あるもの探しの旅

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?(・・;)。。o な湧水

やはりそこは異郷だった。の巻

 「山形赤根ホウレンソウ」という在来野菜をご存知でしょうか?
ギザギザの切れ込みが深い葉の形状と、根から茎にかけて鮮やかな赤に染まるのが外見上の特徴となる在来のホウレンソウです。食味ではシャキシャキとした葉の食感と、太く赤い根付近の甘さが印象的です。通常の西洋ホウレンソウに比べ、甘味が強いとされる「ちぢみホウレンソウ」の糖度が厳冬期に10度前後となるのに対して、スイートコーンや巨峰と同等レベルの17度以上まで数値が伸びる山形赤根ホウレンソウ。

 その主産地は山形県内陸の村山地方です。食味の良さから、近年では徐々に需要が広がりつつあり、山形市と天童市、上山市の周辺で栽培されています。もともとは奥の細道で松尾 芭蕉が立ち寄った山寺こと「立石寺」へと向かう途中、山形市の北端にあたる風間地区で作られてきたものです。

 美味しい食材の宝庫・庄内地方が主な行動範囲となる庄内系ゆえ、行政区分上は同じ県でも、食文化だけでなく、さまざまな側面において違いを肌で感じる村山地域は、当「あるもん探しの旅」において、あまり取り上げる機会がないままに今日に至っています。出荷される際にほとんど切り落とされる根っこの部分まで実は美味しく食べることができる赤根ホウレンソウの産地をどうしても見ておきたくて、風間地区へと足を運んで出合った驚愕の湧水について報告・連絡・相談(=ホウ・レン・ソウ)します... ?(・・;)。o

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 風間地区を通るJR仙山線が楯山駅近くで道路と立体交差になった場所に一軒の水車小屋が建っています。比較的最近建てられたと思われる水車小屋には「泉の里 延命水」の看板が掛けられていました。車を停めて立ち寄ってみると、水が引かれた水車の右手に岩をくり抜いた水盆があり、そこから湧水が溢れ出しています。水を含むと、まろやかな口当たりのなかなかの良水でした。

enmeisui2.jpg 周辺は住宅地と畑が混在しており、すぐ先がスタジオジブリのアニメ映画「おもひでぽろぽろ」の舞台となった日本の原風景が残る高瀬地区で、そこから高瀬川が流れています。近くには造り酒屋の寿虎屋酒造㈱があり、蔵王山系に端を発する良質の水に恵まれた地のようです。記された由来よると、昭和18年に掘削して湧出した水とのこと。隣に延命地蔵尊があったことから「延命水神」と名付けられ、どんな日照りでも涸れることなく湧き続けるこの水は、地区の飲用水に用いられています。おいしい水との評判から、茶道愛好者が水を求めて訪れるまでに。ふむふむ、さもありなん。

enmeisui3.jpg もう一口頂こうかと、ふと水場の奥に目をやると、この水は殺菌消毒を施していない旨を告げる看板が立てられていました。塩素消毒したダムの水と比べれば、地下で磨かれた湧水のおいしさは比較になりません。生水がどうしても気になるのであれば、沸かして飲めば良いまで。水に恵まれた地に足を運ぶことが増えて以来、水の味には敏感になりました。

 湧水を消毒していない旨を記した注意書きは、地元住民のみならず、遠方から水を求めて人が訪れる場所で目にすることがあります。湧水ならば全てOKという訳ではなく、名水として有名な水でも、上流部に果樹畑があれば、そこで農薬が散布されている可能性が高いし、家畜を飼育する畜舎などがあっても、土壌への影響が懸念されるので、汲んで帰るのはパスすることにしています。そうでもなければ、消毒されていないことなど、いつも気に留めないのですが、その隣に立つ赤字で書かれた看板の内容には目を疑いました。あまりにナマな表現なので、文字にするのは差し控えますが、写真をとくとご覧下さい。

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あなたはこの水をナマで飲めますか?

 立て看板には、延命水道組合と地元町内会の名が記されています。「山菜・キノコを採らないで」を意味する「熊出没注意」の看板には臆さない私ですが、この看板にはさすがにビビりました。散歩中のワンコが急にしゃがみ込んで排泄に及ぼうとするのは仕方ないにせよ、よほどの大型犬でもない限りは、「そこじゃダメよ」と引っ張れば済む話。問題はむしろ飼い主である人間であって、そこを公衆トイレだと勘違いして用を足す粗忽者など果たしているのでしょうか? わざわざ赤字で「●●をしないで下さい!」と、しかも「!」付きの強い調子で書いてあるということは、そうした事例が実際に起きているのかも?? それとも、「オラホの水だから持ってくなっ! 」という意思表示なのでしょうか???

 この衝撃的な看板を前に、それを立てた人の真意を測りかねてしまいました。組合の皆さん、町内会の皆さん、どなたかこれをご覧になったら、事の真相を教えて下さいませんか。しばしそこに佇み、謎が解けぬままに泉からすごすごと退散したのは申すまでもありません。何事につけおおらかな庄内では見たことのない看板を前に、庄内系にとっては、そこがやはり異郷であることを実感させられたのでした。・・・以上、赤根ホウレンソウがさっぱり登場せぬまま、報告・連絡・相談、任務完了。


P.S.: のちにネットで検索したところ、2005年夏にはまだ赤字の看板が立てられていなかったことが判明 【山形フィルムコミッションWebサイトへ】。何らかの理由で、最近追加したと思われる赤字の立て看板に気付くことなく、延命水をそのまま飲んでしまったものの、これといって消化器系の変調は認められず、無事に延命していることを付け加えさせて頂きます。(⇒これが水の名前の由来だったりして...)

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