あるもの探しの旅

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ボンディファームの夏野菜収穫

灼熱の芋掘り&情熱野菜のBBQ @村田町

【Photo】 ボンディファームの鹿股 国弘さん

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 宮城県南の村田町で自然環境循環型農業に取り組むボンディファームの鹿股 国弘さん(39歳)。宮城蔵王にほど近い粘土質の土壌が広がる畑で、9年前から無農薬・無化学肥料の野菜を育てています。農場の名前は学生時代に訪れた美しい農村風景が広がるブータン西部の農村「Bondey」から取ったもの。仙台の農家で2年間無農薬栽培と営農について学んだ後に就農、当初60アールだった畑は、他の耕作地から隔離された環境の水捌けが良い傾斜地を探して徐々に広げ、現在では9ヶ所合計120アールに広がりました。土作りを兼ねて平飼いしているニワトリの発酵鶏糞のほか、収穫した野菜の残滓や米ぬか、刈草の積み込み堆肥、草木灰などを肥料として使いますが、それも必要最小限に留めています。連作障害を避けるために年間およそ100品目もの果菜・葉菜・根菜・豆類を多品種少量生産で輪作し、土を疲れさせないように休耕期間を設けるなど、常に作物と対話しながら、村田の自然のサイクルの中で野菜作りを行っています。
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【Photo】 手前からオクラ、ズッキーニ、カボチャが育つ鹿股さんの畑。一帯は粘土質土壌のため、水捌けのよい傾斜地を選ぶという 

 夏真っ盛りの今は、旺盛な雑草と害虫との戦いに明け暮れる毎日。今年は7月に雨が多く、カビや病気の発生にも心を砕いたと言います。朝採りした野菜は、安全で美味しい食品を求める個人客にその日のうちに宅配されます。ダイコンやカブ、ニンジン、白菜、カボチャといったお馴染みの野菜に加え、ズッキーニやアーティチョークといったポピュラーな西洋野菜、さらには日本では比較的入手が難しいコールラビやラディッキオ・ロッソ(=トレビス)などの栽培を委託された飲食店からの注文が増えているのだそう。食の安全を求める意識の浸透と、特色ある食材を求める飲食店が仙台圏を中心に口コミで増えたのです。およそ20軒にのぼる取引先の飲食店に届けるのため、収穫は早朝5時には始まります。就農希望bondeyfarm 003.jpgの研修生を受け入れているものの、基本的には鹿股さんがひとりで作付けから収穫までをこなすため、配達に振り分ける労力にはおのずと限界があります。そのため、現在は原則として新規取引を手控えているのだそう。

【Photo】3種のナスを栽培する畑。隣りのビニールハウスや平飼いするニワトリの鶏舎のいずれもが、規模は決して大きくはない

 そんな鹿股さんの野菜をメインにしたふたつの企画にこの夏相次いで参加しました。今回ご紹介するのは、夏らしい陽気に恵まれた8月3日(日)、村田にある鹿股さんの畑で行われた「ボンディファームの夏野菜収穫&焼き奉行な仏伊シェフによるBBQ(バーベキュー)の饗宴(⇒勝手にネーミングしちゃいました)です。参加したのは鹿股さんの個人顧客や契約先のレストラン関係者とその顧客およそ40名あまり。そのほとんどが仙台からの参加者のようでした。小さな子ども連れの家族連れが多く、土と触れ合い、収穫の喜びに目を輝かせた子どもたちだけでなく、親世代にとっても、命を育む真っ当な食べ物がいかに作られているのかを知る機会でもありました。

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【Photo】食べ頃になったスイートパプリカ

 午前10時に村田町の丘陵にある鹿股さんのお宅に集合した参加者一同。この日の昼食となるバーベキュー用の野菜の調達のため、さっそく畑へと向かいました。土作りに欠かせない肥料を卵とともに提供してくれるニワトリをケージから放す鹿股さん。バサバサと舞い上がるニワトリに嬌声を上げるお母さんたちと、生みたての卵の温かさに歓声を上げる子どもたち。桃太郎・中玉・ミニのトマト三種やクリームピーマン、スイートパプリカが育つビニールハウスへと案内されました。この日のために、鹿股さんが収穫せずに取っておいた果菜類は「好きなだけ採っていいですよ」とのこと。それならばと、早速かじり付いたトマトやスイートパプリカは、必要最小限の水を与え、凝縮した味に仕上がっていました。小さく未熟なうちの緑色からオレンジ色に色合いが変化したスイートパプリカの果肉は、もぎたてのフルーツのよう。

bondeyfarm 006.jpg【Photo】ハウスの中で収穫した色鮮やかな夏野菜たち。白っぽいのがクリームピーマン、オレンジ色がスイートパプリカ、真っ赤に熟したトマト

 隣の区画では、水ナスに加え、丸ナスや白ナスが露地栽培されていました。「この土が不要な雑味を吸収してくれるんですよ」という鹿股さんに促されて、もぎたての水ナスや丸ナスに齧り付きます。私の本拠地・庄内で、自然界の多様な生物が生み出す生態環境によって、旨みを増すオーガニックな野菜や果物に畑で齧りつくことに何ら躊躇を覚えなくなって以来、畑で採ったばかりの野菜が一番美味しいことは織り込み済みです。 指で裂いたナスの果肉は、サクサクとした歯ごたえで、エグさは全くありません。なかでも丸ナスはリンゴのようなほのかな甘さすら感じさせ、サラダ感覚で食べられます。これには参加者一同ビックリした様子でした。

