いですね。
送料込み4,300円。到着に一週間かかりますが。
新型モカエキスプレスもまだ日本国内業者の取り扱いが無く、個人輸入のみです。

もう一度イタリアビアレッティHPを観たら、新型Moka expressなんてラインナップ無かったですね。
とんだ早とちりをしてしまいました。

新型と勘違いしたモノはDama glamourという製品です。
女性向けのデザインとか。

イタリアamazonでみたものはコレ
http://goo.gl/jyltO

▼ 通りすがり様
コメントを残していただきありがとうございます。

マキネッタやマシン用のビーンズで最近ハマっているのが成城石井で扱っているBarberaのMAGHETTO。250g入りのパッケージが、わずか599円というコストパフォーマンスに優れた現地価格で成城石井オンラインストアでも入手可能です。
http://www.seijoishii.com/d/61755

酸味の抽出が多彩なツール「エアロプレス」ではスペシャルティコーヒー系を楽しみますが、マキネッタではやはり王道のナポリスタイル(正確にはシチリア発祥で現在はナポリ近郊に本社を構えるロースターですが…)に回帰している格好です。よろしければお試しください。

イタリアの肝っ玉マンマの体型のようなDama glamourはカワイイ感じで確かに女性向きですね。庄イタはFIAT500とのコラボで、赤白黒の3色が発売された電気が熱源となるモカポッドMOKA ELETTRIKAに発売直後から萌えましたが、イタリア製の家電となると耐久性の点で、ちょっと手を出すべきか悩み続け、現在まで結局購入には至っておりません(笑)。 

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