あるもの探しの旅

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スピンオフな民田ナスのパスタ

Spagetti alla ragù bolognese melanzane Minden
@al.chè-cciano

 在来野菜「民田ナス」の食べ方は漬物ばかりではありません。

 ナスは組成の9割以上が水分で食物繊維が豊富。糖質がほとんどですが、「茄子紺」と表現される外皮にはアントシアニンが含まれており、抗酸化効果がある野菜でもあります。ナスは体を冷やすとされ、暑い夏を乗り切るにはぴったりの野菜でもあります。
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【Photo】 野菜たっぷりな南イタリア発祥の料理「カポナータ」は、Autostrada アウトストラーダにあるオアシス、Autogrill アウトグリルなど作り置きの軽い食事をとれる店やRosticceria ロスティッチェリア(=惣菜屋)の定番メニュー

 ナスは油との相性が良い野菜です。オリーブオイルでさっと素揚げし、炒めたパプリカや玉ネギ、セロリ、トマト、ズッキーニなどの夏野菜と合わせて軽く煮込んだ「Caponata カポナータ」は南イタリアを中心に夏の食卓に欠かせない料理です。西リヴィエラのフランス国境を越えてプロヴァンスに入ると「Ratatouille ラタトゥイユ」と名前が変わり、これまたポピュラーな料理となります。イタリアでは年産376,000トンあまりのMelanzana メランツァーナ(ナスの伊語)が生産されており、日本の395,000トンに次いで世界6位のナス食い民族でもあるのです。

 さて、皮が硬めでナス特有のアクがある実が詰まった民田ナスは、私も大好きなカポナータ向きのナスとはいえません。かといって和風の漬物ばかりじゃ・・・と仰る向きに、自宅でもコピー可能な民田ナスを使ったプロのイタリア料理をひとつご紹介しておきます。それが今年の7月上旬に鶴岡の「al.chè-cciano」で土田学料理長が出してくれた「Spagetti alla ragù bolognese melanzane Minden(≒民田ナスのラグーソーススパゲッティ)」です。

 2004年(平成16)、アル・ケッチァーノの奥田シェフが、当時まだ黒板メニューにオンリストしておらず、ぜひ攻略したい庄内産伝統作物として挙げていたのが民田ナスでした。その後、「笑貝と民田ナスのエゲシスープ」や「羽黒仔羊の腎臓と民田ナスのぺペロンチーノ」などのスペチャリテが誕生し、特徴的な民田ナスのエグミを活かした料理を店で実験台として(笑)味わってきました。庄内浜のムール貝こと「笑貝」は別にしても、トウモロコシのヒゲのような海藻の「エゲシ」や「花沢ファーム産の羊の内臓」などは、なかなか入手が難しい食材でもあります。いざ自宅で挑戦しようにも限界があろうというもの。

 昨年7月に al.chè-cciano の隣にオープンしたカフェ「il.chè-cciano イル・ケッチァーノ」で先月からランチタイムに出すようになったシンプルなパスタ料理と夜のお任せコースを奥田シェフが担当し、土田料理長がアル・ケッチァーノのほとんどを任されるようになった今、それぞれのメニューに変化が生まれています。夕方までに仙台に戻らなくてはならなかったある日、「民田ナスを使った料理を」という私の唐突なリクエストに応えて土田さんが用意してくれた初見参のパスタは、山伏豚をミンチにして、唐辛子を加えた深みとコクのあるラグーソースのスパゲッティでした。鶴岡市渡前の井上農場産樹熟トマトと赤ワイン風味のしっかりとしたラグーのピリッとした辛味が、軽く塩をしてさっとソテーした今野 惠子さんの畑から土田さんが朝に採ってくるオーガニックな民田ナスとうまくマッチしています。

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 【Photo】 民田ナスのラグーソーススパゲッティ @al.chè-cciano 2008年7月

 ゴロンとしたしっかりした食感が特徴的な民田ナスの存在を主張しますが、口の中では重過ぎないラグーのコクと唐辛子の辛味が太めのパスタと絡んでゆきます。そうそう、この一体感。山伏の里・羽黒で実を結んだ鶴岡の在来野菜が、山伏豚のラグーとあいまって見事なイタリアンにメタモルフォーゼしていました。こうした独自の世界観こそ、アル・ケッチァーノの真骨頂ともいうべきもの。とはいえ、これならもぎたての民田ナスを手に入れたどなたでもコピーが可能なパスタ料理に挑戦できそうです。私のように山伏豚を鶴岡市みどり町の「クックミートマルヤマ」に買いに行かない方は、豚と牛の合い挽き肉を使ったしっかりしたラグーソースをご用意ください。ポイントは唐辛子の辛味が民田ナスのエグミとうまくマッチすること。ラグーソースに使った Vino rosso をグラスに注げば、一層パスタが引き立つことでしょう。

それでは、Buon appetito!!  

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