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 そこから鹿股さんが運転する軽トラックの荷台に分乗して少し離れた場所にある別の畑へ移動です。仙台市内では、まず体験できないであろう鍬(くわ)や鋤(すき)が積み込まれたオープンエアな軽トラの荷台に乗り込んだ子どもたちは、やんやの大はしゃぎ。荷台に同乗した親たちも童心に帰って楽しんでいました。コンパーチブルでライトウエイトな鹿股さんの農耕車に揺られていると、猛暑の収穫作業で火照った顔に受ける風と、四方から聞こえてくる蝉しぐれと野鳥のさえずりが心地よく感じられました。

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【Photo】 いざ、芋掘りにレッツゴー!! 草いきれを胸いっぱいに吸い込みながらの爽快な田園ドライブ(上写真)
結球部に養分を送る葉を虫に食べられてしまったコールラビ(左写真)。無農薬栽培にはこんな苦労が付き物。初夏から盛夏にかけては虫との闘いが待っている

 次なる収穫対象は、日当たりが良い南東斜面の畑で育つジャガ芋「北あかり」。籾殻が撒かれたフカフカの土に育つ鹿股さんの梅林に隣接する畑では、食用ホオズキやアーティチョーク、アスパラガス、モロヘイヤ、トウモロコシなどが育っています。「無農薬栽培がいかに大変かをお見せしましょう」という鹿股さんに見せて頂いたのが、あらかた葉を虫に食べられてしまったコールラビでした。本来は葉の光合成によって養分を蓄えて直径10cm ほどまで肥大化する茎の根元の結球部を食用にする西洋野菜です。7月の不順な天候のもと発生した害虫の総攻撃によって、あえなく生育の途中で成長が止まり、出荷できなくなってしまったようです。こうした野菜も決して無駄にはせず、緑肥として活用されるはずです。

bondeyfarm 013.jpg【Photo】次から次と土の中から現れるジャガイモに宝探し感覚の子どもたちは大喜び

 私たちのために掘り起こさずにいた長さ70mほどの1畝に北あかりは眠っているのでした。ゆうに30℃を越える気温のもと、噴き出す汗を拭いながら思い思いに散らばって土を掘り起こすと、ミミズがいるわいるわ。これこそ土が健康な証拠です。時おり登場するカエルやウニョウニョ系の虫たちに歓声を上げながらも、ゴロゴロと出てくるジャガイモ掘りに夢中になる子どもたち。炎天下で10分も芋掘りを続けると、どっと汗が噴き出してきます。大人が木陰に逃げ込んでも、子どもたちは至って元気。鋤を手にした鹿股さんのお父様にもお手伝いいただきながら、どうにか収穫を終えたのでした。
bondeyfarm 014.jpg【Photo】 土の中にはミミズがいっぱい

 再び軽トラックで鹿股さんのお宅へ戻り、さきほど採ったばかりの野菜を水洗いしてバーベキューの準備が始まりました。そこで活躍したのが、鹿股さんの顧客でもある「Enoteca il Circolo エノテカ・イル・チルコロ」のスタッフ。店でも使用している上質な備長炭を持参し、鶏・豚・ラムチョップと3種の肉も調達した吉田 克則シェフが、ここでも炭火焼肉の担当です。ギラギラした日差しと炭火の遠赤外線効果で汗だくになりながら肉の火加減をみるニクヤキスタ。炭火で炙り焼きする肉を扱わせては、デル・ピエロやクリスティアーノ・ロナウドも到底かなわない(?)ファンタジスタはさすがに絵になります
(⇒今さらヨイショかよ...(⌒▽⌒ゞ )。

 先ほど掘り出したばかりの北あかりも厚めのスライスでこんがりとグリルされたり、アルミホイルの蒸し焼きで登場です。塩とバターで頂くほっくりとした北あかり特有の口あたり。同じく収穫したての万願寺トウガラシやスイートパプリカは、吉田シェフbondeyfarm 021.jpg持参のバーニャカウダソースをつけて生のままガブリ。フレンチレストラン「Chef シェフ」の奥山ホールマネージャーや、この日採れたての白ナスと玉ネギ、中玉トマトで美味しいラタトゥイユを作って下さったワインバー併設のワインショップ「Bouchon ブウション」の日野シェフも参加しての、プロフェッショナルな料理人が饗宴する贅沢なBBQタイムとなりました。心地よい汗の後、お腹がいっぱいになった頃には、夏のギラギラした太陽が幾分傾き始めました。鬱蒼とした林の中からは延々と続くヒグラシの輪唱が聞こえてきます。けだるい夏の午後が、そうしてゆっくりと過ぎてゆくのでした。

【Photo】酷暑にもめげず活躍するニクヤキスタこと吉田シェフ

 バーベキューで食べきれなかったこの日収穫した野菜は、会費制で参加したメンバーへのお土産となりました。鹿股さん、いろいろとお世話になりました。吉田シェフ始め料理を作って頂いた皆さん、ご馳走さまでした。そして炎天下の収穫に参加した皆さん、お疲れさまでした(⌒~⌒;)

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